レイアウトとは非現実の世界

uuload 2008/8/29

 昭和30年代のレイアウトが流行っている。
これは心休まる風景としての思いがあるからだ。

30年代と言えば、日本全体が貧乏ながら一生懸命、生活に、仕事に頑張っていた時代だ。そしてノスタルジックな甘い世界のように思いだしている。

けれど実際には結構汚らしい、ごみごみした綺麗ではない風景が広がっていた。

しかしレイアウトに於いてはその負の部分は表現せずに、美しい思い出として表現して行く。
それで良いのだ。

レイアウトは現実をそのまま作る必要などこれっぽっちもない。もっともらしい雰囲気が出ていれば良いので、多少時代考証や事実と違うことがあっても構わない。民族学の展示ではないのだから。
そうです。レイアウトとは非現実の世界を作るものです。
私の場合は、その非現実がヨーロッパの町や田舎だ。
中世の雰囲気が残る物語にでも出てきそうな町で人々がのんびりと暮らす世界だ。いかにも非現実の世界だが、実際にヨーロッパではありそうな雰囲気である。

第2次世界大戦で壊滅的な打撃を受けたドイツ。昔からの町は焼き払われ焦土と化したのであるが、人々は昔と同じ街並み、そう、中世そのままの街並みを再建した。

こういう町がドイツには沢山ある。なんでも更地にして新しい建物を建てようと言う国とは違う。
だから、非現実とも思えるようなことが、現実に残っているし、最新型の車も同じ場所を走っていておかしくない。
 レイアウトを作る上で、この新旧入り交じっていることは実に都合がよい。

単に古いだけだと、人の衣装や走っている車両や自動車なども凄く規定される。しかし、何でも混在しているのは手に入る品物を使えるので都合が良い。
 その上でノスタルジックな雰囲気が味わえば、レイアウトを眺めたときに、ゆったりとした雰囲気に包み込まれる。
 このような雰囲気は、何もドイツでなければとは限らない。

ウイーンチロル鉄道は、ウイーンという大都会を想定しているが、建物は古い雰囲気があり、かつ大都会の混雑を感じさせないように意識した。

そしてチロルという、チョコレートの宣伝に出てきそうな、美しい田舎を組み込んでいる。
そして最新型の車両も走れば、蒸気機関車に牽かれた軽便列車も走る。夢の世界のようだが実際の世界でもある。
 もちろん日本でも小京都と呼ばれる地方を題材にすれば、現在でも昔の雰囲気が味わえるかも知れない。でも京都では大きすぎてちょっと無理だろうな。
さて非現実の世界とばかり言っていては、現実の世界を忠実にレイアウトにしている人に怒られるかも知れない。