DCCを考える。2009年12月バージョン

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update 2009/9/5
upload 2009/12/3

DCCを考える。

1.アナログ好きだがデジタルにもどっぷり。

DCC、デジタルコマンドコントロール、アナログ好きの私だが、けっこう早い時点でデジタル機器も触っている。パソコンしかりデジカメしかり。そして鉄道模型では第一次ウエルテン王国鉄道でメルクリンのデジタルを採用した。1988年のことだ。
そうしてデジタルを使っているものの、決して気に入っているわけではない。やはりアナログが好きなことには変わりはない。では何故デジタルかというと欠点もあるが結構利点もある。
 メルクリンデジタルが出た当時、同じ線路で2台以上の複数の車両が走らせられる、もちろんお互いに逆走もできる、ということだった。
これは、線路からの電流で機関車を走らせる鉄道模型にとっては驚くことで、そのこと自体で感心したのであるが、ラジコンの世界では飛行機や車が個別に制御できることは当たり前で、鉄道模型はすごく遅れていたことになる。
これは、線路にギャップを作ることで、アナログ(以下DC運転)でも複数の列車を線路に乗せ、必要に応じて各列車を選択して走らせられることで、あまり個別制御が必要だったわけではないことが、原因の一つに上げられるだろう。


2. デジタルを使いたい!
だから、各機関車にアドレスを振って個別に制御できるだけでは、あまり導入する気持ちが無かった。所が、実物を見てこんな運転をしたいというシチュエーションが生まれたのである。
それはスイスはチューリッヒ駅でのことである。
この駅は頭端式、すなわち線路が行き止まりになっている終着駅である。
ここにスイスはもちろん色々な国からの列車が到着する。当時は機関車列車であるから機関車を先頭にして、客車が後ろにつながっている。
さて、折り返しての出発は、初めに付いてきた機関車を外してそのまま止め置き、反対側の先頭に新たに機関車をつないで、出発するのである。そして出発した後には、初めの機関車がホームの端に残っている。
 だが、この時、この機関車が、客車のすぐ後ろ、10mほどのところを追いかけて走り出したのである。日本ではこういう時にどうしていたのかは知らないが、スイスでは前の客車のすぐ後ろに付いて、駅を出てそれから機関庫へと分岐して行くのである。
 これはびっくりした。列車のすぐ後ろを機関車が走る。でも、見た人みんなが感心した。次の列車が入ってくる前に確実に機関車が出てゆく。これが一番安全な方法だろうと。

さて、これを模型で実現させるためにはデジタルしかない。ということで、メルクリンデジタルで試したわけです。

結果は面白かったが、レイアウトをそんな線路配置にしていないので時々遊ぶだけで終わった。ただ終着駅に機回し線を付けていない小さな駅では有効な方法で機会があれば採用しようと思っている。


また、違う運転方法は退避線付きの駅があるエンドレスで、2列車を同時に運転して、一列車が駅に止まっている時に、急行列車が追い越して行くという運転も可能である。


3. デジタルからアナログへ戻っちゃった
このような運転ができることがデジタルの大きな利点である。
ただ、運転士が私のみ、一人では2台の列車を動かすのは面倒だし、時々一台を止め忘れて車止めにぶっつけたり結局一人では1台しか運転できないので、複数台数動かせられる利点というのは、あまり役立たなかった。
むしろ、アナログではポイントの切り替えだけで車両の選択ができ、そのままスロットルを上げれば走り出したのに、デジタルではポイントの選択と同時に機関車番号を入力しなければならないので、むしろ面倒であった。そして機関車が増えるとこの機関車番号が覚えられずに、思った以上に手間がかかったのであった。
ということで、これがデジタルの欠点で、結局ウエルテン王国解体後、他のレイアウトではDCに戻したのであります。


4. 音は楽しいぞ! やっぱりDCCか?
その後、音が出るDCCが開発され、機関車からスチーム音や汽笛が出るようになった。
そして止まっていても、客車の室内灯が点灯する。これは画期的なことで、一気にデジタルの値打ちが上がったと思った。
ところが、音声付きの機関車は価格が高い。しかもコントローラーも高価である。
しかし、頑張ってフライッシュマンのコントローラーと電気機関車を購入した。
そこで、走らせると、まず、スタートがスムーズである。まるでトランジスターコントロールのように、コントローラーのつまみを一気に上げても、機関車はゆっくりと走り出しだんだん加速してゆく。まず、これに感心した。
そして、電機関車なのでモーターの音やコンプレッサーの音がする。ふんふん、なかなか面白い。

だが、他の機関車も音声付きの
DCCにしたら大変な出費になる。
 こんなことをしていたら破産だ! 

えーい、売ってしまえと2年ほど試して電気機関車は売ってしまった。そして
DCCのコントも手放そうと思ったが、2度と買えないぐらい高価な品物だったので、しまっておいた。

実は初めに蒸気機関車を買えば、そのサウンドでもっとのめりこんでいたのかもしれないけれど、サウンド付きはテンダーロコしか無く、我が鉄道には大きすぎたので初めから買う対象には入っていなかった。

ところが、BRAWAからタンクロコでサウンド付きが出た。
これはダイキャスト製でもあり、私としては今までに買ったことのない価格であったが、一台は蒸気機関車を持っていないとDCCサウンドが良いのかどうか、すなわち、一生の鉄道模型の方針としてDCC化するべきかどうか判断ができない、など勝手な理屈をつけて購入に踏み切ったのであります。
 さて、このサウンド、実に良い。走り出しのなんとも言えないブラスの音、ロッドのカランカランというような音も聞こえる。そして、ただ走らせるのではなくて、汽笛を鳴らして走り出す。これは運転士の気分になる。
 実際、これに慣れたら、DCの機関車でも汽笛が鳴らないか、何とかならないかと思ってしまう。
そして、走っている時だけでは無い、止まっている時も、プシューとか何とか音がするし、ファンクションで選べば、コンプレッサーの音などもしている。ここのメーカーの音の良いところは、止まっている時に鳴りっ放しではなくて、静かになって、そのうちにまた音がし出すことである。これは良い。鳴りっ放しだとやかましいのだ。

 

これで気を良くして、ではジーゼルはと、気動車のサウンドデコーダーを買ってきて、ドイツ型気動車のVTに入れてみた。
 スロットルを上げると、エンジン音がだんだん大きくなる。そしてかなりエンジン音が上がったら徐々に走り出す。ブンブンブンというかゴロゴロゴロというかエンジン音とともに走り出すさまは感じが良い。もちろん警笛も鳴る。プアーンという感じ。ただこの警笛音が小さい。頼りない。これは何とかなるものか仕方が無いものか良く分からないけれど、ちょっと不満な点だ。もちろんこれも停止状態でもエンジンのアイドリング音は聞こえる。
ただ、蒸気機関車と比べると、ちょっと喧しい傾向だ。だってエンジンのノイズ音なのだから蒸気機関車のダイナミックな音とは違って当然なのだ。同じことは電気機関車にも言えて、音はすれどももう一つ魅力的な音では無かったので手放したのである。
でも、最近の電気機関車で、インバーターの「どれみふぁそらしどーー」 でも入れれば感じが違うし、欲しい。もちろん販売されている。



5. 運転シミュレーション
こうやって、DCCでは音が魅力だと書いているが、音すなわち運転が面白くなるのだ。
例えば先ほどの蒸気機関車。
 まずスチームの音をONにする。すると釜に火が入った感じで音がし出す。そして、この機関車は発煙装置も入っているので、ファンクションスイッチで煙を出す。発車のときには車掌の笛を鳴らすことができる。だから出発はまず車掌の笛の音を出して、それに応えるように汽笛を鳴らす。そしてスロットルを上げるとスチームの音とともに煙を吐きながらゆっくりと走り出す。
 このゆっくりも
DCCの特徴でBEMFという回路でモーターの回転を制御しているのでモーターの回転が少ない時でもきっちり速度制御できるそうだ。だから、音無しで、低速のスムーズさだけでもDCCが魅力だという人もいるそうだし、私もこれは大きな利点だと思っている。
おっと、出発前にヘッドライトも点灯しましょう。そしてだんだん速度が巡航速度になると、運転は手持無沙汰になる、と思いきや、そういう時には汽笛を鳴らす。そしてたまにはスチームの音を切って、静かに走らせたり、コンプレッサーや投炭の音を出したりする。もちろんこれはデコーダーによってどんな音があるのかは異なるが、それなりに走りながら制御して楽しめる。
 やがて列車は街並みや駅に近づく、すると今度は鐘の音を鳴らしながら走らせる。鐘はアメリカ型だけだと思っていたらドイツ型にもついている。そして人家の近くや人の居そうな場所では鳴らしっぱなしにして走っているようである。これも、ドイツで軽便鉄道に乗った時に経験したので、鐘の音も懐かしい。
 そうして、駅に停車。これも実にスムーズに停止位置きっちりに止まれる。なぜなら、速度が遅くなっても、さきほどのBEMFが効いているので、モーターが止まったりしない。
それから、もし急ブレーキに近いような速度減速を行った時にはブレーキのキーという音が鳴る。これも面白いし、実物の客車列車ではこのブレーキの音がかなり聞こえるものだ。
 そして、機関車が駅に止まっている間も、機関車からは蒸気機関車独特の音が色々聞こえている。その後、機関車を機関庫に単機回送する時も十分面白い。
 ここで最近のことだが、こういう音が出る機関車を走らせた後に、天賞堂のプラ9600を走らせて実につまらない気がした経験がある。いくら良く出来た機関車でも写真はともかく、走らせたら音がしないと値打ちがガタ落ちと感じたのである。だからそのうちにこれもDCC化しようと思う、幸いDCCに対応するようにスピーカー取り付け穴もあるので。


6. でもやっぱりDCCは増えなかった。
このように絶対にサウンド付きDCCが楽しいことは確かであるが、それから45年もDCCは買わずに、DCの機関車のみ増えていった。
それは何故か? まず、手持ちの機関車類は沢山ある。それらを全てDCC化することはまず技術的に難しい。数年前からヨーロッパの車両には全てと言ってよいほどDCCの端子が付いていて、私自身もかなり持っているのだが、なにせ、小型機関車が好きなので、スピーカーを入れる場所が無くサウンドは無理である。
 そして、もう一つ大きな問題は費用である。サウンドなしのデコーダーなら数千円であるが、サウンド付きとなると、私の使っているロコサウンドは二万円近くする。
ということで、購入して楽しいことは分かりレイアウトもDCC対応可能にした。これは全ギャップをスイッチ一つでつないで、ポイントが反位でも客車のライトが点灯したり、機関車から音が出るようにした。 しかしDCCは年に1度ぐらいしか使わなかった。


7. DCCの良いところ悪いところ
そして、小型でサウンド付きの蒸気機関車で気に入った形が新たに発売されたので、何年かぶりにDCCの蒸気機関車を買った。これも音は素晴らしいのだが、実は欠点があった。
動輪全軸にゴムタイヤを履いていて、テンダーと先輪からしか、集電していない。そのために、たまに集電不良がある。そのとき、DCであれば僅かな集電不良なら何事も無いように走るのだが、DCCでは、一瞬止まりあらためて加速し出す。これはデコーダーと言うコンピュータが一瞬の停電でもリセットされてしまい、その後コントローラーからの信号に合わせるべくあわてて指令された速度に戻そうとするからだと考えている。

ということで、実はDCCは接触不良に弱いのである。しかし、集電には強いのである。何か矛盾したような事を書いたが、DCCでは15Vほどの電圧が常時線路に流れている。そしてそれを拾って走るのであるから、数ボルトという低電圧から走り出すDCと異なり、集電には強いというわけである。だからスパークも少なく線路も汚れにくい。
ところが、もし集電不良があった時には前述のように一旦停止的な挙動をするので、集電には気を使わなければならない。
ただし、低速で走行している時もDCCでは15Vほどの電圧を拾っているので、少々では集電不良で停止することは無い。それに対して、DCでは低速では電圧が低いために特に集電不良になりやすく、駅に停止する時に速度が遅くなって線路の汚れに遭遇するとストップしてしまう。そして、次に動き出そうとしてコントローラーのノブを回転させても車両は動き出さない。これは線路の汚れのために停止したのであるから、当然そこで電圧をかけても動き出さない。こういうことがDCCでは皆無に近いと言っておこう。

つぎにDCCの有利な点はやはりBEMFにより、速度を一定に保つことができることである。たとえば急カーブにかかり速度が落ちたり、上り坂で遅く、下りで速くなるようなことは無い。自動的にモーターの回転を一定に保つようになっている。
 これは、特に小さなレイアウトでは有利である。急なカーブ、急なこう配、そんなものへっちゃらだ。


8.
 Nゲージではどうなんだ?
だから、サウンドがDCCの魅力だと言ってきたが、基本的な走行に関してもDCCは有利である。
 ということは車両が軽く、低速性能も悪いNゲージではこの恩恵が大きいはずである。
HO用のデコーダーでNゲージを試したら、案の定低速性能は良くなった。特に走り出しで、ダッシュしていたような機関車でもゆっくりスムーズに走り出した。もちろん高速性のは問題ないというよりDCと変わらない。Nゲージの車両が駅からゆっくり走り出す。初動そのものがゆっくりなのだ。だからとても感じが良い。
 ただ車両によってはギヤ比の関係かモーターの低電圧仕様のためかHO用のデコーダーでは、最低速でモーターがぎしゃくしゃ回転し、がくがくした走りになり全然話にならないものもあった。そこでCV値を変えようとしたが、コントローラーが機関車を認識しなかったためにCV値の変更はできなかった。これらはNゲージ用のデコーダーにすれば解決するかもしれない。
 そして、ついにBトレインも試してみた。これは駄目だな。スロットルを回したとたんにダッシュ。もっとスロットルを回して高速になると何とかまともに走るが、まるで使い物にならない。これはモーターが小さくて、Nゲージ以上に低電圧仕様なのであろう。

 それから、トミックスの鉄道コレクションも一緒。こいつも突然ダッシュ。これらにはもっと低い電圧での
DCC制御器がいるのであろう。ひょっとしたらこれらもNゲージ用のデコーダーなら良いのかもしれない。もしうまくゆけば、スローに弱いこれらの車両には特に有効かもしれない。でもせっかく安い車両なのにデコーダまで買うのは割が合わないかもしれない。



9. HOナローは?
 これも基本的にNゲージと同じ。モーター特性とデコーダーが合えば、スローが効いて実に感じよく走り出す。合わないとやはりダッシュ。まあ、これについてもNゲージ用のデコーダーでテストしないと良くわかりません。


10. 客車の室内灯など
 列車が止まっていても室内灯が点いている。これは理想としてきたことで、高周波点灯など、昔から大変難しいことが試みられている。

それが、何もしなくても電気がつくのである。これは素晴らしい、、、、、、ところがところが、実は電球仕様の室内灯の客車で大変なことが起こった。線路に常時
15Vほどの電気が流れている、ということは、、 電球がフルに点灯している状態で明るくて良い。 と思っていたのだが、ある日客車の屋根を見るとへっ込んでいる。

 プラ製の屋根だ、もうおわかりだろうが電球の熱で屋根のプラスティックが変形したのだ。そこで、屋根裏にアルミテープなどを張ったりしたのだが、根本的に線路に乗せている間中、走っていようが止まっていようが、電球がフルに点灯している。
これはきつい、熱で変形しなくても電球切れの可能性が大幅に高くなる。
 じゃあ、点灯させなければ良いではないか、となると、退避線などに止めた時にはギャップで線路を遮断して消灯するか、客車に室内灯のスイッチをつける必要がある。もちろん電灯用のデコーダーを使う手もあるが、全部の客車に入れるにはかなり高くつくし、コントローラーからの操作も面倒だ。だから、発光ダイオードに替えて熱を少なく、寿命も長くする手段が必要だ。
 もっとも、少し走らせて客車を交換すれば何もしなくてもいけれど、多分めんどくさいと思うよ。
次にテールライトが面倒だ。これは走行方向に関係なく常時点灯する。これにもデコーダーを積むか、なんらかのスイッチを用意しなければならない。
電車なら、モーター車すなわちデコーダーが点いた車両から先頭車まで配線を引く手もある。でも連結解放時どうするか、これまた面倒な話である。

夜行列車は実に気持ちが良い。何と言っても室内灯が綺麗に点灯するし、速度に関係なく一定の明るさだ。そして駅に停車しても点灯していて、窓から漏れる明かりがホームを照らす、素晴らしい。でも、さっき言ったような問題もあるし、第一私の手持ち車両には照明が入っていないものが多くある。まずはそちらの整備からか。


11. 音へ不満
 順番がちぐはぐになったが、音がするのでDCCは楽しいと述べたが、多少音にも欠点がある。それは車載スピーカーによるもので、DCCだけとは限らないが、低音が出ないことである。

 ご存じのように低音はスピーカーのコーンの面積に関係して、大きなスピーカーでないと低音は出ない。逆に言うと鉄道模型に積み込めるような小さなスピーカーは高音しか出ないということだ。

 だから運転会などで
DCCの蒸気機関車の音を聞いてもあまり魅力が無かったこともある。蒸気機関車の音はもっと低音で体をゆすらせるぐらい迫力がある、と。それは事実だが、広い会場で騒音のある中で聞く音と、狭い自室で聞く音では違う。家で聞くと多少でも迫力が増して聞こえる。
だが、本当は外部スピーカーで低音を出せればと思うことがある。これは天賞堂のSL1あたりのサウンド装置はコントローラーに音源が入っていて、それを機関車に送って機関車から音を出すものだ。だから、何となれば機関車と別に、大きなスピーカーをレイアウトに下において低音を出せば、如何にも機関車から低音が出ているように聞こえる。低音は指向性が少ないことを利用した方法だ。
だが、音源を機関車の中に持っているDCCではこのような離れ業は出来ない。そこで迫力ある音はつらいものがあり、出来る範囲で大きなスピーカーを積むぐらいしか対応策が無い。


12.
 CV値の変更
 実はこらはものすごく手間だと考えていた。というのも私のコントローラーはフライッシュマンで説明書がドイツ語と英語で書かれていたからだ。でも販売店(モデルバーン)が主要な部分を日本語に訳してくれていたので、まあかなり分かりやすかったのだが、CV値とは何かを知らない私は、文を読んでも理解できずに単に書かれているままで機関車番号と少しのセッティングを行ったに過ぎなかった。
 しかし、色々な本が売り出され、その気になってコントローラーを調べると、案外簡単にCV値を変えられる。例えば初動電圧とか、加速度、減速度などである。今のところこれ以上は触っていないが、そのうちに音量など触れるものは触ってみたい。
 でも、CV値は100以上の項目があって奥が深いのだ。でもその分気に入るように変えられるということだろう。


13. 音の変更
 初めのころは音付きのデコーダーを買ったら、そこに記録されている音しか出せなかった。ところが、先日LOKSOUND,という製品を買いに行った。小型蒸気の音付きはありますか? というと、音は好きなものを入れられるとのこと。 
 そうなんだ、その会社のホームページから気に入った音をダウンロードしてデコーダーに記録できるのだ。本当は自分の機関車の実物の音を入れるのが基本であろうが、それがなかったり気に入らなかったりしたら、他の機関車の音でも入れられるのだ。それどころか、蒸気機関車にジーゼル機関車の音だって入れられるのだ。
 だから、購入して機関車に入れて、その走り具合と音が合わないと思ったら違う機関車で気に入った音のものを探して店に行って入れなおしてもらえば良い。その音自体は先ほどのメーカーのホームページから自分で聞くことができる。
 このときパソコンとデコーダーの間に入れるアダプターを購入すれば、自分でダウンロードして入れることもできるし、もっと凝った人は自分で録音した音や、編集した音も入れることができるという。
 ここらあたりはメーカーに依るのかも知れないし、デコーダー自体に標準仕様の部分とメーカー独自のアレンジを行える部分があるので、自分に気に入ったメーカーの品物を買えばよい。もちろん基本的にはどのメーカーのデコーダーでも同じコントローラーで制御できるはずである。


14.
 DCとの混在
 さてDCCの良いところは分かった。でもDCの車両も沢山持っているし、金銭的にも全部DCCにするわけにはゆかない。それにDCの良い所だってある。
 DCDCCの混在は出来るのだろうか?
まず、DCCDCCらしく走らせるにはDCCのコントローラーが必要だ。でもDCのコントローラーでもDCCの車両は動くのだ。もちろんDCの車両と同じように速度もコントロールできる。とどの本にも書いてあるのだが、たしかにDCのコントローラーでDCCの車両は走る。その逆は無理だ(設定で可能なものもあるそうだ)。
それで、DCCの車両をDCで走らせたら、スムーズに走るものと、僅かなつまみの回転で急に速度が変わるものがある。たしかにDCで走るとは言え実用にはほど遠いものもある。これもCV値の変更で対応できるのかもしれないが、まだ試していない。
我が鉄道では、通常はDCで走らせている。たまにコントローラーを交換してDCCも走らせる程度である。ただ、DCCを使った場合でも、ターンテーブルと機関庫はDCのままである。そこで、DCCの車両がターンテーブルに乗る時にはDCで走ることになり、DCでも走ることができることは大きな利点である。なお機関庫には数台DCの車両が停留しているので、ここまでDCCにすると車両を全部下ろさなければならないので当分この部分はDCのままにしておく。
 それから、音付きのDCCの車両をDCで走らせるとどうなるか。

これはメーカーにも依るが音が出る製品がある。すなわち
DCで走らせてもしゅぽしゅぽ音が出るのである。

だから、思わず
DCCで走らせているのかと思ってしまうがDCでもスムーズに走り音もしているのである。多分、天賞堂のカンタムシステムがこの類いだと思われる。あの中身はDCCとのことで、日本でDCCのコントの普及率が低いためにDCでと売り出しているのではないだろうか。



15.
 DCCはどこで買えるのか?
 実はどこの模型店でも売っていると思っていた。答えは全然である。私はヨーロッパものなので昔からモデルバーンで購入しているが、カトーで扱っているのは知っている。カトーの製品はアメリカのものだと思うが、アメリカはDCCの普及率が高い。ヨーロッパも全てと言ってよいほどデコーダーを取りつけられるように、ソケットが付いている。
東京ではさかつうや熊田貿易がかなり扱っているとのことだが、全国的には扱っている店は僅かである。まあ、いまや通販で簡単に買えるので買うのは何とかなるが、相談する場所が殆どない。また、日本型の音源もほとんどない。永末システムが僅かであるが出している。)


16. 何故DCCが普及していないのか?
 何故、デジカメ、コンピュータなど電気製品が世界最先端を行く日本でDCCが普及していないのだろうか。 まず、鉄道模型をやっている人は案外電気に弱い。私も簡単な配線ぐらいで、回路を考えるなどできない。
 昔メルクリンマガジンを毎月買っていたことがあった。かれこれ
25年以上前の事であろうか。そのころでさえ、メルクリンマガジンには電気回路、プリント基板などの記事が毎月載っていた。
 もちろん
ICを使って何かを制御しているのであるが、信号やキャブの切り替えなどであろうか、なにせドイツ語でまったくなんの回路か分からないが、その時に鉄道模型にどんどんエレクトロニクスが取り入れられているのだと思った。
そして、その頃だと思うがメルクリンの機関車に登り坂や下り坂で速度が変わらないような回路が組み込まれたものが発表された。
 少なくても日本でそんな機関車が売り出されたことは聞いたことが無いが、早い話が、模型の世界で走りをどんどん良くしようと色々な電気的な試みがなされてきたのだ。
 でも、日本は走らせない、できるだけ本物に忠実に作って、飾って楽しむ?人に見せて楽しむ、という走りを無視した世界が確立していた。
だから、その延長でDCCという走りを主体とした機構ができてもなかなか飛びつかない。
 若いコンピュータ好きな人がDCCをだんだん取り込んでいるようであるが、むしろコンピュータの延長で、鉄道模型としてDCCはやっと知られ始めたという位置づけであろうか。
これでは日本型の音はなかなか出てこないだろう。買う人がなければ商売は成り立たないからだ。
だが一番DCCを普及させる手段はトミックスがDCCを開発して安価に売り出すことだ。

一応カトーも出しているので、ここらあたりが鉄道模型のマニアでは無い人を対象に手軽に使えるように売り出せば普及するかもしれない。なにせ、マニアになればなるほどこういうものを否定するような気がするので。

ところで、DCCの普及は走らせることにあることに気が付かれただろう。そうだ、一番の問題は家で走らせる場所があるかどうかにかかる。
HOは広い場所がなければ走らせられない。たしかに精密な真鍮の製品はそうだろう。だが最近のプラスティック製品はR420を無改造で曲がれるものもある。そう、カトーやトミックスだ。
そうすると、このホームページでも一番アクセスのある「一畳あればHOは走る」が生きてくる。そこで、DCCの車両をいやというほど走らせればよい。それなら多少出費しても元は取れるだけの値打ちはあると思う。

 


17. DCCで楽しめるギミック
 数十年前にメルクリンデジタルが発売された時、客車の中で踊る人形が組み込まれた車両も売り出された。もちろんデジタルコントロールで制御するのである。

そして、最近ではパンタグラフの外部制御や客車のドアの開閉など色々なギミックが盛り込まれている。ここらが、写真写りだけを対象に作ってきた模型と全然違うところで、動く様を目で見る、もしくは動画の世界である。だがこういうギミックを動画で見ると、なんだ、おもちゃくさいと思う人が多いと思う。

だが、ファーラーのカーシステムでもそうだが、実際に動いているところを肉眼で見ると違う。

模型の世界では動かなくて当たり前と思っていたことが動いている様子を見ると、たとえ動きがおもちゃくさくても、そんなことはすっ飛んでしまう。思わず感心してしまうのだ。

だから、先ほどの客車のドアと言ったが
ROCOの初心者セットに付いているものは、発車の笛が鳴るとドアが順番にバタンバタン音を立てながら閉まってゆく。動画しか見ていないがそれでも感心した。
 だいたいギミックと言うのは、初めはまがい物のように思うかもしれないけれど、だんだん普及してきたらそれが当たり前に思ってくるものだ。車が動くことしかり、人が動くこともしかりだ。こういうギミックに対する遅れも、DCCの普及の日本と海外の差かもしれない。


18.
 全部DCCにすることは無いんだよ。
 実は私もメインはまだまだDCである。もちろん今まで述べたように手持ち車両や費用、そしてDCCの手間がかかる部分などの問題が山積みしていて、簡単には全面DCCに踏み込めない。
 でも、DCCの魅力が分かったところで、ある部分だけでDCCを楽しめば良い。
それは、先ほど述べたように、定尺ボードの上で走らせてみる。
車両は沢山いらない。一両だけでもよい。DCCは走らせること自体が面白いので、車両をとっかえひっかえしなくても楽しめる。だから一両だけでも良い。そして、引き込み線1本で貨車でもつないで、入れ替え、というほどでもないがつないだり外したりすれば、機関車のサウンドが楽しめる。そう、走り出す音や止まる音だけでも楽しいのである。
 こうして、少ない数の車両だけででも楽しめるので、費用的には初期投資が必要だが、真鍮製の客車程度だろうか、機関車を買うほどの金額はかからない。
ということで、取り合えず私はこうして遊んでいる。

一方、DCCを外付けにする方法がある。DCCデコーダーを車両に積まずにコントローラーと線路の間に置くのである。そして線路にはDCの車両を乗せれば、DCCとして運転できる。この利点は車両を改造することなしに、DCCの低速性能を利用できることである。
今のところNゲージやHOナロー、Oナロー、もちろんHOでも試しているが、モーターとの相性はあるが、これならデコーダー一つで色々な車両をDCCで走らせることができる。電車など音付きのデコーダーをエンドレスの真ん中に置けば、警笛やブレーキ音はもちろんインバーターの音も楽しめるであろう。Nゲージはこれで行こうかと思っている。
だから、大げさに考えずに、取り合えずコントと一台の音付きの車両を手に入れて遊んだら模型の世界が変わるかもしれませんよ。

初めにアナログ人間だと言いました。これほどDCCについて書いたのですが、やはりアナログでスムーズに走らせたいという気持ちも捨てられません。だから、なにも全面DCCにするつもりも無いのです。
追加
  DCCは、2台以上複数の機関車を走らせることが出来る。
 でも、一人では同時に2台走らせることは煩雑で、私の小さなレイアウトでは実際には行わない。だから、この意味から音無のDCCはあまり魅力が無いと言ってきました。(もちろんBEMF機能で低速が安定している利点はあるが)。

でも、実は複数の機関車を走らせられることは、逆に複数の機関車を止め置き出来ることなのです。

すなわち、同じ線路の上に複数の機関車を置いておける。

だから、機関庫や引き込み線などに数台の機関車を置いておくことが出来て、それを個別に動かすことで、並んでいる順番を変えたりできる。

これはアナログDCでは出来ない芸当で、このこともDCCの大きな利点であることが分かった。
このことは、小さなレイアウトや機関庫などのセクションレイアウトで特に有効だろう。

だからたとえ音源を入れられない小型機関車でもこの恩恵にあずかれることになるので、もうちょっとDCCの機関車を増やそうかと考え始めました。

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