連結器

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upload 2018/1

連結器は車両同士を繋ぐものであるが、模型車両にとって連結器の性能不良は自然解放してしまうだけで無く、脱線事故の大きな要因になっている。 本物の形状にとらわれすぎないような実用的な 「模型用の連結器」 がたくさん出ている

ここでは、主にHOゲージについて書きます・
とても全部は書き切れないので持っている分だけです。
始めに日本型、後半をヨーロッパ型を紹介しますが、日本型だけで無く、是非ヨーロッパタイプも見て欲しい。
それは、スムーズな運転のために考えられた機構を持っていて、日本型にも取り入れた方が良いことが多々あるからです。

カトーのキハ82にフライッシュマンの連結器を付けた。 確実な走行のため。

  ここでは連結器の種類を書きます。
  伸縮式l機構についてはこちらを見て下さい。


連結器の種類


1.日本型の連結器



ベーカー: 

懐かしい連結器で、シンプル。鍵が引っかかって繋がり、下から押し上げると解放する。 坂などで自然解放してしまうことが多かった。




X2F (NMRA)

アメリカのNMRAの規格。 プラスティック製。 一時流行ったが最近は見かけない。 解放は下のレバーを中央方向に動かす。 プラスティックの線路側に付ける解放器が売られていた。





ケディー(Kedee)

アメリカの製品
実物の自連に似ていて最も多く模型でも使われていると思われる連結器。
価格が高いのが欠点。 特許が切れたので、他のメーカーからも出ている。
バネなど繊細な部分が多い。 
いろいろな長さや受けの形状が出ている。 ものによっては通電性があるので、ショートしないように取り付けに注意が必要。


連結したところ


解放は線路に置いた専用の磁石で行う、 電磁式もある。

解放したところ。
解放のために下にレバーが出ている。 注意したいのは取り付けが低くレバーが下になりすぎると、ポイントで引っかかったり、特に踏みきりなどの構造物に当たることがある。
レバーを少し上に曲げる事を勧める。 

このレバーは実物には無い。 連結解放をしないような車両ではレバーを切り取るのが良いが、硬いので切りにくいが、私は切っている。

車両を持ち上げると解放できる。 これは便利である。
しかし連結器の取り付けには正しく高さを合わさないと走行中に自然解放しやすいので注意。



ケディーに限らないが、カーブで連結器同士が曲がった状態になる。
機関車が引っ張っているときには良いが、押す状態の時には、これにより車両間隔が短くなり、脱線の元になる。

電車などモーター車が先頭でない時には使わない方が良い。




密連 カトー

今ではいろいろなメーカーから似たようなタイプが出ているがこれは、カトーの初期の製品。
実物の密連に似ている。 連結器本体だけでは無く写真では伸縮式機構も付いている。

押すことで連結できる、が、とてもやりにくい。 密連の中の爪の位置が動いていると繋がらない。
繋がったときには、ケディーなどのように遊びが無いので、しっかりしている。 カーブでも連結部分が曲がらずに直線のままである。

模型の連結器の理想的な性能は連結器が曲がらないことであり、カーブでも脱線しにくい。 単なる棒の連結器、ドローバー(写真が無い)がシンプルであるが脱線しにくいのは棒だからだ。

なので、このタイプの連結器は本物が電車だからだけでは無く、後ろから押されても脱線しにくいので模型の電車に広く使われている。

欠点は、自然に解放してしまうことが多い。
一方、自然では無く解放したいときに解放の仕方がわかりにくい。
メーカーによっては、車体連結部を持ち上げ車体を”く”の字に曲げて解放する。


カトー伸縮式

ヨーロッパ製品のように、伸縮機能を持った連結器。


連結器のアームが台車中央辺りから始まり、連結器がカーブで大きく横に振ると同時に伸縮も大きい。 さらに台車中央辺りに引く力がかかるので、車体に無理な力がかからずに、急カーブでも脱線しにくい。 これでR370ぐらいは走れる。


しかし、連結間隔が狭すぎて、引っ張られているときには急カーブも曲がれているが、押されたときには次のように問題がある。



伸縮機構の根元に少し遊びがあり、押したときに(推進運転)では一層連結間隔が狭くなり、カーブでは幌や車体が当る。 ポイントの渡りなどでは脱線する。 せめてあと2mmでも間隔が広ければパーフェクトに近いのだが。



カツミ ACEカプラー
実物の形状にとらわれない、性能本意の電車用連結器。
伸縮機構が付いている。 カーブでも連結部が曲がらないので、電車や客車に使える。 ヨーロッパの製品からアイデアを得ているようで好ましい製品だ。
解放は車体を少しくの字にする。 操作も簡単で良い、が、もう少し大きな伸縮があれが急なカーブにも対応できるのだが。





トミックス、密自連 TN

密連と自連の間? 伸縮式になっている。 カーブでも連結面が曲がらない。 電車などに便利。 




モデルイモン製の連結器
ケディーに似た形で長さを変えて何種類も出ている。形状、性能とも最高に近いと思われる
これは伸縮式でかつ通電式




連結した状態。 これで通電も出来ている。




朝顔型


軽便に使われている朝顔型。 模型としては形は良いが実際に繋ぐのは苦戦。  一般的にNゲージ用のケディーを用いることが多い。








2.ヨーロッパ型の連結器
まず、実物の形状

形がよく分からない。 これが連結器だが、車両の両端に大きなバッファがある。 バッファと連結器がセットになっている。



連結状態。 連結器にフックが付いていて相手の鍵に引っかけているが、本体はネジである。 細く長いネジを締め上げている。 それでバッファ同士がひっついている。


連結手が間に入ってネジを締めている。


驚くのはこの細いネジで長い客車を引っ張っていることだ。 よく千切れないと思う。

バッファなど日本では明治の頃に使われていて、あんな古い形式と思うけれど、このおかげでヨーロッパの客車は乗り心地が良い。 連結器に遊びが無いからだ。

なお、模型ではバッファは脱線の原因になるので、短い目にしたりバネが入っていたりするか、私は取ってしまうこともある。


この形状を模型にするのは、1番ゲージかもっと大きなゲージで、HOやNでは全く実物とは違う形状で連結器を作っている。



連結器の説明の前に
連結器を固定するポケットについて

ほとんどのヨーロッパの模型は、機関車、客車、貨車を問わず、MEM規格のカプラーポケットが付いている。 連結機能城の形状もこれに合わせて作られているので、違う形状の連結器を差し替えて使える。

これは運転会などで、他の人の車両に違う形状の連結器が付いていても、同じ形式のものに差し替えるだけで、繋ぐことが出来る。
例えばケディーであっても、ケディーにMEM規格の連結器があるので、それを差し替えれば日本の機関車にヨーロッパの客車を牽かせる事もできる。



とはいえこの場合にはバッファが当って脱線するかも知れないけれど、カプラーポケットが規格化されすべての車両に付いていることはとても便利である。





連結器の名前は知らない(書いてあるのはメーカー名)。 このような鈎型? が多く使われている。

一番左は、機関車などに使われている、鈎部分だけの連結器。 形状がシンプルで機関車の正面から見た形を重んじて使われるが、自然解放してしまうことが多い。



リリプト製とロコ製は
典型的な形で他のメーカーも多少の差はあれ、このような形を出している。
しかし、リリプトは少し小さい。 かわいらしい小型車両に良いのであるが

一般的な大きさのロコとリリプトは連結できない。 リリプトのわっかがロコの鈎に届かない。


ロコ同士は当然繋がるが、カーブでケディーほどでは無いが連結部分で曲がる。

連結解放は殆ど全て下からレバーを押し上げる。
 電動式の解放器があるが、手で連結解放できる治具も簡単に作れる。









ロコの新型である。 新と旧は連結できる。
新には解放器で解放した後連結せずに押して行ける機能が付いている。
横のレバーはカーブで連結部が曲がらないようにであり、良いはずなのだが、自然解放の率が高いようで私は避けている。




メルクリンの旧型。 レレックスと言う。
これは、連結解放したときに、そのまま押して行くと連結されずに好きなところで車両を切り離すことが出来る。 わっかが鈎にかからないように上に阻止する金具が付いている。
貨車に多く用いられている。

しかし、ロコなどと同じようにカーブで連結部分が曲がるので、新型が出た。


横にかにの爪みたいなものが付いている。 このためにカーブでも連結部が曲がらないので、客車にも使えてプッシュプル運転が出来る。

連結解放器なら簡単に解放できるが車体を持って無理やりの解放は出来ない。しっかり繋がったまま。 簡単な連結解放棒を自作した、。 車体を持って解放するには、片手で連結器の解放レバーを下から押せば簡単に解放できる。

シーソーのように連結解放レバーを下から押し上げる。 他のメーカーの鈎型にも使える。



現在主流の連結器


ホーンビイ
 イギリスのメーカー。 
1)見たとおり大きなベーカータイプ 。横幅が途方も無く大きい。 不細工そのものだがトーマスシリーズや小型貨車などに使われている。 MEM規格になっていないので他の連結器との交換は難しい。


2)MEM規格の連結器
 
 ホーンビイにもMEM規格の連結器がある。 幅も狭く先ほどのものと比べるとかっこうよく見えてしまう。 普通の機関車などにはこれが使われている。
鈎そのものの形状が同じなので先ほどのものと連結できる。




ロコクローズ型

ロコの客車など用の連結器。 プラスティックで異常な形状をしている。 クローズ型。
解放は他と同様に下からレバーを持ち上げる。


繋ぐと完全に棒になる。 だからバックでも脱線しない。 
私は客車間にはこれを用いている。


片側の車両を持ち上げれば解放できる。 とても簡単である。



フライッシュマン

フライッシュマンは全面的にこの形になったようだ。 複雑な形をしている。



ロコと同様に棒になる。


車体を上げると解放できる。

ロコのクローズ型と、フライッシュマンは形状こそ違えほぼ同様な性能である。
とても使いやすい。

私はロコが手に入らないときには、フライッシュマンの連結器を使っている。 これはモデルバーンで手に入る。

この形状がヨーロッパの客車や貨車などに広く使われる。

私は機関車と貨車には鈎型、 客車にはロコかフライッシュマンのこれらの形を使っている



ロコ製鈎型


ロコクローズ型


ロコから伸縮式のパーツが出ている

MEM規格のポケットが付いているのでロコ以外の連結器が付けられる。
伸縮も大きく、使いたいのでストックしてある。


他にもMEM対応のカプラーは何種類もある。




遠隔操作式連結器


メルクリンはディジタルシステムなので、コントローラーからファンクションボタンを押すことで連結解放出来る連結器がある。
左の機関車がそれである。
任意の場所で貨車などの連結解放が出来るので、小型の入換機関車などに装着されている。


機構的には、ドライバーの先で上げた部分が、遠隔操作で上がり連結解放される。 任意の場所で機関車を外せるのは気持ちが良い。




通電式連結器

メルクリンの通電式連結器。 連結することで1回路分の通電が出来る。
メルクリンは集電シューから中央レールの電気を取るので、各車両にシューを付けると走行抵抗が大きい。 そこで一両にだけシューを付け、他の車両に電気を供給するためにこの連結器は必須のものだろう。


下から見た電極。 この連結器は他にも利用できるだろう。



フィースマンの通電式連結器

フィースマンの通電式連結器。
変な形に見えるが、MEMのポケットに入る。 連結解放も普通の下からレバーを押し上げれば出来る。

これは4回路である。 2回路も製品化されているはずである。


正面から見ると4回路が分かる。 何故このようにたくさんの回路が必要かというと、DCCにしたときに、動力車以外の先頭車にヘッドライトとテールライトの電気を送るためである。 これが無いと、そのために非動力車にもデコダーを積まなければならない。


以上であるが、持っていないものや古い製品もあり抜けている部分が多いと思う。


最後に、ヨーロッパ型の良いところはカプラーポケットがMEMの規格で決まっていて、ほぼ全車両に付けられているので、メーカーが異なる車両にも任意の連結器を付けられることである。

さらに、徹底した伸縮機能と相まって、走らせる鉄道模型として素晴らしい構造になっている。
日本でもMEMのカプラーポケットを備えて欲しいと思うが、それでは実感的では無いと普及しないだろう。
カプラポケットの自作はかなり難しく、プラスティックの量産体系が無いと不可能に近い。
この辺りの考え方が模型の楽しみ方の大きな差になっているのかも知れない。



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