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2017年12月12日(火)
陽子線治療
今や、ガンは国民の2人に1人がかかる病気で、数年の内には男は64%ががんにかかるとのこと。 私は兄弟含めて100%かかっているので、珍しい病気では無く、当たり前の病気です。

でも、がんになったら必ず死ぬと思っている人も多いようですが、身近な人や芸能人でもがんにかかっても治っている人が多々居ます。 というか早期であればほとんどは治る。

治療法としては、手術、放射線治療、薬品がメインでこれプラス他の療法も沢山あります。

この中で、放射線治療は最も有力と言えるものです。

この放射線治療の最先端として陽子線治療がありますが、少し講演を聞いたので紹介します。

陽子線は水素原子の陽子を利用して、シンクロトロンという加速器で光の速度に近いところまで加速して、患者の患部に当てる治療法です。


福井県立病院の陽子線治療室です。
加速器室と書いた中の点々の線が陽子の通り道です。 実際はパイプです。
その右端がスタート位置で陽子銃から打ち出された陽子を、丸いドーナツ(四角く見えるが)でぐるぐると加速します。

それから、各治療室に点々のように誘導するのです。
そして、患者に照射する。

今までの放射線治療はリニアックという直線加速器で電子を加速させて、もの凄いエネルギーのX線を発生させて、そのX線で治療していました。

X線と陽子線の違いは

体に入ってからの減弱の仕方が違います。
X線は上の黒い線ですが、体に入るとどんどん減弱して少なくなって行きます。
がん病気と書いたところが病巣なので、ここにだけX線を当てたくても、それより手前の組織にたくさん照射されてしまいます。 そして、病巣を通った後もまだX線はあるので、病巣の後ろの組織も照射されます。

一方、陽子線は赤で示すように、病巣部分で一番多くなっています。
これをブラックピークと言いますが、ここで陽子線が消滅するのです。 そしてこの時に大きなエネルギーを出すのでピークとなっていて、病巣だけに照射されるという特性を持ちます。

病巣の後ろは陽子線は消滅しているので被曝しません。

違う図で見ると

左がX線で、右が陽子線です。
星のような病巣に対して照射していますが、X線は病巣より手前の部分の線量が多く、病巣の後ろにある卵みたいに描いてあるあまりダメージを与えたくない臓器にも照射されています。

一方、右の陽子線では病巣部分の線量が多く後ろの臓器には照射されていません。

ですから、同じようにがんは治せても、他の部位に対する副作用が異なるのです。 ということで陽子線が良いというわけ。

しかし、このブラックピークが病巣と違う深さになると治すどころか逆の結果になってしまう。 そこで、この調整のためにボーラスというフィルターを使っています。 そして、ピークがきっちりしている分、患者の動きも大いに影響するので固定具できっちり固定しています。

このあたりのテクニックは放射線治療と同じで今までの方法の延長と考えて良いでしょう。


放射線治療では、同じ方向からばかり照射すると、皮膚などが焼けてしまうので色々方向を変えて、重要な臓器の被曝をできるだけ抑えています。

治療計画の画像(ネットより)

いろいろな方向から、照射野の大きさや形状もも変えて照射するIMRTなど今までの放射線治療もとても良くなっているのは確かです。

陽子線治療でも、一方向だけではなく2方向から照射します。 このために、陽子を患者さんに照射する口は方向を変える必要があり、大きな回転するガントリーの中に部屋があって、その中が治療室という事になります。

一番上の図で回転ガントリーと描いてある部分です。 ですからこれがもの凄く大きい。 シンクロトロンもあるし、装置の値段は建物も含めると想像も付かない価格になります。

治療時間は秒から数分のようですが、患者の位置をきっちり合わせなければならないので、普通の放射線治療以上に慎重に行うので、20分ほどかかるようです。
このあたりも、あまり放射線治療と変わりませんが、よりきっちりしないと副作用が出てしまうと言うことです。

入院が必要かというと必ずしも必要で無く、放射線治療と同様に、通院で30回照射する方が多いそうです。 

では、陽子線治療が必ず良いかというと、 がんにもいろいろな種類と進捗度合いが異なったりして、普通の放射線治療が良い場合もあり、陽子線治療が良いと一概に言えない部分もあります。 

一番の問題点は、費用でしょう。
健康保険がききません。
福井県立病院では陽子線の照射回数により異なりますが、240万円から260万円です。 これでも他より安い方だとのことです。

しかし先進医療として認定されているので、先進医療特約付の保険に入っている方は全額保険から出るそうです。

数年前には兵庫のスプリング8などでの研究として陽子線治療が試されていました。 私の感覚としては、まだ陽子線治療は研究段階だと思っていましたが、実用段階に入ったようです。

今年から、来年にかけて全国に陽子線治療や重粒子線治療(炭素の原子核)の病院がたくさん出来ます。

先進医療特約の保険をかけている人は、是非ともがんになって、陽子線治療を受けましょう! なんちゃって。

アメリカでは、シンクロトロンを使わずに小型サイクロトロンをガントリーに取り付けた小型の陽子線治療装置が開発されています。
これだと、ほぼ普通の放射線治療室に設置できるし、低価格だし、建物も含めれば超低価格なので一般の病院にも設置されるかも知れません。

CTやMRIなどが、あっという間に日本中に広がったように陽子線治療が一般的になるかも知れないと講演を聴いて思いました。

ますます、がんは治る病気になってきているのです。


2017年11月21日(火)
植物

植物の話です。 少し聞きかじったことを書きます。



植物の元、最古の細胞が登場したのは35億年前です。
それから、酸素を発生する光合成ができるようになるまで、8億年、さらにそこから植物の祖先と言われるものが出来るまで、18億年かかっています。

皆さーん、1億年ってどれぐらい長いか分かりますか。  平安京が出来たのが794年で、1200年とちょっと前、弥生時代で3000年程前。

1万年と言えばとんでもない前で、1億年と言えば1万年の1万倍です。
だから植物の進化で何億年もかかっているのは恐ろしいほど長い時を経て少しずつ進化しているのです。 ちなみに動物は15億年前に現れたとか。

石炭があります、今までたくさん掘られて、まだまだ地中にはたくさん石炭があります。 石炭の元は4億年頃前に生えていた木です。 未だに石炭があるのは、その頃は地球上にもの凄くたくさん巨大シダがあったためです。

植物の分布です

熱帯と呼ばれる地域が特に植物が多い。 そして、それらの植物は大昔の植物とあまり変わらない。 それは大昔の地球の環境と同じように高温高多湿だからだそうで、特に変化してゆく必要が無いので昔ながらの植物が多い。


植物は動物と違って移動できない。 そこの環境に合わせて進化してゆくしか無い。

サボテンです。植物園で撮影。  水の無い砂漠に近いところに生えます。 だからこの中に水を溜めて干ばつになっても枯れないようにしているそうです。

砂漠と言えば砂ばかりで、植物が生えないと思いませんか。 サハラ砂漠など砂しか見えません。
でも、砂漠に雨が降ると

砂漠に雨が降るとこんなに花が咲く(以下全てネットからの写真)。 

実は砂漠の砂の中には植物の種がたくさんあって、眠っている状態だそうです。 そこで雨が降ると発芽して花が咲く。 これもちょっと驚き。




このバオバブの木も美しい写真を撮られる様にこんな形をしているのでは無い。 乾燥している地帯で幹に水を溜めて、大量に上の葉に水を送っているそうです。


美しい花は人に見られるために美しいのでは無い、蝶や虫を引きつけて受粉をさせるために美しい。 さらに、それらがとまりやすい花びらの形にして花粉を付けやすくしている。
一方、虫もこの花に適合した形に特化していて、植物、昆虫両方が進化している、いわゆる共進化している。

こうして、植物は自分の居る環境に合わせて進化しているのです。

さて、

この蔦は太い木に巻き付いてどんどん上に上がってゆく。
日が当りにくい熱帯の森林では、光合成のために光を求めて上に這い上がってゆく。 時には元の木が枯れることもあるが、そんな事は知ったことでは無い、倒れさいしなければ良いのである。 絞め殺し植物と言うそうです。



植物は光合成している。 そのために葉緑素を含んだ緑の葉があるが、これは花のみである。 根も茎も無い。 暗い森林では光合成ができないので葉がないのである。  そこで他の植物に寄生して生きている。 完全寄生植物である。  ちなみにもの凄く臭いそうです。




これもネットから拾った写真ですが、こんな植物を知っていますよね。
この壺の中に蟻を誘い込んで食べてしまうオオウツボカズラです。

上の蓋は昆虫が逃げないようにするためではありません。 雨が入って中にある消化液を薄めないためだそうです。 蟻が寄るように口の縁は甘い蜜が出るそうです。 中に蟻が落ちると、壺の内側は逆毛のようになっていて2度と出られない。

こんな形に進化したのです。

では、問題
何故、オオウツボカズラはこんな形にならざるを得なかったのか? 何故蟻を食べなければならなかったのか?


答えはここの環境に合わせてこうなったのですが、ここの環境は地面に栄養が無い。 地面から栄養が取れないので、植物が蟻を取るように進化した。

いやはや、植物の進化も奥が深い。

自然の進化は、始めに書いたように何億年と言う単位で進んでいますが、人間が手を加えるとあっという間に変わってしまう。
人間とは恐ろしい。



2017年11月14日(火)

21世紀の薬はゲノム創薬というような、人のゲノムを研究してその人に合う薬を作るようになると言います。
そのために、試験管で薬を混ぜるというような昔からの手段では無く、大型コンピューターとロボットにより高速にDNA解析をするような方法を行っているそうです。
そして、他の人には効かないけれど自分に合う薬が出来る。 オーダーメイド医療と言うそうです。

この話は難しすぎて理解できなかったのでこれぐらいにして、

現在の薬の値段について。
薬が出来るまでにはいろいろな研究をします。

まず、基礎研究、役立ちそうな物質を見つける。これに2〜3年。
動物実験などの前臨床試験。 これに3〜5年。
そして、治験による臨床試験で治療効果を見る。これに5〜10年。

このように長い年月が必要なのは、その薬が効くかどうかをたくさんのその病気にかかっている人に治験で試さなければならないからです。 

このようにして、新薬が出来るかというと、必ずしも出来るわけでは無くて、やっぱり効果が無いものも多数出るので基礎研究から、製品になる確率は1/10000に満たないほど低いものだそうです。

だから、この期間にかかった費用や無駄になったものも含めた研究費が新薬にかかってきます。

そして特許取得から10年で特許が切れて他のメーカーがその薬を使うことが出来るようになります。 それはジェネリック医薬品で、われわれはゾロと言っています。 語源はゾロゾロと次から次へ出てくるからです。
このゾロは研究費や治験費がかかっていないので安い。

だから、元のメーカーは特許が切れてゾロが出るまでに、かかった費用を取り戻さなければならないので薬が高額になるのです。

この特許が10年というのは知っていましたが、それは薬を発売してから10年だと思ったら大間違いで、特許を取ってから10年なので、研究期間や治験期間が長ければ発売して数年で特許が切れてゾロが出てくる。

だから数年で費用を取り戻すので、凄く高くなると言う訳です。 このためには特許の期間を30年ぐらいにすれば、ずいぶん薬が安くなるのに、と言うことだそうです。

皆さん、薬の値段、病院で処方してもらう薬の値段がそう高くないと思っていませんか?  でも、健康保険で3割とか2割しか私たちは払っていないのですが、残りの7〜8割は国が払っているのです。 もちろん健保の掛け金はしていますが、薬代として多額が国から出て行っている。 

実は製薬会社の一番のお得意さんは国と言うことです。

医療費にかかる費用が莫大になって国もまいっている。 だから、薬の価格が安い方が良い。そのためには特許の年数を長くするなどの話が出るのです。

では、ゾロ、すなわちジェネリック医薬品を使えば良いでは無いか?
そうなんです、病院でも開業医でもジェネリックを勧めます。 それは患者さんが払う費用が安くなるのはもちろんですが、国、健保の費用を抑えるためです。

でも、医師は本当はジェネリックを使いたくない。
それは、その薬の主成分は、元の薬と同じかも知れないけれど、それ以外の何かしらが、少し異なる。  それがどう悪さをするのか分からないから使うのが怖いのです。

元の薬は、長い期間かけて臨床テストをしている。 しかしジェネリックはそんなことはしていない。 だから安いのですが、その分何が起こるかのテストをしていないのです。

こう聞くとジェネリックは恐ろしいように感じるでしょうが、確かにこういう面はありますが、むちゃくちゃやっているわけでは無い。 元の薬品ほど臨床試験はしていないが、製薬会社として責任あるような程度の品物になっている。

と思いたい、私も結構ジェネリックを服用しているが、放射線検査の造影剤だけは銘柄を決めて使って貰っている、もちろんお願いできる病院だけではあるが。


最後に

抗がん剤などで良く効くと言われている薬があります。
どれぐらい効くかというと20%の人に効くという、残りの80%の人には効果が無い。  だから良く効く薬と言っても、この程度ということで、うーん、薬とは難しいものだと思いました。  

ということで、初めの話に戻って、自分に効く薬、オーダーメードの薬が期待されているのです。 でも、出来たとして一体幾らになるのやら。 多分1年で1500万円ぐらいかかりそうだとか。

それで5年生存が伸びる、ますます考え込んでしまう話ではあります。
(5年経って再発が無ければ、一応治ったということになっている)。




この項終わり。




2017年10月31日(火)
分子生物学から 2
DNAが遺伝子の本体であることはほとんどの方がご存じだと思います。 何々のDNAなどよく使われる言葉です。

その遺伝情報はゲノムと云います(英語読みではジェノムに近い発音なので英語でしゃべるときには注意)。 約30億文字があると見なせます。
それぞれはA, G, C, T の4文字の組み合わせです。

ややこしいことはわからないので置いておいて、DNAは2重の鎖状になっています。 二本のタンパク質の線の間にA, G, C, T に相当する情報がつながっています。
netから

人体には30兆から60兆個の細胞があります。 細胞のほぼ中心に核があって、その中にDNAが入っています。 
この紐の長さが2mもあるそうで、それが電球のフィラメントのようにくるくる曲がりくねって、小さな小さな細胞の核の中に入っているのは驚きです。

細胞は絶えず細胞分裂をして成長したり、入れ替わったりしています。

その分裂はDNAが命令を出しているそうで、DNA自体も新しい細胞にコピーされます。

この時に、DNAをmRNAというものに転写します。 ちょうど石膏の型を作るような感じです。 このmRANがアミノ酸を作って、たんぱく質を作って、とよくわかりませんが、なにせこういうことで新しい細胞ができてゆきます。

一方、DNAは死ぬメッセージも出します。 それによってその細胞は死んで、垢や老廃物となって人体から排除されます。

以上、詳しくは理解できなかったけれど、自分の体の中でこのようなことが常に起こっていて、常に細胞分裂して新しい細胞ができたり古い細胞は除去されたりしているのです。

この細胞分裂の時に放射線や薬物その他ストレスなどの要因で、正しくコピーされないときにがんや何らかの病気が発生します。

と聞くととても怖いようですが、この異常を正しく治す機能もあって、異常な細胞ができても普通は除去されます。 それでなければ人類が、いやほかの動物でも植物でも何万年も生き続けては来られなかったはずです。

石や金属はそのままですが、生物はどんどん生まれ変わってゆく。 その機構たるや凄いものがあります。 


以上
2017年10月30日(月)
分子生物学から 1
分子生物学、よく分からないのだけれど、その最新の研究で。

腸内細菌はよく使われる言葉で、善玉菌とか悪玉菌とか耳慣れた言葉です。

腸の中には数千種類の細菌が100兆個も居るという。 莫大な数なので解析が難しい。 それでも病気に関わる腸内細菌が分かってきたそうです。

ということから、腸内環境の改善による健康増進、疾病予防の可能性があることから、こんな治療法が考案されています。


腸内細菌ということで、うんこ、すなわち便の話です。

健常者の便をとって、フィルターで濾して、病気の人の腸に入れる。
そうすると、病気の人の腸の中が健常者からの腸内細菌に置き換わってゆくので病気が治るとのこと。

フィルターで濾すとは云え、他人の便を自分の腹の中に入れるのは気持ちが悪いですよね。 だから身内程度でしか行われていないそうですが、こんな治療法が研究されているそうです。

実際には前処置として、抗生物質を投与して腸内細菌を除去してから他人の便を入れるそうです。

なんか、書いていても、気持ちが悪い。 ここまでにしますが、腸内細菌が腸の病気だけでは無く脳の働きなどにも関係があるそうで、当たり前ですが、食物を採って栄養分が腸から全身に回るので、腸は大事なのです。


つづく



2017年10月17日〜
iPS細胞 1
京都大学医学部を通ったときに見たのが、

iPS研究所です。 建物が3棟ある。



ここ山中伸弥先生が研究しておられる。

iPSの名前は良く耳にしているけれど、内容は全く知らなかった。
今回、山中先生のスタッフの先生から初心者向きの講義を聴く機会があったのでなんとなく理解できた。

要旨をかいつまんで書いてみる


人間には細胞が30〜60兆個ある。 これは世界の人口の1万倍で、地球1万個に住んでいる人間の数に等しいとか。 要はもの凄い数の細胞から人間は成り立っている。


細胞というものは幹細胞という元の細胞があり、それが分裂していろいろな体の部分の細胞となる、 これを踏まえて。




1個の受精卵は分裂して、多様性幹細胞というものに分化してゆく。
この細胞はあらゆる細胞の元になる細胞で、どんな細胞にも変化できる。

この多様性幹細胞が神経幹細胞とか造血幹細胞とか、筋幹細胞とかに分化していって、それぞれから、体のいろいろな部分が出来てくる。  胎児から赤ん坊になり子供になり大人になり、どんどん細胞が増えてゆく。


多様性幹細胞が体のあらゆる部分を作る元となる細胞だ。

もし、この細胞が手に入るなら、それから任意の幹細胞を作りそしてさらに体の部分部分を作ることが出来る。

そこで、考えたのが、すでに出来ている体(細胞)から、今の経路を逆にたどることで、多様性幹細胞に戻すことである。 この戻した細胞がiPS細胞と呼ばれる。


では、どうやってiPS細胞を作るか?




人から取りだした細胞に、4つの遺伝子を加えて培養すれiPS細胞が出来るそうだ。

この加える順番などがあるようだが、この4つの遺伝子を見つけた辺りが山中先生の業績ではなかろうか?

実際の培養は、滅菌箱でシャーレやピペットを使った結構手作業です。 そこにはちょっとしてテクニックやコツがあるようで、コンピュータで自動化して培養することはまだ出来ないようです。 ですから、実用にするには難しい面がある。


さて、出来たiPS細胞は、一体何に使えるのだろうか?



まずは、再生医療。

例えば目の加齢黄斑変性に適用された例があるが、病気になった細胞を除去した後に、本人の細胞から作ったiPS細胞から作った網膜色素上皮細胞を移植して治療したそうだ。

どれほど良くなったのかは、はっきり聞けなかったが成功した例だとのこと。


なお、iPS細胞から臓器そのものは作れない。



シャーレの上でいくら増殖しても、臓器にはならない。

体の中だと、何かしらの信号があって、こちらが前、こちらが後ろとか上とか下の指令が出るようだ。 それによって臓器の形が出来ていくそうだが、その辺りの解析はまだできていない。 だから、そんな命令を出せないので臓器を作ることが出来ない。


しかし、iPS細胞を使った再生医療は次々に研究されている。 こんどは心臓だろう。




つぎにiPS細胞を使った薬の開発


IPS細胞そのもので薬を作るわけでは無い。
疾患のある人の血液や皮膚の細胞からiPS細胞を作り、その病気の部分の細胞を作ると、その中に病気の原因が含まれている。

そこで、この細胞にいろいろな薬を試して、病気が治る薬を探すという手法。

新薬を開発しなくても、多くの薬があるので、それらを試すことで、他の病気のための薬であっても、目的とする病気に効くことがあるそうなので、新薬開発よりは遙かに時間が短くて出来る。


以上、
でも、実際には前述のように培養に時間がかかる。 ということは時間だけでなく費用がかかる。 
そこで、その人自身の細胞を使わずに一般的と思われる人の細胞から作ったiPS細胞をストックしておいて使うことも試みられているようです。 

でも。いろいろな技術的な問題点とともに倫理的な問題点も多く、今度、いろいろな病気の治療に期待されながらも、解決すべき事項は多いようです。



iPS細胞を見た

顕微鏡というかルーペというか拡大してみる装置です。
光で照らされた下にシャーレがあってiPS細胞が入っています。 

シャーレには1mmぐらいの粒が沢山あって、紫や赤に染色されています。

これを覗くと

黒いものはゴミです。 染色されている塊がiPS細胞です。 3つほど見えています。
この塊で、数千個から一万個ほどのiPS細胞があるそうです。

京都大学のiPS研究所(CiRA)で作ったものです。
こうやって見ることが出来るとは思いもしませんでした。



おわり




2017年10月7日
ゲノム

今日はゲノムの話。

ゲノムって聞いたことはあるが一体何だろう?

簡単に言えば、DNAが生態情報を持っているがその情報そのものがゲノム。

?? 

親から子に遺伝子が伝わるが、DNAの情報のゲノムが伝わるとのこと。


両親から半分ずつゲノムを貰い、子供は新しいゲノムを作ってゆく。



体の中で新しい細胞がどんどん出来てくる、血液や組織が新しく入れ替わる

この時、DNAに記憶されているゲノムがコピーされ新しい細胞に複製される。

これが、たまにコピー間違いをするとがんになったり、奇形が現れたりする。

これは放射線や薬物などでも起きるのであるが、放射線関係無しに普通の状態で常にこういう事がなされているので、放射線に当ったからがんになるわけでは無い。


一方、ゲノムの変化でがんや病気が起きるのであれば、ゲノムを調べれば病気が解る。

そこでアメリカでは

何年か前だが、すでにオバマさんが、ゲノム抜きには医療や薬学はあり得ないと言っている。 国を挙げてこの辺りの研究をしなければならないと言うこと。

そして、現在行われているのがゲノム編集という手技。
人間への適用はなされているかどうか知らないが、

がんのゲノムを調べて、ゲノムのその部分の情報を書き換えるのである。
するとがんが治る。
もちろん、がん細胞はたくさんあるので、すぐに治るわけではないが、薬や放射線に頼らずにがんが治る。

がんに限らず他の病気も治る。

しかし、人間生命の根本であるDNAのゲノムを改変すると言うことは恐ろしい気がする。
科学的な知識だけでは無くて倫理的な検討がなされている。


ちょっと面白い話。
ゲノムは死んだ個体からも採集できる。 すなわちミイラや骨など大昔の人のゲノムも解析できるのである。

だから、日本人のルーツがどこから来たかな、我が家系は、貴族の誰々の子孫である、など文献では無く、ゲノムから解る。

文献は嘘が書かれているので、勝者が書いたり、事実の数百年後に書かれて信憑性がないものが多いが、ゲノムは嘘をつかない。

ということで、こちらの方面でもゲノム研究は活躍しているそうです。

そうそう、ゲノムを調べてがんを治す治療をやるとしたら一人5000万円ぐらいかかるとのこと。 それで5年生存が伸びるとして、考えますね〜