私の9600
upload 2008/10/1
2008年天賞堂のプラ製の9600を買いました。
色々なバージョンが出ている中で、模型店で言ったのは「デフレクターが無いのが欲しい」という事です。大正生まれの古い機関車にはデフレクターが無いのが似合うかなと思ったからです。ですから北海道タイプとか本州タイプとか全然興味が無い、そんな性格の私の9600を紹介します。
結局手に入れたのは九州タイプのデフ無しという形でした。
購入直後
ナンバープレートも付いていません。
とりあえず私の鉄道の最急カーブを通れるか試してみました。
R356です。
かろうじて通れます。これは凄い。
改造すれば少し楽に通れるようになるかもしれない。とりあえずナンバープレートを付けました
この作業はめんどくさくて嫌いなのです。
私とすれば何でも良いからナンバーが付いていて欲しい。
さて、お決まりの儀式。分解して構造を調べます。
モーターにはフライホイール。
今時当然ではあるが、これは良い。ダイキャスト台枠に2軸ギヤ連動。
これも良い。
出来るだけロッドを使わないのがスムーズに走るコツ。動輪の集電子、4軸全てに付いている。
これも良い。
ただし先輪には集電子無し。
テンダーは2軸で集電で計6軸で集電。テンダー内にはわけの分からない基板が入っている。基本的には発光ダイオードと音声用の回路かと思われる。
もちろんDCC対応のソケットもあるし、スピーカーも取り付けられる。
ただし音を出すには、外部にSL−1とかいう音源装置が必要。
では、いよいよ本題、この9600を私独自のものにするぞ!!
では、走行性能は?
結構急カーブを曲がれることは分かった、しかし、しかし、低速性能が良くない。
ギヤ比を調べると18:1、動輪径15.5mmである。
このホームページで書いているこのタイプの機関車の最適なギヤ比だと、35〜40:1が欲しい。
その半分しかギヤ比が無い。これでは低速走行は無理だなと思った。
(ちなみにほとんど同じ動輪径のホーンビーのPiccadilyのギヤ比は57:1)
ギヤ比を変えるのは簡単ではない、台枠から作り直しが必要だろう。それならモーターを代えれば? 以前、天賞堂のC55も同様なことからモーターをコアレスに変えた。しかし、さほどの効果は得られなかった。だからモーター交換もする気無し。
ということで、この96、しばらく箱に入ったままになっていました。
しかし、せめて急カーブ通過対策をしようと改造をし始めました。
まずは、テンダー台車の中央軸の左右動を大きくします。
ドリルで軸穴を深くします。
プラなので手でドリルを回すだけで急激に削れます。
うっかりすると深くなりすぎて、大変なことになりそう。
これで左右の遊びが増え、カーブ通過は楽になったはず。テンダーのテールライトのスイッチが無い。
貨車をつないでいても点灯している。
ええい、配線を切れ!
ニッパーで切ったところ。
このテンダーなんて軽いんだ。
案の定客車を引かせると、カーブで浮き上がって脱線する。
何を考えて作っているのか天賞堂。
直線ばかり走らせるのでは無いぞ。
補重だ補重だ、鉛をナイロンに包んで放り込みました。
プリント基板の下に入れたかったのですが、ちょっと無理だったので格好悪いけれどどうせ蓋をするし。
急カーブ対策。
前輪です。
シリンダーの先輪が当たりそうな部分を少し、カッターで切り取りました。
ほんのちょっとですが、前輪の横動きが1mmぐらい広くなったかも。
こんどはテンダーの石炭です。
山盛りに盛られています。プラスティックそのままの石炭なので、市販されている石炭を上に乗せたいのですが、山盛り過ぎて乗せられません。そこで、石炭を糸鋸で切り出して、
(実はこの作業、恐ろしく気を使いました。糸鋸がちょっと進み過ぎたらテンダーを切ってしまいますので)ちょっと低くして接着しました。
これに市販の石炭を乗せれば本物らしく見えると思いますが、それはテンダーを塗装してからのつもりです。
それにしても初めから石炭の量をこれぐらいにして置けばよいのに。
動輪の急カーブ対策
購入のままでR356はかろうじて走りました。しかし速度は落ちるし脱線も時々するので、そこでせめてR420を目標に、実用的な運転が出来るようにトライしてみました。
R356に動輪を乗せた所です。
台枠が無いので分かりにくいですが、かなりどころか、とてもきつそうです。
やるぞー
フランジを取っちゃえ!
やすりでゴリゴリ。
タイヤに傷をつけないように慎重に。ちょっと削ったところですが、ここまで来ればやるしかない。
失敗したら機関車一台お釈迦。
覚悟が必要。
旋盤で削りたいけれど、車軸を抜くのはいやだし、固定が無理なのでやすりだけで削りました。第2、第3動輪のフランジを取ってしまいました。
仕上げはこの状態で車輪を回して、油目のやすりでドリルレース、といってもモーターの力が足りないので、表面をなでる程度。
さて、注目の結果ですね。
曲線通過が楽になりました。R420でもほとんど速度は落ちません。
はたして、脱線は??
しません。とても快調です。
でも多分R356ではフランジが無いので、動輪が線路の上に乗らずに、線路の内側や外側になっていると思いますが、止めて見つめなければそんなことは分かりません。それによる脱線も経験していません。
そして、他にもメリットが、それは線路に乗せやすいことです、第1動輪と第4動輪だけにしかフランジが無いので、2軸車を乗せるようなもの、もっとも先輪がありますけれど。
でも欠点もあります。それは音が少しゴロゴロするようになったことです。
これはやすりで削ったので、真円になっていないからだと思います。少しドリルレースをしたら音がましになったので、これで良しとしています。
言っておきますよ、安易に真似をしないで下さい。あくまでも自己責任で、なにもフランジだけではないです、改造全般すべて自分の責任ですよ。
さて、急カーブを曲がれるとなったら、やはりスローも利くようにしたいです。
そこでギヤ周りの改造を考えました。
伝導機構のシェーマです。
このようにウオームと車輪のギヤで12:1、間の2段の平ギヤで15:10.ということで最終ギヤ比は18:1、200kmぐらいは楽に出ます。
スローで走らせるにはこの倍ぐらいのギヤ比が必要です。
そのためには
1)このギヤ全部をとって改めて12枚歯のギヤを36歯に変えモーターから直接伝導する。
これは台枠全てを作り変える事になります。
2)12枚歯のギヤだけを24枚歯に変える。これも絶対に無理。
3)15:10の2段ギヤを30:10に変える。これが一番やりやすそうだが、30枚歯にすると直径が大きくなって取り付けられない。
そこで手持ちのギヤを探しました、するとだるま屋さんの36:1、ピッチ0.25のウオームギヤを付けると、ウオームホイールの大きさは大きくなりますが、ウオームの直径が小さいので、オリジナルのギヤと同じ軸間隔で取り付けられそうです。
そして、小さいほうのギヤはレインボープロダクツという会社の150円で2組入っているギヤを利用できそうです。
これを使うと最終ギヤ比は43.2:1となりかなり遅くなる。
遅すぎないかと思ったけれど、同じ動輪径のホーンビーの機関車が57:1で適当な速度なので、多分大丈夫なはず。
左が天賞堂のギヤ、右がレインボープロダクツのギヤで、小さいギヤは同じサイズで同じ歯数。
これを加工しよう。レインボーのギヤを旋盤で削って、だるま屋のギヤが入るようにしている。 おっ、うまく行った
実際にはここからギヤの厚さを薄くしたり、ギヤ同士の隙間をなくしたり、まー、苦労して、、完成。
左がオリジナルのギヤ、右が作ったもの。二つのギヤが滑らないように、キーピンを入れてあります。
軸穴が少し大きかったので、軸に真鍮パイプも入れました。ギヤ径が大きくなったので車体に当たる部分を削りました。 完成。
実はウオームホイールのピッチが小さいので、モーター軸とウオームホイールの間隔を調整しなければならないと思っていたのですが、元のままの位置にモーターを取り付けたら噛み合わせはばっちし。
運が良いというか実に都合が良いギヤがあったものです。こちらが改造前のオリジナル。
実はこのウオームを外すのに大苦戦。もの凄く固く打ち込んであるので、簡単には外れません。そして外れたときにはウオームが変形してしまいました。
改造中も、もしも作ったギヤが合わなかったらすぐこの状態に戻せるようにと思っていたのですが、元に戻すことは不可能になりました。
くれぐれも試される人はご注意を!
かくして、ギヤ比を大きくすることに成功。
さて、問題の走りは。
もちろん、スローが随分良くなり、ゆっくりと発車、停止ができます。
最高速度も十分必要なだけ出ます。動かして気持ちが良いです。
でも正直に言うと。
色々さわったためか、少し異音がします。ロッドがブレーキに当たっているのか、車輪の左右動ののためロッドが鳴っているのか分かりません。
そうだ、後ろの砂まき管がロッドに当たっているのかも知れない。怪しきは罰せよという信念の元に、砂まき管は引っぺがしました。多少音はましになったけれどそれだけではないみたい。
また、電気機関車に比べれば、スムーズさや静かさでは少し劣ります、それは蒸気機関車ということでやむを得ないでしょうが、何処かに書いたカトーのC56(コアレスモーターに交換)は実に静かです。
でもこの9600の走りも、かなり良い線を行っているので、コアレスに変えればもっと良くなるでしょうが、これで満足できるレベルなので走り装置の改造は完成です。
では、最終仕上げ、ウエザリングに取り掛かります。
まず、全体に黒のつや消しを吹きました。
次に黄土色を下回りを主に吹いて、泥汚れをつけました。
そこからは筆塗りで汚してゆきます。
水のこぼれた跡や錆び色、油の黒輝りなど
もうぐちゃぐちゃに色を塗っています。 それからパステルで汚れをつけます。
パステルは削らずに、直接筆にパステルをつけて塗っています。最終仕上げはエコーの煤です。
筆につけて擦るというか、磨く、適当な金属のてかりが出てくれます。
この上からFIXなどは塗っていません。光ると怖いので。
かくして、ウエザリング、すなわち”汚し”が終了。
完成写真です。
加悦桃駅に96が来た。
以上です。
ここでHNモジュールの宣伝をしておきましょう。
モジュールがあると「らしい」写真が撮れますよ。