気が付けばレイアウトバカ (レイアウト遍歴)

コラムに戻る

upload 2009/1/30

9mmゲージから駿遠線へ

いつ頃からだろうか。気が付けばレイアウトのことばかり。ハハハ自分でも嫌になっちゃうよ。

 思い起こせば学生時代、そうだNゲージ、いや当時は9mmゲージが発売された時だ。
初めて見た小さくても精巧なプラスティック製の蒸気機関車C50と客車や貨車。雑誌でもこのサイズはレイアウトに良いと書きまくっている。

 そこで、立てかけ式のレイアウトを作り始めたのだった。

そうだ若かったのだ、お金はないが暇がある。そこでレールをスパイクし始めた。Nゲージのポイントもスパイクした。

大きさは一畳以上あった。保津峡の横を走るようなデザインだった。支線もあり線路配置は今でもなかなか良かったのではない?と自画自賛している。

 そのレイアウトでのエピソード。 

山を作った。ボール紙を芯にして上から紙と石膏を貼った物だが、形がこんもり、お椀のようで気に入らない。

ついに気に入らない気に入らないと思ってゲンコツで殴ってしまった。

そうすると山がへっこんで、谷が出来たのだ。それがこんもりの山と違って感じ良い。そして谷間に小道を作ってお地蔵さんを置いたらもっと感じ良くなって、すっかり気に入ってしまった。

ひょっとしたらそれが以後のレイアウト作りの原動力になったのかも知れない。

 このレイアウトは、模型離れがあって未完のままで終わってしまったんだ。(ホームページにも載せていません)


レイアウト作り再開は駿遠線である。

軽便が好きだ。でもレイアウトで見る軽便はほとんど山岳鉄道。狭い山間の小さな駅。それはそれで良いのだけれど、私の知っている軽便は平野を走るものだ。

広い畑の中を走っているのが軽便だ!

そんなところの地元の足ではないか!

 と、ゆったりした景色の中に駿遠線を走らせようと力んだのだった。

 ゲージはHOn2 1/2、これも立てかけ式で一畳以上の広さが取れた。

そこでやることは資料集め。

そこで静岡に飛んでバイクを借りて廃線になった駿遠線の線路跡を写真に撮る。といっても線路跡だけではダメで、地元の風景、畑、家、村落などを記録しないとイメージが出来ない。

 大体レイアウトはイメージ作りがメインで、イメージが出来てどんな配置にしようかと考えることがレイアウトなのだ。

車両を作るときでも車両の設計図があればそれに沿って作ればよいので、レイアウトでもどんな物を作るかの設計図ができれば案外早くできる。

ただ車両と違うのは、レイアウトを作る過程でどんどんイメージが変わって行くことも多いのだけれど、それはそれで構わない。だって自分のレイアウトだから。

 そんな訳で、駿遠線はイメージ通りに完成したのだ。

 

でもね、完成して写真を撮って、それだけ見ていれば感じ良いなーと思っているのだけれど、作る前には思いもかけなかった問題が生まれてきたのだ。

 ナローの速度は遅いのだ、それを大きなエンドレスで走らせるといつ帰って来るのか分からない。
こりゃあ日が暮れる。のんびりするにも程があるよ。

それから駅で止まると集電不良で動き出さない。これは動かすよりも見ている方がいいよとなってしまった。

そのうちに友人を呼んで、廃線記念式典をして終わり。
そして燃やしてしまったのだ。

 さて、ナローが遅くていらいらしたなら、特急電車を走らせよう。と新居に移ったのを幸いにNゲージで私鉄レイアウトを作り出す。


私鉄特急レイアウトからスイスのレイアウトへ


 さて、ナローが遅くていらいらしたなら、特急電車を走らせよう。と新居に移ったのを幸いにNゲージで私鉄レイアウトを作り出す。

 それも線路配置が単純で走らせると目が回るので、7割がた出来たところで線路配置を換えてほとんど全面的に作り直し。

 
今度は線路を8の字にひねったので目が回る感じはしない。

そうして予定通り神戸の山手と芦屋付近、そして梅田が出来てきた。

そうなんだ、風景は阪急なのだ。

でも走る電車は京阪特急、近鉄ビスターカー、名鉄パノラマカー、もちろん阪急の特急も、などなど特急電車主体。

こうして町が出来てくると、まるで通勤で見る町の混雑が家の中に出来て来るではないか。おいおい、
家に帰ってまでごちゃごちゃした町を見るのかい、と嫌気がさしてきた。

 そんなときに見たスイスの景色。

美しい山々に緑が一杯の山裾、山小屋風の家がぽつりぽつり。


 これだ! となったのでした。勿論
ビル群はブルトーザーで整地されてしまったのであります。

そして、スイスの登山鉄道の本を食い入るように見てイメージを膨らませる。
カレンダーなどスイスの美しい景色には困らない。

そのうちに登山鉄道は普通の鉄道と違うことも解ってきて、スイス国鉄とレイテッシュバーンあたりをメインにするレイアウト構想も完成。

しかし若くて張り切っていたのだろう、その線路配置やすざましい。

ループやひねりや山の中でのリバースや複雑怪奇、でも上手く線路を隠してあるので一見したらシンプルな線路配置と、今までの経験が生かされて居るんだろう。

ただ、難関はヨーロッパ製のNゲージの高価なこと。

それなら日本の車両を改造して作ってしまえと、カトーの電機をFOの電気機関車にしたり、、、

そうして出来たゴルナグラートバーン。

このレイアウト見ていると気が休まる。何と言っても美しいスイスの景色が家の中にあるのだから。

と、ますますレイアウトにはまり込んだのでした。

ところが、ところが所が、所ジョージさんでは無いよ。

ところがこのレイアウト
線路磨きが大変。山岳線で小さなCタンクでも走らせようものなら、集電不良ですぐギクシャク成ってしまう。

そこで線路磨き、、、、 でも大きな車両よりこのミニトリックスの小さなCタンクの方が観客には評判が良い。

 もちろん本線の大型車両でも人が来る前には線路磨きをしないと恥を掻く。

Nゲージの宿命だと思ったね。車両が新しいときは良いけれど、一旦車輪が荒れてしまうとどうしようもない。それで集電不良になり線路も汚れてしまうと言う訳。

そこで、何を考えたか?



メルクリン、ウエルテン王国レイアウト

突然メルクリンの入門セットを買ってきたのだ。

ブリキの道床にブリキの線路。客車もブリキ、いやブリキじゃないかも知れないけれど、鉄板には間違いない。真鍮じゃあないんだ。

機関車はプラスティックの一体整形。
足回りはダイキャストと言うような代物ではなくて、鋳物だね。

その鋳物がモーターの一部も成していて、台枠にモーターを取り付けるんじゃ無くて、台枠とモーターが一体構造だ。

 なんじゃ、おもちゃだ! 

と思ったけれど、おもちゃの何処が悪い。

この頑丈な作り、そして3線式の集電の良さ、これはひょっとしたら本物の工業製品じゃないかと思い直した。

 手でちょっと触れば直ぐ壊れたり、すぐ動かなくなったりするのは、一般人に売るようなものじゃあない。でもこれなら誰でも安心して触れる。

そして、これでレイアウトを作るんだ! 

ゴルナグラートバーンを壊してしまえと命令が飛ぶ。山をひっぺがし、鉄橋を潰して解体というか、何というか、レイアウトは石膏や瓦礫の山となったのであります。

さてメルクリンのレイアウト、必然的にドイツの景色、しかも小型車両だから田舎のレイアウト。

これがウエルテン王国鉄道だ。

3線式を生かしてリバースを2つも作って、これは面白い。列車の向きが変わって走ると景色が2倍に成った感じ。それだけじゃあなくて、架線区間も作って電気機関車はDCで架線集電で走る。これもリバースOK。

 なんと言っても3線式、線路磨きなど半年に一回で良い。

車両側のシューが汚れても拭くのは簡単だし、車輪など磨かなくても大丈夫。それにやはりHO、車両の大きさが大きいので貫禄が違うし、ゆったりとした感じになる。

まー大満足だが、その内に又悪い癖、欠点を探して違うレイアウトを作りたく成るんだな。

欠点は何か? 


ひとーつ、
 シューの音が喧しい。さほどじゃないけれど一生懸命欠点を探しているんだ。

ふたーつ、
 デジタルにしたんだけれど(今のDCC)、当時のデジタルはスピードもデジタルで速度が階段的に変わる。スピードを出す本線車両では問題ないけれど、こんな小さな機関車でゆっくり走らせると目立つんだ。

これもさほどじゃないけれど欠点探しの一環だ。

そして、みっつ、
 実はこれが一番問題。

 なんといってもメルクリン3線式なので、基本的にメルクリンの製品しか無い。
しかも小型車両となるとほんのちょっとしか市場に無い。

まー早い話が他のメーカーの車両ならあるけれどDC2線式なので走らせられない、ということは、買う品物が無くなったということ。 

 購買意欲というか買うことも楽しみだけれど買う物が無くなったというのが大きな理由。今なら他のメーカーでも3線式を出しているけれど、当時はそういう事。

あー、普通の2線式にしたいなー と成った訳。

そういう屁理屈をこねて、違うレイアウト作りを始めたのであります。

もちろん直流2線式のHOで。 

それが第二次ウエルテン王国鉄道、のはずだけれど、実は違う。

計画はその通りだけれど、ここでやっておきたい事があったのだ。


東海道本線 Nゲージ


それは子供の時に見た風景、東海道本線なのだ。

東海型や湘南型が走る牧ノ原付近の風景、これをどうしても作りたい。 EF15やEH10に貨車も引かせたい。これはNでなければ作れないぞ。

第二次ウエルテン王国鉄道を造る前に東海道線を作ろう!!

こういう事で作り始めたので、当然完成したらすぐに取り壊すつもりだ。

それなら、道床も木じゃなくてモデルボードの厚紙で作れば簡単だし、石膏もやめて壁材を使おう、など簡略化を進めたのであります。

線路は複線で8の字。これは良い。駅も真横ではなくて縦に見られるように斜めにおく。これは私の鉄則だ(といっても、横に置かなければならないこともあるけれど)。

茶畑、トンネル、田圃、池、そして典型的な国鉄型の駅。

いやはや、満足満足、複線で東海と青大将がすれ違う。良いね良いね!

満足したら取り壊す。 まー もったいない。

なんのかんの言っても、簡略化して作っても、ほとんど2年ぐらいかかっているのだ。

当時の国産のバラスやパウダーなどは2年も経てば色が褪せている。

すなわち、完成時点ですでに色あせしているのだ。だから取り壊すのがもったいないと言うことは無い、とまでよう言わないが次の予定がある。

それに予想通り線路磨きをしなければならないし、ここらでNはやめにしよう。



第2次ウエルテン王国


今度も、王国!
王国:Koenigreich が好きなんだ。

王様は? もちろん自分だ。

さて、
名前からしてメルクリンのレイアウトに似た雰囲気だが、当時本で見た秋の紅葉というか黄色い葉のレイアウトに刺激されて秋の風景。

そして、もっとドイツらしく、木組みの家や城門なども取り入れて。

この時に、急カーブでSカーブを作ったのだけれど、これは良いよ。

列車が曲がって来て正面に見えて、また曲がって向きを変えて行く。

列車を真横から見るなんて全然つまらない。

絶対に列車は縦から見るべきだ、というのは実は駿遠線でも実感していて、駿遠線の線路配置を完成後少し変更して、Sカーブを含めたこともあったのだ。

 それ以来全部のレイアウトにSカーブはあるんだけれど、第二次ウエルテンではそれが鉄橋にかかって感じがよいし、その先でもまたSカーブ。

実はこのレイアウトでは4つもSカーブがあったのだ。

一方、人形達も活躍している。

畑の刈入れシーンでは(絶対に作りたかった景色だけれど)農夫達がいそがしそうに刈り取りをしている。そして子供達も草山を滑り台にして遊んでいる。

地元の人は勿論買い物客や観光客、果ては温泉での裸の人など、ギミック的な要素もどんどん取り入れているんだ。

そしてバーベキューをしているシーンで豚を丸焼きにしているのがあるんだ。

 あーかわいそう、なんて言ったって西洋人は肉食人種なのだ、こんなこと言ちゃって良いんだろうか?

これは良いレイアウトだ、そうなんだ、とても気に入っているんだ。

けれど、実は、ここで


美山線



ひょっとしたら外国カブレに成っちゃったかな?人は何て思っているんだろう?

などと人の事を気にしだして、日本の景色だって作れるんだ、駿遠線なんか日本の景色だし、

そういえば、茅葺き農家のある美山町なんて好きで良く写真を撮りに行っている。

ここは一丁日本の景色を作って、ヨーロッパかぶれじゃないことを見せつけなければ、なんて思った訳じゃあないけれど、ちょっと日本の景色も作りたく成ったんだ。

そこで、レイアウトを取り壊すのではなくて、少し改造して日本の景色にしたんだ。この時に本線の線路も少し触って、部屋一杯に回れるエンドレスにしちゃった。

一部は景色無しで線路も取り外し式だけれど、キハ82等の20m級車両がR365という急カーブのエンドレスを回れるんだ。

そして、景色は茅葺き農家のある日本のどこにでも見られる農村風景。これが美山鉄道だ。

実は日本の景色を作りたかった理由の一つに、美しい日本というのがある。どこかで聞いたような言葉だけれど、

何故か日本の景色と言うと渋さを題材にするのか、暗っぽいレイアウトが多い。

日本の景色がそんなに暗っぽい訳が無い!!

 と言う気持ちもあって、日本の農村を舞台に明るい雰囲気で仕上げたのだ。

 


ウイーン・チロル鉄道



      オーストリアに行きました。

 ツィラータール軽便鉄道に乗りました。勿論本線のOBBにも乗ったし、音楽の都ザルツブルグ、それにウイーンにも行ったな。

これが凄いインパクトで頭に残ったんだな。

オーストリア、ウイーン、ザルツブルグ、チロル。 あー なんて良い響きだ。

シュタットパーク、
シュタットオーパ(オペラ座)、

モーツアルト、
ホイリゲ、

ミラベル宮殿、
ツィラータールバーン、

アッヘンゼーバーン、
エッツタール、

解る人には解るかも知れないけれど、地名や公園名や鉄道名などごっちゃなのでありますが、これを全部実現させたい。

それに、オーストリア国鉄本線の赤い特急も走らせたい。

えーい、美山線はその使命を全うしたのだ。壊してしまって今からはオーストリアだ!!!

と思った時にはまだ美山線の左部分、すなわち駅と駅前が出来ていない時だった。

 それでオーストリアだけれど、さっきの地名などそれら全部入れて、本線も市電も、そして軽便も、まだその上に登山鉄道も、そしてそしておまけにバスも走らせちゃおう、
  なんてことを狭い台枠上で実現させるのは簡単じゃあないんだ。

そこで、左をウイーンにして右をチロルにしようか、それともその反対にしようか、市電は何処に、軽便は何処に考えるのに、1年はかかったね。


 そして、その間に美山線の駅付近を完成させたんだ。まあ、駅舎なんぞパソコンで描いてプリントして組み立てたんだけれども、色もプリントのまま、窓は抜かないで、やはりプリントのままという手抜き工事だった。(それでもTMSの表紙になったのはご愛嬌)。

 さて、ウイーンチロル鉄道、市電は初めてだ。
だいたい軌道敷きと言うものは線路と地面の表面が同じ高さなんだ。

 ということは地面を線路の高さに上げるか、線路を地面より低く埋めるかなんだ。そこで後者の方法で、厚いベニヤに線路の溝を掘るところから始めたんだ。

それにバスの線路、目には見えなくした線路があるんだが、それも道路に埋める、当然市電との交叉もある、という今までにない工作を楽しめたな。

レイアウトで重要な草や木について、
 車両や建物は人間が作ったものだけれど、木や草は神様が作ったものなのでとても難しい。
 
シルフラーというとても良い木や草の材料があるがこれが高価なんだ。
 しかも日本では手に入らないので、スイスで買ってきたり通販で手に入れていた。

すでに第二次ウエルテン王国の時からこの製品を使っているのだけれど、材料は良くても使いこなせなくて、ちょっと落ち込んでいたんだけれど、さすがにこの頃になると、使い方も慣れてきて、ちょっとはましな木や草の表現ができるようになった気がする。

最近は日本でも手にはいるけれどやはり高価で、目立つ場所に上手に使うべきなんだろうな。

というような事で、ウイーンチロル鉄道は完成した。

レイアウトに欲張りは禁物と言いながら、さっき書いたように、本線、市電、軽便、登山鉄道、バス、これを皆詰め込んで、皆ちゃんと動くのだ。

でもそれぞれ路線はシンプルなので、運転もとてもシンプルだ。

さて、今日はウイーンからドイツに行こうか、ハンガリーに行こうか、などなど、いろんな国の国際列車を走らせて、レイアウトを満喫している今日この頃であります。


 


おわりに



これで、この文章は終わりますが、自分の中での「気が付けばレイアウトバカ」これは何時までも続くと思います。(すでにウイーンチロルをザクセン風に改造を開始しています)。

ただレイアウトバカとレイアウトばかり気になっているようですが、そこで走るのは車両です。それらは飾り棚の上に鎮座するのではなくて、レイアウトと言う場面に登場し生きた活躍をするのです。

ですから、車輌たちが気持ちよく活躍できるように、その整備や保守にも気を使っているのです。
それらを含めてレイアウトを楽しむということです。

終わり

コラムに戻る