「よく走る模型を目指して」
   ーー小さなレイアウトに向けた車輌の改造ーーー

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upload 2007/6/29
update 2007/7/3

レイアウトと車輌はサーキットとレーシングカーである。
 コースに合った、セッテングをしないと、うまく走らない。

特に小さなレイアウトでは、車輌もそれなりの構造にしないと、スムーズな運転は望めない、ということで、なんやかんや改造してきましたので紹介します。
もちろん、これは私のレイアウトに合わせた改造で、メーカーが設定している走らせ方とは違うので、メーカーにはなんら責任はありません。自分の責任で行いました。念のため。

ED14 カワイモデル
目的:使えるようにする
昔ながらの価格で出しているので買いました。1995年頃です。

昔ながらの伝導方式です。
完成品を買ったのですが、レイアウトで走らせると、インサイドギヤの音は大きいし、脱線はする。
おまけに連結器が台車マウントで無いので、急カーブでは貨車も連結して走れない。
そこで、まず塗装を剥がして、
色々な伝導方法に改造しましたが、究極はこれ。

カトーEF61の足回りの利用です。
そのままでは長いのでダイキャストを切って、片側の伝導機構のみ利用しました。
 ED14と軸距離がほとんど同じなのです。
動力側はカワイの台車の側板のみ利用。
車輪もカワイの動輪をカトーの軸に付け替えた。

両台車とも、端板をつけそこに連結器をつけ、台車マウントにした。これで急カーブでも連結して走れる。

一応台車は3点支点にしてある。びっくりするような方法で!
伝導側、非伝導側とも、全車輪に集電シューをつけた。
もちろん、フランジを擦るようにした。

改造前からカワイの車輪は振ったので脱線しやすい。おまけにレイアウトのトンネル内に最も怖いカーブポイントがあるので、フランジを大きくした。
真鍮版を大きなワッシャのような形に切り、それをフランジに半田付け。

 走らせるためならこんなこともしちゃうのです。
上回りは片側の顔のみ近江鉄道風にして、他も少しは手を入れて完成。

走りはどうか?

そりゃあ、カトーのEF61並ですよ。
 カトーのEF61の走りは世界最高クラスと思っていますから、それぐらいの走りをするので満足です。
でも、残念ながら片側台車のみの伝導で、非伝導側の上にも大きなダイキャストが乗っているのすぐにスリップするのです。だから坂には弱いです。


カトーC56 
目的:よりスムーズに走らせるために、モーターをファウルハーベルのコアレスに交換する。
分解した状態。
ボイラーを広げたりしながらの分解でパズルみたいでした。

黒いのがモーター。フライホイールが見える。
モーターをコアレスに交換。
これが何の細工もなしにぴったり収まった。

フライホイールは2つ付いていて慣性が強すぎるように思ったので、上の写真に見えているものを一つ外す。

これで、驚くほどスムーズに、しかも静かに走るようになった。

元々42:1ぐらいの減速比なのでそれもスロー運転に寄与している。

満点
これもED14と同じ理由で、脱線対策として、ヨーロッパ車輌並みのフランジに改造。(ちなみに脱線した経験はほとんど無かったが)

真鍮線をフランジに半田付けしてフランジを大きくした。

蒸気機関車の動輪のフランジを半田付けで大きくするのにはすごく勇気がいりました。


Trix ロッド式古典電気機関車
   
かなり昔のTrixの電気機関車です。10年以上前の改造です。
走りが良くないので。
Sb ModelBau製のモーターギヤセットに交換。
ロッド式で変わった形ですが、色もかわいらしいので気に入っています。

でも、走りが悪いのです。
メルクリンに吸収されてからは知りませんが、昔のTrixは、ギヤ比が少なく高速型でスローが効きません。

 そこへ、Sb ModelBauという会社からこの機関車専用のモーターギヤセットが発売されているのを知りました。
ボディーを外すと、大きなダイキャストでモーターが囲まれている。
ダイキャストを外した状態。

モーターはこんな感じでギヤもそれなりに減速してあるようだが走りが良くない。フライホイールも無い。

手前はSb ModellBauのモーターギヤセット。

コアレスモーターに大きなフライホイールが付いている。
それに真鍮のムクでギヤボックスが作られている。

これは日本の模型店で買いましたが2万円ほどしました。元が高いので仕方が無いですが、高くて悩んだ末の購入でした。
元のモーターを外し、凸凹しているダイキャストをミーリングで削れと指示があるが、ミーリングは持っていないのでドレメルで削る。
削った台枠

ここにモーター、ギヤセットを接着剤で止める。
ギヤを少し薄くしなければならないので、旋盤で薄くした。
改造終了。

モーターを接着剤で止めるのは勇気が要りましたが、そういう仕様なのです。

そして、走りは。

すばらしい、それまで持っていた全ての車輌の中で最高。

スムーズ、静か、そしてこのギヤセットはスケールスピードで走るようなギヤ比に設定されているので、走り出しがとてもスムーズで最高速も適当。

ということで、値段に見合う買い物でした。

走りは第二次ウエルテン王国のビデオで分かると思います。


EF15 天賞堂プラ。 急カーブへの対応 

オリジナルでもフライッシュマンのR356のカーブをなんとか通過できましたが、カーブポイントではほとんど脱線にという状態でした。
 F級電気機関車が、こんな急カーブを通過できたことだけでもびっくりでしたが、これなら少しの改造でカーブポイントもを通れるようになると思って改造しました。 
R356を通過中
台車の飛び出しはこの程度。
まずは、先輪の横動きを大きくする。

矢印の部分を少し削って、横動きが大きくなるようにしました。
主台車の回転も大きくなるように、矢印の集電コンタクトが入る部分も大きくしました。
先輪の横動きだけでは、まだ脱線します。

急カーブでは先輪がねじれて浮き上がることがあるためでしょう。

やむを得ずフランジを大きくする。
0.3の真鍮線を半田付け。下の台に車輪の入る穴を開けてある。これを冶具にして半田付けする。
真鍮線をつけた後、ドリルレースで仕上げました。

何故か天賞堂のEF15にはもう一組先輪が入っています。

だからフランジを大きくしても、写真を撮るときには普通のフランジの先輪をつけられます。
これは、全軸集電にするために、集電子の無い車輪に集電用の燐青銅線を取り付けたところ。

急カーブでは台車がねじれて浮き上がって集電不良になりやすい。特にカーブポイントの無電区間など。
この状態で何度もテストしました。
なんとか、カーブポイントも通過できるようになりましたが、まだ信頼性は100%まで行きませんが、定尺ボードの上でF級電気機関車が走れるようになったのは、凄いことです。

 なお、カトーのEF58は、無改造でカーブポイントも走れます。ただし、ポイント側に少し改造をしています。

珊瑚の160のキットです。 集電シューを追加しました。
動輪2軸と先輪1軸の機関車で、集電は動輪だけなので先輪も集電するように改造しました。
完成写真
こんな機関車です。
動輪押さえ板の下になる部分に、プリント基板を細く切って接着。
銅版側が下です(写真では上)。

その基板に、先輪用の集電シューを燐青銅版で作り半田付けしました。

カマキリの鎌のように見えるのが、集電シュー。

これが先輪の裏側に接触するようになります
収まったところ。

台枠の集電シューに近い部分は紙を貼って、摺れたときのために絶縁を確保している。

なお、集電シューは、両側共につけてある。

そして、モーターへの配線は、写真の左端に見えるプリント基板の後部にコードを半田付けしました。
先輪をつけたところ。

集電シューはほとんど隠れて外からはほとんど見えません。


以上で改造終わり。

どこにどうやってシューを付けようかと迷うのが、機関車を作るよりも時間がかかった気がします。

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