鉄道模型は電気で動く
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update 2007/8/9

鉄道模型は電気で動く。だからモーターに電気が来なければ動かない。
スムーズな運転のためには電気が来ることが絶対条件なのだ。
これは簡単なようだが、難しい。
電源、すなわちコントローラーからモーターまでの、電気回路を描いてみる。
色々な所にスイッチや接続部分がある。
これらが全て、電気的に接触不良を起こしてスムーズな運転を妨げる要因となる。

矢印で示した部分は全て要注意である。

 

1).電源から線路まで
まず、切り替えスイッチなど、いい加減な物を使わずにまともな製品を使えばほぼ大丈夫。
レイアウト下の配線で端子にコードを半田付けするのは避けよう。
半田は長年の内に外れると思って良い。
できるだけ端子をへらすことと、かしめやネジ式の端子を使うのが無難。
レイアウトの配線の故障は見つけにくく、修理しにくい。
電気やさんを呼んで修理して貰うわけには行かない。全部自分で修理することとなる。

そこで、配線図は分かりやすく書いてしっかり残しておこう。
線路については線路のつなぎ目、レールジョイントに注意したい。
特にレイアウトでは線路に色を塗るので、塗料がレールジョイントに入り込んで悪さをしかねない。

製作したときには大丈夫でも数年経ってから接触不良になることがある。

突然動かなくなって何処の部分に接触不良があるのか見つけにくい。

フィダーの数を多くしよう。

レールジョイントの部分に実物のようにコードで接続線を付けるのが良い。

レール同士の半田付けはひびが入って外れることあり。それに線路の伸縮を妨げ、線路を曲げることにもなる。
ポイント。
これは線路関係では最大の難関である。

ポイントの動く線路(リードレール)と動かない線路との接触だけでは充分な通電があるとは限らない。
なんらかの補助接点が必要である。
フライッシュマンの線路には補助接点が内蔵されている。
PECOの線路にも小さな補助接点が付いている。

しかし、ポイントの切り替えスイッチで2回路などを用いて、そちらでもフィードするようにするのが望ましい。
フライッシュマンのポイントは普通のスナップスイッチが使えるので、私はこの方法で集電を確保している。
一方、フログ部分が無通電の製品もある。
フライッシュマンやPECOなどである。こういう線路では、フログ部分に乗った車輪からは集電されない。

フランジで通電を確保する構造になったものもあるが、基本的にポイントをスムーズに通過させる対策としては車両の集電車輪を増やすことが最も良い。


2). 線路から車輪、そしてモーターへ
鉄道模型最大の難関は、レールから車輪への通電である、と思っている。
レールをこすって集電するのではなくて、車輪が転がって集電する。これは厳しい。間にゴミが入るとすぐ集電不良になる。
一般の電気の接点を考えても、両電極はかなりの力で押されている。

したがって、車輪とレールの間もかなりの力で押されるのが良いと考えている。

すなわち車両は重い方が集電対策としては良い。
 昔からある集電方式で、片側の台車の極性を変え線でつなぐだけ。
 

こういうものは良くない方式の見本である。車輪は汚れたり浮き上がることもあるので、集電車輪は多い方がよい。できれば先輪や従輪も含め全軸集電にする。
 そのためには、全ての車輪に集電機構が必要である。

ヨーロッパのプラ製品では集電シューを付けなければ集電できないことも含め、集電シューには力を入れているようである。
 そして日本でもカトーからHOのプラの製品が発売された。
その台車の集電機構を図示したものである。
これを始めて使った時に、矢印の部分が、単に接触して通電させているだけなのでそのうちに汚れて通電不良になるだろうと次のように改造した。
すなわち、接触部分を無くすために、上からのバネ板を切り、コードを直接半田付けした。
その結果、線路との間で接触不良するようになったのである。

カトーは実に上手く考えていたのである。
再度、元々の図である。
1の部分でT字型の集電機構を押さえている。
これは上の押さえバネとT字板との接触を考えているだけではなくて、上から押さえることにより、2で示すようにT字板と車軸との間も押さえて、車軸からの集電を確実にさせている。
さらに、3で示すように車輪と線路との間も上から押さえて、集電を確実にしている。
そして、この機構は反対側の車輪とも関係があり、全ての車輪が線路に押さえつけられるような、スプリングの役目もしている。

これは集電だけでなく脱線防止も兼ねている。
 また、車輪とT字の部分は特別な集電シューを使わなくて良いし、車軸中心なので運動速度も遅くて抵抗も少ない、さらにゴミなどで汚れにくい。 
こういう機構になっていると分かってなるほどと感心した次第である。

だから、上のバネ板を切ってしまってはこの効果が無くなるのである。

そこで、1の部分での接触不良が心配されるときには、単にT字板からバネ板に細いコードのみを追加している。


 また、トミックスの南部縦貫鉄道の2軸の気動車も、車輪一輪づつにバネをつけ基本的に上記の方法と同じ構造として、集電と脱線防止を兼ねた構造となっている。
このようにプラスティックの台車だからこそ出来る機構ではあるが、昔からの真鍮鋳物で作られた台車には集電の構造など無い。
考えようともしていない。
真鍮台車でも枕板を非導電性のもので作り、車輪も軸の中央で絶縁すれば、似たような構造で両車輪とも集電出来るはずである。
 蒸気機関車や電気機関車など先輪や従輪のあるものは、それらからも集電するようにすべきである。ある車輪は皆使え。勿論テンダーも。

 そうそう、シリンダーが真鍮製だと急カーブでは先輪が触れてショートすることもある。この部分は絶縁材料で作りたい。


そして、問題は2軸車両である。全軸でもたったの2軸。車輪数で4つ。
こういうときに、あの大きなLGBでも、直接線路を擦る集電シューを車輪の間に付けている。
HOゲージの機関車で、そんなみっともないことは出来ないであろうが、最終手段の一つに頭に置いて置いても良い。
フライッシュマンの2軸のジーゼルカーでこれに似た方法を採っているものがある。
 左の車輪の後にある装置、本物でもあるのだろうが何か知らない装置がある。


これにシューを付けて集電している。
 カーブ対応のために、この部分が左右に動く構造になっている。外からは集電シューということが分からない。

ここまで集電に気を使っているということである。
 ついでに同じ気動車のモーターの写真。
モーターの中にフライホイールが内蔵されているのが見える。
そして、伸縮式の連結器の構造も見える。
走りに関して気を使っている、というかこれが当たり前の考えなのであろう。

次に私の登山鉄道の機関車はラックレールで山を登る。
すなわちギヤの力でスリップせずに急勾配を上がるのであるが、同時に車体も持ち上がり気味になる。
これは集電不良を起こすという意味を持つ。

そこで機関車を重くしたいが、補重をするスペースが少ないだけではなくて、機関車全体に鉛のかぶせても浮き上がるぐらいの力が掛かっている。そこで集電を確保するには?
 客車からの集電である。客車に集電シューを付けて、機関車まで配線する。これでスムーズな走りを得ることができた。
このように、車両側での集電方式は大事である。

3). 小型車両の集電
 鉄道模型は電気で動く。電気が来なくなった瞬間にモーターは止まる。
そのことをしつこく言ってきたが、特に小型の車両では集電不良が起こりやすい。
その理由は
(1)軽量である
(2)集電する軸数が少ない
(3)速度が遅い
(1)、(2)前述であるが、速度が遅いこと。これは実物でも小型車は遅いので当然模型でも遅い。
遅ければ、僅かな接触不良でも慣性がないために瞬間に止まる。

大きな車両を大きなエンドレスでぶっ飛ばして走らせるのと違うのである。

高速運転ではモーターが止まる瞬間にはレールの違う位置に達しているので直ぐに接触不良を解消してモーターは回り続け、車両もスムーズに走る。
 しかし、小さな車両はそうは行かない。モーターに慣性がなければ瞬時に回転が止まり、ウオームギアがブレーキの役をして車両も止まる。するとレールの汚れた部分を通過できないので止まったままである。
 駅にスローで入ってくる場面では、まず駅の近くにポイントがある。ここを2軸車がゆっくりとスムーズに走るのは難しい。それを乗り越えプラットホームに掛かり、更に速度を落とす。
そして接触不良があると止まってしまう。接触不良で止まっているので、走り出そうと電圧を上げても動かない。そこで神の手の出現となる。
 だから、小型車両ほど集電対策が必要で、それを補助するフライホイールも必要となる。
 市電の模型ではフライホイールが絶対条件であることは運転すればすぐ分かる。
だが、なにせ小型車両。それらを具備するためのスペースが少ない。
さらにモーターのトルクもなく、かつ小型モーターで回転数が高いという気に入らないハンディーもある。
そこに集電シューの力が強ければ集電はしても、車輪は回転しない、など難しい問題がある。

基本的には減速比を大きくして、低速でもモーターの回転数がある程度あることである。
それには減速比の大きなギヤが必要であるが、ギヤが大きくなり車体に入らなくて使えないこともある。
当然HOより小さなNゲージではこの問題がある。
だからNゲージでは集電は良く考えられている。それでも小型車ではすぐに走らなくなることが多々ある。
HOでもしかり。完成した、テストランOKでもレイアウトでは使い物にならない車両にならないように集電機構には気を使いましょう。

そこで実際に改造した例を、「車輌」やあちこちのページに紹介しているので、それを参考にしてください。

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