川紀行 
第1部 アメリカ編

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第1部 アメリカ

   1. シカゴ川

   2. ミルウォーキ川

   3. ポトマック川(ワシントン)

   4. ブランディーワインリバー(デラウェア)

   5. チャールズ川(ボストン)

   6. ゴールデンゲートブリッジ(サンフランシスコ)

   7. ワイメア川(ハワイ)

 


1. シカゴ川

シカゴはミシガン湖に面した大都会である。
シアーズタワーやジョンハンコックなど100階クラスのビルが建ち並ぶ。その昔はギャングがマシンガンを持って暴れ回ったので印象が良くない町かもしれない。

 しかしそんなに恐い町ではなく美術館や博物館も沢山ある。シカゴ美術館は貫禄のある建物でピカソやゴッホは勿論、エミールガレの花瓶や日本の美術も多い。

また科学的なものが好きな人には科学技術博物館がある。

中にはOゲージの大きなレイアウトやドイツから占領したUボートそして鉱石類もあるが、生物も得意で本物の人体をハムの様に切った輪切りには驚く。


 シカゴ川はミシガン湖から出て町の中を流れる狭い川であるが、湖の近くでは広くなり何隻もの遊覧船が客待ちをしている。


 この船に乗るとまずミシガン湖に向かう。湖との間には大きな門が2つある。1つ目の門を通ると船を岸壁にロープで縛る。

蠅の様にいるモーターボートも同様に縛る。次々と船が増えて来て岸壁に隙間がなくなった。

すると小さな船は大きな船にぶら下がる。

 モーターボートの上はビキニ姿の若者から、年寄りまでのんびりと次の門が開くのを待っている。

やがて後ろの門が締まり前の門が開くとミシガン湖からどっと水が入って来る。

これに流されないように縛っていたのだ。そして船は一斉に広いミシガン湖へと出て行く。 ミシガン湖から見たシカゴの町は背の高いビルが建ち並び、すばらしい眺めである。


 手前には緑にはえるグランドパーク、ビルの10階にも届きそうな大噴水、そして後ろにそびえる高層ビル群。



 ミシガン湖のクルーズを満喫した後、船は再びシカゴ川に戻り町中のクルーズとなる。高層ビルは道路より低い水面から見るので一段と高く見える.そのために船の天井はガラス張りである.

 幾つもの橋の下をくぐるが、中には橋の床が金網状の金属で出来ているものがあり、それを通して空が見える.これは跳ね上げ橋で軽くするために金網にしてある.

たしか映画で上がりかけた橋をオートバイでジャンプするのを見たことがある.

2. ミルウォーキ川

 「ミュンヘン、札幌、ミルウォーキ美味いビールの合い言葉」
というビールの宣伝があった。

もちろんサッポロビールの宣伝である。この中で私が訪れた順は、ミルウォーキが一番最初で、次にミュンヘン、そして何故か日本の札幌が一番最後であった。 

ミルウォーキには電気機器の大メーカーがある。

その工場を見学に訪れた。友人と2名のつもりが都合で一人になった。ただしそのメーカの日本人のスタッフの方が2名同行してくれていた。

待ち合わせたホテルに会社から黒塗りのリンカーンのリムジンが迎えに来た。私がVIPなのである。



 アメリカの会社は入り口に星条旗が掲げてありそこに本日の来客として私の名前が書いてある。
 アポイントメントを取らないと横にいても逢ってくれないが、それさえすればきっちり対応してくれる。

 実はこの時、英会話学校に1ヶ月通っただけだった。習った人なら分かるだろうが1ヶ月では挨拶がやっとだ。その英語力で工場の説明を受けるのは辛かった。


 そして無事終了して夕食を食べに行った。ミルウォーキ川のほとりのレストランである。
ミシガン湖で取れた白身の魚料理が有名だそうだ。一緒にいる日本人も外人が一緒だとすべて会話は英語で行い英会話1ヶ月の私はとても辛い。



しかも私がVIPである。

ウエイターはまず私に注文を聞きに来る。まるで拷問である。

 いよいよ困ったとき優しい女の人の声で、「何になさいますか」と日本語が聞こえた。

天の助けだった。

その女性は店の女将で、大阪の守口出身という。私が毎日通勤している途中にある市だ。思わず親しみを感じてこの場はなんとか切り抜けられた。 


翌朝、一人に解放されてミルウォーキの町を散策する。

ミルウォーキ川の横の緑の芝生で幼稚園児達が先生と遊技をしていた。横をリスが走り回っているのを見て、やっとほっとした。


 


3. ポトマック川(ワシントン)

 ポトマック川はアメリカの首都ワシントンを流れている大きな川で、川を挟んで国会議事堂やホワイトハウスがあるワシントンモールとアーリントン墓地がある。
 
 そしてアーリントン墓地には暗殺されたジョン.F.ケネディーの墓があり永遠の火が燃え続けている。

そして以前見た旅行記で、ケネディの墓の写真を撮ったのだが何故か写っていなかった。
ケネディの怨念だろうか、という様なことが書かれていた。


 そこでワシントンに行ったら是非ケネディの墓参りをして写真を撮ろうと思っていた。


 モールにはスミソニアン博物館がいくつかある。航空宇宙博物館や歴史技術博物館などである。

 航空宇宙博物館にはリンドバークの飛行機やアポロ11号などが飾ってあったが、さすが真珠湾のシーンを再現した零戦の展示場は長居は出来なかった。

 他の博物館には大陸横断鉄道の蒸気機関車が展示してあった。
その大きさたるや、恐竜とも思える大きさで、日本のC62など比較にならない。


 ワシントンモールは突き当たりに国会議事堂がある広い芝生の公園だ。ここに沢山の出店や見せ物小屋が出ていて楽しめる。

 さて、今から周回バスでアーリントン墓地に行こうと思ったときに、近くにあった出店のテントから火が出た。

 凄いサイレンの音を立てて消防自動車がたくさん来た。野次馬になってボヤを取り囲む。

 まもなく火が消えて、周回バスに乗り込む。バスはリンカーン記念館の横を通って、ポトマック川の長い橋を渡り、アーリントン墓地に着いた。



 墓地は山の傾斜にあり、綺麗に整備されてまるで公園のようだ。ケネディの墓は少し登ったところにあった。永遠の火が燃えている。

 お参りを済ませてカメラを取り出した。ところが驚いたことに残しておいたはずのフィルムが1枚もない。

10枚は残っていたはずだと思ったのだが・・・。

 その時モールであった火事を思い出した。突然のハプニングに夢中で撮影してしまったのだ。何と言うことかやはりケネディの墓を撮影できなかった。これもケネディの怨念であろうか。

 


4. ブランディーワインリバー
 ブランディーワインリバー、綺麗な名前である。

この川はデラウェア州にある。

多分ほとんどの人はデラウェアの名前は知らないのではないだろうか。聞いたことがあるとしたらブドウの種類であろう。

 デラウェアはフィラデルフィアの近く、東海岸にある小さな州である。

ところがこの州はアメリカで一番始めに出来た州である。

そのためにファーストステートとも言う。これを住民は自慢して車のナンバープレートにもファーストステートと書いてある。


 ブランディーワインリバーは山間の小川である。谷川である。 

 川の片側には京都の疎水のような煉瓦で出来た水路がある。物を運ぶためだ。

そして所々に小屋がある。
この小屋は川に向かった方向は木で作られているが残りの3面は頑丈な石作りである。

 実はこの小屋は火薬を作っていた小屋で、もし火薬に引火して爆発した時に圧力を人のいない川に向かって解放し、後ろは安全になるように川の方向だけ木で出来ているのである。



 ブランディーワインリバーは綺麗な名前であるが、実はこんなに恐ろしい物を作っていたのだ。

しかし、秋には落ち葉が川を赤く染め実に美しい。多分、川の名前の由来はここにあると思う。


 近くにHaglay Museumがあり、火薬の製造過程やこの辺の絵や写真が展示してあるが、この建物の雰囲気や、今は廃墟となった火薬小屋とブランディーワインリバーの景色はアメリカとは思えない実に味のある景色である。



このデラウェア州の州都はウィルミントンという小さな町であるが、そこにあったDINARDO'Sというカニ料理屋のカニは手づかみで食べるのであるが、スパイスがとてもうまく、一生忘れられない店であった。(後日、記、ウィルミントンのこの店は無くなったようであるがフィラデルフィアに同じ店があるようである)

 


5. チャールズ川(ボストン)
 マサチューセッツ州ボストン、チャールズ川の川岸にマサチューセッツ工科大学の丸いドームが見える.
ここは利根川進教授がノーベル賞を貰ったことで有名である.


 少し離れたところには秀才をたくさん輩出しているハーバード大学がある

.ここの門を入り落ち葉を踏みしめて学内を散策し外に出てハーバード大学を出た、などと言っても卒業したことにはならない.


 またもう少し上流にあるマサチューセッツゼネラルホスピタルは世界で初めて麻酔による手術をしたことを自慢し説明用の要員を配置している.

 ボストンはアメリカの中でも、渋い町並みでイギリスに似ている.


日本で見る世界地図は日本が中心で、大西洋がほとんど分からないが、イギリスから大西洋を挟んですぐにボストンがある.

 だからイギリスからの移民が多くイギリスの町並みになったのである.しかし、茶会事件というのがあってアメリカ独立戦争のきっかけになったのは有名である.

 イギリス人はあまりアメリカ人の事を良く言わない.英語の発音が崩れているというのも理由であろうが、元々イギリス人だったのが独立した.いわば分家である.


そして今や分家が本家より偉そうにしているというのが本当の理由かもしれない.



6. ゴールデンゲートブリッジ(サンフランシスコ)
 有名なゴールデンゲートブリッジは川に掛かっている橋ではない.海であるがここは許して欲しい.
 サンフランシスコはかわいらしいケーブルカーで有名である.
 町からケーブルカーですごい坂の町を越せばフィッシャーマンズワーフに着く.


 ケーブルカーはロープで牽引されて動く.

しかし何台もあるケーブルカーがあちこちの停留所に止まって、曲がり角を曲がって坂を上がるだけでなくて、そのまま下って行く.
 
 道にロープが見えるわけではない.いったいどういう構造になっているのだろう.



 ケーブルカー博物館というのがある.ここに実物を飾り構造を展示してある.また実際に使用しているロープを引っ張っている機械もこの建物にある .

 ケーブルは地面の下をはい回り、ケーブルカーから下にのびた手がロープをつかむ.

勿論鉄製の手で、つかむのは運転手が上から操作する.
するとロープに引っ張られて走る.ここまでは分かったが角を曲がるところがよく解らない.


 フィッシャーマンズワーフはカニ料理で有名であるが、そこからサンフランシスコ湾を船で渡ったところにサウサリートという小さな町がある.

 ここは尖った切り妻屋根の木造の家が並び、小粋な町並みをなしている.そしてピアスやネックレス、小物類を売る店や小粋なレストランが多く若い人に人気がある.

 ここからサンフランシスコに戻るのにゴールデンゲートブリッジを渡る.

 橋は高い橋脚に支えられ美しい姿をしている.

 この橋はパソコンゲームで親しみがある.


それはフライトシミュレーターで飛行機を操縦して、この橋の下をくぐるのである.
低すぎると海に墜落し、高いと橋に当たる.うまくくぐれた例しはなかった.


 もう一つはカーアクションゲームでゴールデンゲートブリッジのサウサリート側からスタートして、好きな道を通って町の中のゴールに早く着いたものが勝ちと言うゲームである.
ゴールデンゲートブリッジの料金所で渋滞してなかなか進めないなどうまくできているゲームであった.


 しかし本物のゴールデンゲートブリッジは渋滞もなく、飛行機も当たって来ず、快適に海を見ながら渡ることが出来た.

  


7. ワイメア川(ハワイ)
 ハワイ、オアフ島の北ノースショアの近くにワイメア川がある.

 小さな川でそれに沿って森林に入って行く.ちょうど箕面に似ていて奥に滝がある.
 森は亜熱帯らしい木が生い茂り、道には時々放し飼いの孔雀がいる.

 途中に芝生の緑が綺麗な広場があって人々が集まっていた.


結婚式をしていたのだった.皆ポリネシアの民族衣装を着ていた.
周りには真っ赤なハイビスカスの花や、色とりどりの鳥がいていかにも南の島に来たようだった.いや実際に来ているのだ.



 むかし、漫画で現地人が出てくる可愛らしくほほえましい南の島の物語があった.
その頃はまったく別の世界の話でそこに行くなど考えもしなかった.

 しかし今は8時間で行け、現実に南の島にいる.カメハメハ大王のいた島である.

 道をさらに進むと大きな木の根が出ていたりしてジャングルに近くなる.そしてワイメア川の突き当たりに滝があった.

 滝は10m以上はあった.その滝壺の周りを何人もの観光客が取り巻いていた.滝上から腰簑だけの男達が飛び込むショーをやっているのだ.


 滝のことを英語でフォールス、落ちると言う.ワイメアフォールスである.しかしここは水がフォールするだけでなく、人間もフォールするのだった.

 

 

 

第1部 アメリカ編 完

 これは1982年頃から1995年頃に旅行したエッセイです。

 

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