フランジ 欧州型

車両に戻る

ここではヨーロッパ車両のフランジについて述べます。
 一部TMS714号に掲載。

upload 2006/1/22

 

フランジ
 線路から脱線しないようにフランジがあるがヨーロッパのフランジは日本の物に比べて大きく、いかにもトイに感じる。そのためかどうか知らないが、ヨーロッパ製の車両を模型とは認めないでおもちゃの領域に入れている人も多いようだ。
 (特に昔のリマの製品のフランジは大きくて、見かけが悪いだけでなくて、国産の線路(ポイント)でショートして通らないこともあった。それで海外製品アレルギーになった人もいるかもしれない。でも、後を読んでもらうと分かるように、それがヨーロッパ製品の標準ではないので、ちょっと頭をやわらかくして読んでください)
おもちゃであろうが模型であろうがどちらでも良いが、フランジが大きいと脱線しにくい。
 そう、脱線しない方が実感的と感じる人もいるのです。私がそうだ。確かに写真を撮ればフランジが大きいのは格好が良くない。でも、レイアウトの線路を実物通りの精度で作れるのか?整備はできるのか? ということを含めると大きいのは目をつぶりましょうと私の頭はなったのだ。
 ヨーロッパはNEM規格でアメリカはRP-25と聞いた。そしてこれはフランジの高さだけでなく形状も異なり前者は少し尖っていて後者は丸い感じである。しかし恐縮だが規格を知らないので手持ちの車輌を実測してみた。
 測定した車輪径は10.5mmから11.5mm径程度の貨車、客車用である。

 表に示すようにフランジの高さは国産では0.6mm〜0.65mmであるが、ヨーロッパ製は0.9mmから大きいものでは1.4mmのものもあった。そして、同じメーカーでもかなりの差がある。これは、作られた時代にもよるが、目的によっても異なっているようである。
 例えばフライッシュマンは普通1.2mm程度と結構大きいが、リアルなシリーズ?では0.9mmと小さなものを使っている。
 また一般に客車のフランジは見えにくいので大きいようであるが、特にペンデルツーク用の客車は推進運転のためにさらに大きく作ってあると思われる。
 しかし実感を求める場合はモデルロコのように極端に小さい物もある。
 フランジが小さい場合、台車を3点支点にしたりサスペンションを付けたりして脱線対策をする。
 しかし、ヨーロッパ製はそんな複雑な方法をとらずに。単にフランジを大きくして台車には何の対策もしていない。
これは見栄えは悪いが、実にシンプルな構造でメンテナンスフリーであり、私は好きである。
 特に2軸の貨車や客車はそれなりの機構がないと脱線しやすいので、フランジが大きいのはすごく効果がある。
 ただ、前述の様にヨーロッパ製といってもメーカーや車両によりかなり大きさに差がある。1.4mmぐらいの大きなフランジはさすがに目立つだけでなく、線路によってはポイントでショートすることがある。これではさすがに大きすぎるのだ。
 基本的にはやはりフランジは小さいに越したことはないが性能との妥協点である。
 私は実際に走らせた性能と見た感じでの妥協点を1.2mm程度と考えている。それでも車輪がむき出しになっている場合や、機関車の前輪の場合にはかなり目立つ。
 そこであまりにも大きすぎるフランジを旋盤で削ったが、図のように単に削っただけでは角が立って脱線する。ドリルレースで角に少し丸みを持たせるのがコツである。
 メルクリンの形状がかなり丸みを帯びているのは、カーブでフランジが線路をトレースし易くするためと思われる。
 ということで、私は日本型でも必要があればフランジを大きくしている。小さくではなく大きくしているのだ。あー精密マニアからは何と言われるのだろうか。
 でも良いのだ。私の車両だ。これはトンネルの中のポイントや、バック運転などを考えてのことだが、大きなフランジはすごく安心する。
 しかし、客車のようにたくさん車輪がある車両のフランジを大きくするのはすごく手間がかかる。どこかで10.5mmのNEM規格の車輪を売り出してくれたら、と思うのは私だけだろうな。
 なお、Nゲージについても、同様にヨーロッパ製のフランジは大きい。そのため脱線は皆無に近い。そこで、日本型の客車でもよく脱線する車両については、ヨーロッパ製の貨車の車輪と交換して好調な運転をしているが、車輪径が大きいのが難点である。
結局、連結器でもフランジでも、走らせて楽しむという目的から出た答えででしょうね。

これは、リマ製の大きなフランジの電気機関車。走らせていればフランジなんか見えません。

車両に戻る