ツァイス・イコン Zeis Ikon

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upload 2008/9/1

ツァイス・イコンそれは憧れのメーカーだ。
そしてコンタックスは、その代表的なブランドだ。
と言っても、ツァイス・イコンがカメラを作っていたのは1970年頃までの話。
その後、コンタックスのブランドを京セラが引きついで、日本製のCONTAXが出て、おかげで私にも買える値段になって、何年もコンタックスを使ってきたわけです。
ところが、京セラ、コンタックスも2005年にカメラ製造は止めー、となって、コンタックスファンとしては、がっかり、いったい今からどこのカメラを使えばよいのかと、路頭に彷徨っていた訳です。

ということですが、実際には他社のデジカメをフルに使って、フィルムカメラたるコンタックスもあまり出番がなかったのが事実です。
でも、それはコンタックスが”使い物になる”デジタル一眼レフを作ってくれなかったからで、残念至極というのが本音です。

その終局の頃、ドイツのツァイス・イコンのホームページに突然、カメラを作るとニュースが載ったのです。 

えーっ、京セラではなくツァイス自身が作るのか、と長い英語の記事を読めないなりに読んだところ、レンジファインダーのカメラだとか。
そして詳細は徐々に載せてゆく、ということでどんなカメラが出るのか期待していました。

そしてだんだん全貌がわかってくると、マウントはライカMと互換、ということは世の中にたくさんあるライカやらいか(田中長徳さん式)のレンズが使える。

露出は絞り優先でのオート、これは大好きで、実際に写真を撮ろうと思ったらシャッター速度と絞りの両方を合わせるのは時間がかかって大嫌いな性分なのだ。これならM7と互角だ。

では、価格は、となるのであるが、文を読んでゆくうちに、われわれ(ツァイス・イコン)は、最も良いカメラを作るために、もっとも信頼の置けるメーカーと提供するとあるではないか、そしてそのメーカーとは日本のコシナだと、はっきりホームページに書いてあった。

はー、成るほど、これなら理解できる。今さらツァイスがボディーを作れるほどの施設や技術があるとも思えないし(失礼)、コシナなら、今レンジファインダーカメラ作りでは、ライカを別にすればトップメーカーだ、これなら実現すると感心したわけです。そして、価格もまーまー、かなと推測できました。

そして、ついに2005年だったか2006年だったかに発売されました。
価格は十数万円とライカM7の1/3ほど。

それで、すぐ買いに行ったかと言うと、すでにM6やBessaTなど持っているのでもったいなくて買えない。

その内にBessR3Aという、同じコシナのレンジファインダー、オート露出のカメラを価格に負けて買ってしまった。

ところが、このBessR3A、良いカメラなのであるが、どうもシャッターボタンのフィーリングが良くない。露出を見ようと半押しにすると、シャッターが切れてしまうことがある。どうも2段階になっていないか、2段が指で感じられないのである。

そんなころ、ツァイス・イコンをさわらせてもらった。すると、シャッターボタンがはっきり2段階になっていて、そのフィーリングの良さは比べ物にならない。
さらに、フィルム巻上げレバーの操作感も凄くスムーズ。

同じメーカーが作っている同じ系統のカメラとは思えない、と言うと、店では、これがブランドと価格の差ですということだ。このフィーリングを良くするために、材質から作りから手の入れようが違うということだそうだ。

なにせ、この両者の価格差は2倍以上あるので、値段が安いBessR3Aを買った以上仕方が無いことだ。 ここでBessR3Aが悪いカメラというわけではないですよ。ほんの僅かなフィーリングの問題で、2台を比べて初めて解るほどの差なのです。

でも、ついにBessR3Aを手放してしまいました。ツァイス・イコンを買いたいという事が頭にあったからです。
しかし、あまり使わないフィルムカメラを買うのはもったいなくて数年経ちました。

そして、ついにツァイス・イコンの中古を見つけたのです。
程度は良くて、十分安い。ツァイス・イコン社にもコシナ社にもお金は行かないけれど、私としては今買わなければ、めったにこの中古は出てこない。
ということで、やっと念願のツァイス・イコンが手に入ったのでした。



さて、このカメラの使い始めは奈良の般若寺というところです。

レンズはフォクトレンダー、ノクトン40mmです。
古い、いかにも奈良といったお寺です。

では、このカメラのフィーリングは、先ほど書いたようにシャッターボタンが気持ちが良い。一段目でカチッと止まって露出が決定される。そして押し込むと間髪を告げずにシャッターが切れる。

これは京都の醍醐寺ですが、おばさんが水を撒いているところですが、突然この場面にあったのに、間髪を入れず撮影できました。
レンズはビオゴン28mmです。


そしてシャッターの音ですが、ライカのように布幕では無いので、ライカ独特のシュポッというような快感(と人は言います)ではありません。金属シャッターなので金属の音がします。ところが、この音がBessa シリーズとは違って小さいのです。そして金属音ではあっても小気味良いのです。この音を聴きたいために空シャッターを切って楽しんだりしています。

巻き上げは前述のようにスムーズでギヤの精度が良いことが伺われます。

レンジファインダーでピントの合わせやすさは大きな問題です。これもとてもファインダーが見やすくて、十分楽しめます。
なにせ、このピント合わせが楽しくてレンジファインダーを使っているのですから。特に花などを近くで写すときに、オードフォーカスでは後ろに逃げそうになりますが、なにせマニュアルですので絶対にピンボケにはなりません、いや腕が悪いとボケますが、それは自分の所為ですから。

その他、欠点らしいことは今のところ見当たりません。ライカに比べて貫禄が無い、これは価格が安いので仕方が無いのですが、それぐらいです。

絞り優先オートが使えることは、ばんばん写真を撮りやすいということで、急なタイミングでも逃がさずに写せるということです。

良いカメラを手に入れたと思っています。


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