X線撮影について

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X線とは
こんな絵を見つけました。

レントゲンで透視している図です。
赤く光っているのがX線を発生するX線管。 右の筒が高電圧発生装置。

そして、女の人の背中にあるのが、ガラスに蛍光体を塗った、蛍光板です。

医師が後ろから、体の中を観察していますが、X線が体を通って、蛍光体に当り、蛍光を発して目に見える像ができるからです。

この蛍光像はとても暗くて、こんなに明るい部屋では全く見えませんが、画家のインプレッションと書いていあるので、こんな感じに想像して描いたのでしょう。

明治の中頃と思われますが、方法としては概ねこんな感じだったのでしょう。

さて、X線とは何か? 学校で習ったことがありますか?

習っているはずですが、すこし思い出して下さい。

X線は電磁波の一種です

光と同じ波です。 下の段に、色の波長を示しています。

左端が紫で波長が短い、右に行くと緑から赤になって波長が長い。 これが人間の目で見える波長の領域で、可視光と言います。

上の段に戻って、この可視光より左が、紫より外にあるので紫外線と言います。
もっと左、すなわちもっと波長が
短くなると、X線になります。 左にゆくほど波長が短くなると同時にエネルギーが高くなります。

紫外線ですら皮膚に入り込むので、さらに短いX線は体を通り抜ける力があります。 さらに左がガンマ線や宇宙線です。
なおX線とガンマ線は同じ領域に重なる部分もありますが、発生原理が違うので名前が違います。

一方、赤色より右は赤外線です。 そして、さらに波長が伸びてゆくとマイクロ波や電波になります。

このように波長の違いでいろいろな性格を持つのですが、波長は、10のマイナス何乗から、10の10乗など、百万倍どころか、兆か京のオーダーかよくわからないけれど物凄く異なります。

携帯の電波やテレビの電波、短い方では色々な色の光や紫外線、ガンマ線、宇宙線などが、常に私たちの周りを走りまわっています。


レントゲン博士

X線はレントゲン博士が1895年に発見しました。

ドイツのビュルツブルグという町での事です。

私は、鉄道模型紀行と言うツアーで行った時に、一人抜け出し、博士の研究した部屋を見てきました。

博士の写真前で、行った証拠の写真です。ビュルツブルグ大学にて。1994年


博士が実験に使った機材です。 
ガラスで出来ているものがX線を発生する真空管、X線管です。 そして、手のレントゲン写真があります。

博士は、陰極線の研究ししていました。 写真の真空管とは少し形が違いますが、高電圧をかけて電子を発生させていました。 1985年にすでにそんな実験がドイツでは広く行われていました。

そして、暗い部屋で実験していた時に、部屋の隅にある蛍光物質が光っているのを見つけました。 真空管の電気を切ると蛍光も無くなるので、真空管からなにか解らない光線らしいものが出ていると、X線と命名し、必死で実験を続けました。

その結果、
X線の性質として

1.蛍光体に当たると蛍光体が光る。

2.紙などを貫通するが、金属は貫通しにくい。

3.フィルムに感光するが、人間の目には見えない。

4.磁界やレンズによって方向が変わらない。

5.X線は陰極線でもなく紫外線でもない。

その他20項目近く、現在知られているX線の性質のかなりの部分を解明し、論文に発表、世界中が驚きました。

ただ、前述のように他の研究者も似たような実験をしていたので、博士はX線発見と同時に夜通しで研究して、いち早く発表したのです。 少し遅れれば他の研究者に先を越されたかもしれません。

ということで、X線の性質の大事な部分を書きましたが、
この時点ではX線が体に影響することは解っていません。

昨日の絵でも、患者も医師も、X線に対する防護は全くしていません。
当然博士も、X線の防護無しに一生研究を続けたのですが、放射線障害には罹っていません。 多分、研究程度なので大量のX線を被ばくしていないからだと思います(私の考え)。

では、X線の発生はどうやって行うのか?発生原理は?
どんな装置?


X線はどうやってできるの? (X線の発生


一口で言えば、電子を物質に高速でぶっつければ、X線が発生します。


右の輪っかの図は、原子です。 
原子核があって周りを電子が回っている模式図です。

この原子に電子を高速でぶっつけます。
すると、以下の2つの現象が起きます。

1) まず、下の矢印が描いてある電子を見ると、原子核の近くで方向を変えて上に曲がって飛んで行ってしまっています。

電子が原子核のクーロン力という力で、減速されて方向を変えてしまったのです。
この時に、減速したエネルギーが、X線となって放出されます。 制動放射と言います。 そしてそのエネルギーは減速の程度によって異なるので、連続的なエネルギーを持ちます。

2). 次に、上に示した電子は、原子の中の軌道電子にぶつかって、軌道電子を原子から外に飛び出させています。 

軌道電子が飛び出すと、その軌道に空きが出来るので、一つ外側の軌道にある電子が、その空きに落ち込んできます。 
この時に、最初にあった軌道と新たに入ってきた軌道のエネルギーの差がX線となって放出されます。
それを特性X線と言って、そのエネルギーは軌道間のエネルギーの差なので決まった値となります。 そのために特性エックス線と言います。

この2つの現象でX線が発生します。





では、具体的にX線管はどうなっているでしょうか。



X線管の模式図です。
左のカソード(陰極)から電子を発生させて、右のターゲットと呼ばれる陽極に電子をぶっつけます。

真空中で行う必要があるので真空管になっています。
電子が陽極にぶつかるとその中の原子と反応して最初の画の通りの現象が起こり、X線が発生します。

実に原理通りなのです

電子はどうやって作るかと言うとカソードが電球と同じフィラメントになっていて、電気を流すと熱電子が飛び出す。実に簡単です。

そして、飛び出した電子をターゲットに高速でぶち当てるために、カソードとターゲットの間に高電圧をかけて、電子をプラス側のターゲットにぶっつける。

この電圧は、撮影部位によっていろいろ変えますが、乳房撮影のような弱いX線の時には3万ボルト、胸などでは15万ボルト近く、頭や腹部などはその中間の7〜8万ボルトぐらいです。 実際には30KVとか150KVとか書くのは当然です、

そして、ターゲット物質はタングステンですが、集中して電子を当てると溶けるので、傘のような形にして、回転させることで、タングステンの位置が変わりX線の出力を上げるようにしてあります。

描いていませんが、ターゲットのある側の外にはコイルがあって、誘導モーターの構造でターゲットを回しています。

ですから、皆さんがレントゲン撮影を受けている時に、「息を止めて」と技師が言った頃に、ターゲットが回り出す、ブーンという音が聞こえると思います。

実物写真

左がターゲットで傘状になっています。ここが回ります。
右上がカソードでフィラメントが中にあり、ここから電子が飛び出してターゲットに当たります。

これが、金属製の容器に入って、X線が出る部分だけ窓になっていて、他はX線防護壁になっています。そして防電撃のためと冷却のために油侵になっているので、このようなX線管の形は見ることができません。



かなり昔のX線管作りの絵です。 まるでガラス細工ですね。

私は、学生の頃に東芝の川崎工場と日立の亀戸工場を、そして、40歳の頃、ミルウォーキーのGEのX線管の工場を見学しましたが、ほとんど覚えていませんが、たしかにガラス細工をしているような部分もあった気がしています。

ただ、GEの担当者が、「Xray tube is the sun!」と力説したのを覚えています。 普通の写真は太陽の光で撮影しますが、レントゲン写真はX線管からのX線で撮影するのでたしかに太陽に相当しますね。



X線と物体の相互作用

X線の発生まで述べましたが、X線が物に当たるとどうなるかの説明です。 レントゲン撮影の原理になります。

X線が物体に当たると、その原子で考えます。

上からX線が入ってきて原子に当たった図です。
レントゲン撮影程度のX線のエネルギーでは、以下の2つの反応が起きます。

1) 光電効果: Aに示していますが、原子に入射したX線が軌道電子とぶつかって、軌道電子を弾き飛ばしてしまいます。 そして自分自身(X線)は消滅します。

2) コンプトン効果: もう少しX線のエネルギーが高くなるとBに示すように、X線が軌道電子を弾き飛ばした後、まだX線が残っていて、それが他の方向に向きを変えます。 この時X線のエネルギーは低くなっています。
このX線を散乱X線と言います。 散乱X線は撮影に役立つどころか邪魔な存在で除去しなければなりません。

というような2つ現象が起こって、原子、すなわち人体に入射したX線は、止まってしまいます。 と書くと全部止まるように思ってしまうかもしれませんが、原子は隙間だらけで、軌道電子と衝突しないX線は、すんなり通りぬけてゆきます。

全体的にはX線が少なくなって人体から出てゆきます。 X線の減弱と言います。

このような作用を相互作用と称しますが、原子の中の軌道電子の数が多いと、ぶつかる可能性が高く、X線の減弱が多くなります。 軌道電子の数は原子番号と一致します。

ですから、原子番号が高い物体ではX線はより多く減弱します。 鉛は原子番号が92で、鉄は26です。 ですからX線を遮蔽するには鉄板よりも鉛板が使われます。

もちろん、原子番号だけでは無くて密度にも関係しています。


では実際の撮影では

X線撮影の説明図です。
左に原子レベルの図
右に実際の撮影原理です。

X線管から出たX線は人体(断面で描いた)に入射します。 
人体は色々な原子で出来ていて、筋肉の(実効)原子番号は7.42、脂肪は5.92、骨は13.8と異なります。

ですから、
人体を透過したX線は人体内の組織とその厚さによって、強度が変わります。 人体の下に書いたふにゃふにゃの線が、強度が場所によって変化している事を示そうとしたものです。

そして、下にフィルム(増感紙と言う蛍光体も併用している)を置くと、
人体内部の構造が、白黒の写真となって記録できます。 これがX線写真です

このフィルムの位置に、色々なX線検出器を置くことで、写真以外、動画やディジタル画像を作ることが出来ます。

以前に書いたと思いますが、X線撮影はカメラでの一般写真よりはるかに昔から、アナログ(銀塩フィルム)からディジタル画像に移行してきています。 

私のかかっている整形外科の小さな医院でも、ディジタル画像で、医師はMacの画面で私の骨の写真を見ています。

私の首の写真。
Macの画面を、先生写していいですかと許可をもらって撮影。

首を前に前屈させたのと、後ろに後屈させた写真です。
思いっきり曲げたつもりなのに、骨を見たら曲がっていない。 椎間の伸縮性が無い。 特に後なんてほとんど曲がっていない。 異常な肩コリ、頸凝はここらが原因なのでしょう。

X線の被ばく? もちろん被ばくはします。 だって、X線を体に照射して撮影しているので当たり前です。
その影響については、後日


ということで、X線は電気で発生させているので、常に撮影室にX線がある訳ではないのです。 懐中電灯と同じでスイッチを入れた時にだけ光ると考えて下さい。





X線高電圧装置

X線管に高電圧の直流を印加することで、X線が発生するので、高電圧発生装置が必要です。

回路を書きますが、私は電気に詳しくないので、基本程度。


単相2ピーク装置の基本回路です。 X線管のフィラメントを加熱する回路は省略してある。
電源の交流を変圧器で高電圧を変えた後に整流してX線管に送っている。

電圧調整部分は高電圧になってからでは危険なので、電源からすぐの位置にある単巻変圧器で行っている。

そして、X線を照射する時間を設定するタイマーがある。



コントローラー。 
管電圧調整、タイマー等のつまみがあり、これを撮影部位ごとに調整して撮影していた。 基本的に今もそうなのであるが、この大昔のタイプ(単相2ピーク)の装置の写真を探すのに苦労した。 変圧器はロッカーほどの大きさがあり部屋の隅に置いてある。

このように基本的には簡単なのであるが、実際にはフィラメントの過熱回路や、その他各種の補正回路、保護回路などがあり、遥かに複雑になっている。

この装置が故障したら、患者さんを待たさないために、メーカーの修理が来るまでに回路図とにらめっこしてどのパーツが悪いのかを見極めて修理したものである。 修理できないまでもメーカーにどのパーツがおかしいと連絡しておけば、修理も早い。


なお、整流器はケノトロンと言う真空管で、高圧なので油に侵っていて大層な物だった。


ちょっと電気に詳しい人なら、えっ、今でもX線装置はこんな原始的な回路か? と思われるでしょう。

まさか、 今は当然インバーターが主流です。

しかし、インバーターが出来る以前、血管造影撮影など1秒間に何枚も撮影するので、高出力で短時間撮影が出来る、3相12ピークの変圧器式の装置が用いられていた。

それはそれは大きな変圧器が付いて、価格も高い凄い装置だった。 それも今ではインバーターであるが、高価なことに変わりはない。






インバータ装置。
 

インバータとは逆変換とでも言いましょうか整流の反対で、直流を交流にする働きをします。

原理です。

左から直流が流れてきます。
スイッチA,A’、 B,B’ はそれぞれペアで働きます。
A,A’がONになった時には、赤い矢印のように電流が流れます。

つぎに、B,B’がONになった時には、緑の矢印のように電流が流れます。

これを高速で交互に繰り返すと、赤、緑、赤、緑と電流が交互に流れる、すなわち交流が発生します。
これは、ON,OFFだけで交流にしているので、下の図のように、方形波の交流が出きます。 簡単ですね。

この図では、さらに変圧器が付いているので、変圧器により電圧が変わって出力されます。

この図ではスイッチで描きましたが、実際にはIGBTなどの半導体スイッチが用いられます。


X線装置では

3相交流を入力していますが、単相でも構いません。

まず、電源部の交流を整流器で直流にします。
次に、DC-DCコンバータがありますが、電圧を調整するためのものです。 チョッパ回路が使われています。

この直流電流がインバータで交流にされて、変圧器に入り、高電圧の交流となり、その後整流されて直流となってX線管に流れ、X線が放出されます。

さて、元々交流だったのをわざわざ直流にして、インバータでまた交流にするのは何故でしょうか?

それは周波数の違いです。 一般電源の交流は50なり60サイクルです。 ところがインバータから出力される交流は2万とか3万サイクルと桁違いに高い周波数の交流です。

高周波の交流を使う事で、高電圧変圧器を大幅に小型化できます。 そして、X線管までつながっているコード(高電圧ケーブル)の静電容量(コンデンサ)によって、平滑化されて、綺麗な直流(リプルが少ない)が作られます。
これは機械の小型化と、X線の出力を大きくできる利点があります。

さらに、
インバータ装置の利点(これが最大かもしれませんが)、出力部分の電圧や電流を測定し、設定値と異なる時には、チョッパやインバータ部分にフィードバックして補正を掛けて、常に正しい設置値どうりのX線を出力できます。

と言う事で、良い事づくめの高電圧発生装置なのであります。

上の例はチョッパを使った方形波インバータ回路ですが、他にインバータの周波数を変えて共振を利用した共振型インバータもあります。

電車でドレミファの音が出るのは共振周波数が変わって行くからでしょう(間違っていたら教えてください)。

そして、VVVFなどと書いてある電車もありますが。Variable voltage variable frequency の略で、チョッパによる電圧の変化と、インバータの周波数を変える両方を行っています。 ちなみにVVVFは和製英語だそうです。


このように、インバータは素晴らしいものでありますが、開発当時は色々なことがありました。




X線撮影装置のインバーター導入の頃です。

35年ほど前でしょうか、私の施設で一般撮影(四肢や、腰、腹など)で使っていたのは、思いっきり安価な低性能の装置でした。

その買い替え時にドイツの装置を使って見たくなり、Siemence (ドイツ語読みならジーメンス、電気機関車などジーメンス製と良く言ったものですが、英語読みでシーメンス)の装置を買って欲しいと頼みました。

そしたら、なんと買ってくれたのです。 多分バブルの頃でしょう。 とはいえ、一番安いタイプです。

何故、ドイツ製を使いたかったかと言うと、やはり世界の標準を使って見たい。 それによって日本のメーカーにもいろいろアドバイスできすはずで、国産の装置も良することが出来るだろうと思ったからです。

その装置がインバーターだったのです。 
驚いたのはインバーターによって、高圧変圧器が物凄く小さくなったことでした。


それまで、冷蔵庫ほどあった変圧器が、なんとX線管と同じ容器に入れられている。 彼の持っているオレンジの持ち手の上の部分の横に長い箱にX線管と一緒に入っている。

冷蔵庫ほどの大きさのものがこの中に入ってしまった!
ビックリです。 実は、この装置は出力が小さいので、特に小型化されているのですが、驚き。
だから電気回路的にも、ここに来るまでの電圧は低電圧なので、大層な太いケーブル(コード)は要らない。 だかケーブルもすっきりしている。

それと、デザインが素晴らしい。 国産の装置は、いかにも”X線発生装置”といった電気装置的な感じですが、シーメンスの装置は”患者さんを撮影する医療装置”という感じで、色もデザインも優しい。 オレンジをつかったり、濃いグレーを使ったり。 国産はクリーム一色とか薄緑一色とかで、アクセントが無い。

患者さんの乗って寝るベットが、木で出来ていて、まるで天童木工の家具のようである。 国産はアクリルが多く、透明なので乗るのに患者さんが怖がったり、透明なので下の機械がまる見えで気持ち悪かったりでしたし、しかもだんだ傷だらけになる。 そして、アクリルよりも木製のほうが写真の写りも良い(散乱X線の関係)。

その上、作りそのものの格が違う。アルミ材や鉄材は見ただけで、とても良い材質と解るし、ネジ一本を見ても仕上げが素晴らしい。 まさに、開国当時の日本人の思いのようだ。


一方、これを制御するコントローラーは

とてもデザインが良い、と言うだけでなく、物凄く使いやすい。 先日 載せた国産のコントローラーと比べてえらい違いだ。 もっとも、インバーターになったからシンプルに出来た事はあるが、それにしても凄い。

ということで、
早速国産メーカーもインバーターを開発しだしました。
ところが、回路的には前日書いたように簡単なのでしょうが、実際の製品は作るのに大苦労したようである。

それは、インバーターにすると変圧器を小型にできるけれど、効率は良く無く、かなりの熱を発生する。 天下のT社の製品でさえ、変圧器の上で卵焼きが焼けると言われたほどで、故障の連発。

それにたしかコンデンサだったと思うけれど、国産のインバーターは数カ月ごとに定期的に壊れた。

変圧器に関しては鉄材の問題だったようだし、コンデンサも同様のようだった。

そして、

変圧器の大きさは従来より小さくなったが、この背の高い箱の大きさだ、ただし、X線管切り替え装置も内蔵しているので、この半分の高さまでが変圧器であろう。 ただしシーメンスの物よりも大きな出力ではある。

しかし、シーメンスのこれと同じ出力の物はやはりこれよりはるかに小さい。


この話はインバーターのX線装置の初期の話で、現在は国産のインバーターは素晴らしいものになり、装置のデザインもおどろくほど綺麗になっている。




X線撮影と装置の改良

レントゲン撮影の模式図です。

左は大きな人、右は細い人の撮影です。

大きな人は体の中でX線がたくさん減弱してしまうので、フィルムに到達するX線が少なくなり、写真が白くなってしまいます。
一方細い人は減弱が少なく、フィルムにたくさんのX線が当たって、写真が黒くなってしまいます。

ですから、
放射線技師は、患者さんの体の大きさや撮影部位に合わせて、X線の量を調整して、フィルムに到達するX線の量が最適になるようにしなければなりません

これは、一般の写真でのリバーサルでの撮影に相当して、露出をきっちりとしないと補正が効かないので、難しいのです。
しかも、人体を通った後のX線の量を推測するので普通の写真のように露出計で光の量を測ったりできません。

ですから、撮影条件表を作って、この厚さなら幾らの条件と、いわゆるデータベースを作って撮影しています。
だから、体の厚さを測るメジャーがあります。

しかし、胸部や腹部などでは自動的に露出を決定して、技師が正確に設定しなくても適正なX線量になるような装置が数十年前から出来ています。

原理図です。 フィルムの前に体を透過したX線の量を検出するセンサーを置き、一定量のX線が入った時に、X線装置にX線をカットする命令を出します。 

これで、ずいぶん失敗が無くなりましたが、これを使えない部位、すなわち、頭、頸、腕から手、大腿から足まで、ほとんどの部位ではこの装置は使えません。

ですから、これらの撮影では技師がきっちり撮影条件を設定しなければなりません。 事実、この辺りの部位での露出不良は多くて、撮影のやり直しは相当数ありました。

「すみませんがうまく写らなかったのでもう一枚撮らしてもらえませんか?」 「はい、解りました」とか。「丁寧に何度もすみません」とか優しく言ってくれる人もいますが。

失敗したんか! お前らプロやろ! しっかりせい」 と怒鳴られることも多々経験しています。

でもね、もし写真屋さんに行って写真を撮ってもらったら、必ず同じポーズを3枚ぐらい撮るでしょう。 学校での記念写真でもカメラマンが3枚ぐらいは撮られているはずです。

それに対して、レントゲン撮影は同じポーズ(体位)では一枚しか撮らない。 しかも体内という目に見えない部位を推定して、骨の傾きなども考えて、かつ微妙なX線の量を調整して撮っているんだ。 
最初から同じ体位で3枚ぐらい撮らせてもらえれば、めったに失敗はしないわい! と言い返したいのだけれど、被ばくがあるので、最小限度の撮影しかしていない。

申し訳ありませんが、と謝るしかない。




学会発表

パソコンが初めて世に出だした頃である。 今と違って、世間の人々は電子計算機と言っていた。 そして、それは計算する機械だと思っていた。

そこで、パソコンに強い友人と、パソコンを使って撮影に役立てる方法を放射線技術学会で発表した。

発表が終わって会場を出ると、メーカーの人が数人並んで、最敬礼で頭を下げて、発表された内容を弊社で使わせてほしい、是非共同研究していただきたい、と。

数十回も学会発表しているが、こんな事は後にも先にもこの一度きりである.


何を発表したかと言うと、


それまでのX線装置では技師が撮影条件を覚えておかなければならないが、パソコンに撮影条件をメモリーして、それを呼び出して、その値をX線装置に入れればよい。 さらに、パソコンとX線装置をリンクさせて、自動的にX線装置の設定がされるようにすれば良い。

という内容でした。 今なら当然と思うでしょうが、パソコンは計算をするもので、メモリーをするものではないと思っていた時代ですから、メーカーにとっても目から鱗だったようです。

シャープMZ200の画面です。 発表の時はMZ80Bだったので、この写真はその一年後の画面で、被ばく線量まで計算して表示しています(なお、未だに被ばく線量まで表示できる装置は無い)。

ということで、私とそのメーカーS社と共同でコンピューターに条件をメモリーして、X線装置に連動させた装置が出来ました。 日本最初です。 この時はX線装置の横にパソコンを置いた形ですが、その後はX線装置の中に組み込まれ、インバーターの時代にはそれが当たり前になるようになっていました。

なお、当時はパテントや、メーカーとの共同研究契約等まったく知りませんでしたので、代償なしですが、今なら病院とメーカーで契約を結ぶはずです。 でもって、こういう事があったと言うだけで、多分、誰も覚えていないでしょう。 論文にしていないので、私自身も記憶だけで多分1980年頃だと思いますがはっきりした年もわかりません。

インバーターの話に戻って、1993年頃T社のメーカーのインバーター装置を導入しました。

この装置です。 コンピューターが内蔵され、撮影条件がメモリーでき、頭や膝などの部位選択ボタンを押すだけで標準的な撮影条件がセットされます。 後は、患者さんの大きさなどで補正を掛けるだけ。

便利になったようですが、実はこれよりずいぶん前から、前述のシーメンスの装置を使っていたのです(国産の会社名を隠してシーメンスだけを実名にしているのか? まあ、気にしないでちょうだい、この方が書きやすいから)。

それと比べて、とても使いにくい。 コンピューターにメモリー出来ることを売り物にして、380の部位をメモリーしてあるので、呼び出すのに深い階層にあるとなかなか探し出すのが大変だ。

そして、左手前に青いスタイロフォームで囲ってあるのは電源スイッチ。 ここにあると、右にあるX線スイッチと間違って、電源を切ってしまう事があるのでプロテクトを作ったのだ。

というようなことがあって、T社に私の理想とするコントローラーの図面を書いて渡しました。
すると、数カ月後、T社は、パネルが出来ましたと、工場からわざわざ表面のパネルを持ってきて、このデザインで良いですかと、聞きに来てくれました。

そんな事があって出来たのが

この装置です。 撮影部位が49表示してあって、そのボタンを押せば簡単に撮影条件が設定できる。 それに太い、細い等の補正をすればよい。380を49で良いと頑張ったのを聞いてくれたのです。

実は、基本的にはほとんどシーメンスの真似なのですが、それよりも管電圧等の表示を大きくする等より使いやすくしてある。

そして、手前にあった電源スイッチも奥にして、誤操作を防ぐようにしている。
ちなみに、赤や黄色の目立つようなテプラを貼ったのは、医療ミスを防ぐためで、間違いやすい所には目立つような表示をしている。

もともと、シーメンスと言うか外国の製品を使いたかったのは、それを参考にして国産の装置も良くなって欲しいと言う気持ちがあったからで、他にフィリップスの装置を導入したりGEのCTを導入したり、色々な国の装置を入れる事によって、放射線技師が、ユーザーの立場で、よりよい装置を作ってもらえるように頑張っています。

ということで、その後この装置を作っている現場を那須まで行って見て来たのでした。

この装置は発売後20年ほど経っていますが、今なお使っている病院も多いと思います。

以上は、私の自慢と言うよりも、放射線技師は装置の改良にも力を入れているのだと言う事を解って欲しいので書きました。 

メーカーは技術力があります。放射線技師は現場で使って、より患者さんのためにどう言う機械が良いか、使いやすく誤操作を起こしにくい装置は、とかを知っています。

他にもCTやMRI、核医学の装置などでも全国の色々な病院の放射線技師がメーカーと共同で、より医療に役立つ装置の開発に協力しています。


なお、ドイツのメーカーは、こう改良して欲しいと言っても、頑として聞き入れませんが、日本のメーカーはちゃんと要望を聞いてくれます。 ただ、その事が良いかどうか、あちこちの意見を聞きすぎて、船頭多くして、というような何でも満載の機械になって使いにくいこともあります。
医療機器以外でもそうですよね。





CT


CTは1971年、今やずいぶん昔になりますが、イギリスのEMI社(レコードのメーカー)のハンスフィールドさんが発明しました。
そして、翌年、EMIスキャナーと言う名前で発売されまして、日本にも何台も導入されています。

初めに東京女子医大に納入されたと思ったのですが、その見学会の時に京都から車で東京まで走って行って見た覚えがあります。 何故車だったんだろう? 多分国鉄のストだったのかもしれません。


CTの原理は、
1)X線管を体の周りを回転させながら照射する。 
2)ある角度ごとにX線の強度の分布(投影像)を記録する。
3)投影像のデーターを撮影とは逆に、X線管側に計算で逆投影する。
4)すると、被写体(患者)の体内の画像が構成(再構成という)される。

意外と簡単なのですが、実際にはその計算法が難しい。
上の図はEMIスキャンより進んだ時代の原理図で、EMIはもっと計算はシンプル。 しかし機械が複雑。


私の病院に設置されたEMI1000スキャナー。 EMI最初の製品です。
カバーを外して、中の機構が見えるようにしています。
X線管を検出器と平行に動かしてデーター取得、その後ある角度だけ回転させてデータ取得、これを360度繰り返してやっと1枚分のデータが取得できる。

だから、頭の撮影で8枚も撮れば、撮影時間は40分ほどかかっていました。 現在は1秒もかからない。

頭専用の装置で、中央の部分が水が入った風船状になっていて、そこに頭を入れる。水はデーターの補正用。

このコンピュータは

何とも懐かしい。 プログラムはパンチングテープで入力する。知っているかな? 紙の帯に小さな穴があいているテープで、ちょうど点字と考えていただければ良い。

記録は幅の広い(1.5インチ?)磁器テープで、その保存に相当広い場所が必要だった。

画像は

かなり酷い写り方で、はたしてこれが診断の役に立つのかと思ったのでした。
しかし、体を輪切りに出来る事と、今までのレントゲン写真では写らない脳が写っている。  これは凄い。

医師はすぐにこの写真の見方を勉強し始めた。 だって、今までに見た事もない画像だし、しかも輪切りなので、正面から見るのと全く違う。

国内のメーカーは、あわてて、原理を解析し、自社で作れるように研究を開始し出した。

放射線技師はというと、触ったことのない機械の操作を覚えて、すこしでも良い画像を作ろうと勉強を始めた。

皆、必死にこの機械に対応すべく努力しはじめたのでした。




原理的な事を書くと
初めにEMIスキャナーが出た時にはX線は細いビーム(ペンシルビーム)で検出器は一つでした。

これを横にスキャンしながらX線を照射し一つの投影データを得て、角度を変えて同じことをして360度行って1枚の撮影なので、部位をずらせて撮ると頭でも40分かかっていたと言う訳です。

この場合の逆投影による再構成は、簡単でボケ補正などのフィルターをコンボリューションやフーリエ変換などの数学的手法で行っていました。
プログラムを作ったことがありますが、原理的なものであれば、計算部分はコンボリューションやマトリクスへの補間も含めてたったの数行ほど(フォートランで)で、驚くほど簡単でしたが、実際には前後に色々なことが必要です。

その後色々な方法が出てきましたが、先日の図に描いたようなX線が扇型に広がっているファンビームが一般的になりました。

沢山の検出器を使って一つの角度では瞬間にデータが取れるので、これを回転させれば短時間で撮影ができます。 ところが、周辺は体に斜めにX線が入っているので、この計算をどうすれば良いか。
この頃、学会や研究会では東芝や日立、色々な大学の人たち、ほとんど数学者ですね、が物凄い討論、いやー、凄く頭が良い人たちがこういう方法が良いとか、いやそれは難しいだろうとか、聞いていてもさっぱりわからない。
メーカーは当然ある程度までしか言わないし他のメーカーは聞きたがっている、大学は数学は兎も角装置が無いので試せない、など、実に面白かった。

こうして、ファンビームのCTが完成したが、回転させると電源部からのコードが絡む。 そこで1回転させて次に反対回転させる装置だった。

たしか東芝が最初だったと思うが、連続回転が出来る装置を開発した、ヘリカルCTである。 電気の供給は電車のパンタグラフと同様にスリップリングと呼ばれる集電シューを使った。 もちろん1本の電極ではなく何本も電極がある。

これにより、X線管を連続に回転させながら同時にベッドも移動させると、らせん状に人体を連続的に撮影できる。

これにより、検査時間は飛躍的に短縮した。 もちろん再構成の計算も人体の縦方向の補間も必要なために飛躍的に難しくなった。 実際にはベットの移動が速いと、検査時間は早いが補間が荒くなり画像は悪くなる。 遅くベッドを動かせば、時間はかかるが画像はきれいである。

この辺りは技師と医師でケースバイケースで最適と思われる速さを選択していた。 

撮影時間は、胸部全体を撮影するとしてヘリカル以前は、40秒ほどかかるので、息を止めていられない。 そこで胸部上部と下部の2回に分けて、20秒ずつの撮影を2回行っていた。
それがヘリカルになると、十数秒で撮影できるので一回で全胸部が撮影でき、患者さんも長く息を止めなくて良いのでずいぶん楽になった。

そして、さらにマルチスライスCTが現れた。

体軸方向にも複数の検出器を持つ装置で、同時に複数の断面が撮影できる。、これで撮影することでシングルのヘリカルの数倍の速度で撮影できる。
上の図は4列のヘリカルであり、シングルに比べ4倍の速度で撮影できる事が想像できると思う。

こうなると、今まで撮影していたよりも薄いスライス、ハムの薄切りと考えてもらってよいが、より細かいものが見えるような撮影ができる。 
しかし、その分たくさん撮るので被ばく線量は飛躍的に多くなった。

メーカーのカタログから、細かいスライスで撮影してもわが社のCTは被ばくが少ないですという説明。


こうして沢山の画像が出来るので、放射線科医師は読影が大変である。 昼飯などカップラーメンを食べながら読影をしていることも多々あった。 現在はフィルムに焼かずにモニターでの読影であるが見る枚数に変わりはない。 *良く見たらMRIの画像ですが、CTも同じ様な物なので許してたもれ!


一方、細かく撮影するとデータから3次元で像が構成できる。

放射線技師は撮影した画像から3次元画像を作るのであるが、検査終了後なので残業である。 これは心臓だが心臓の回りにある肋骨やいろいろな血管などを消さなければならない。 X線像には色が無く白黒なので色も部位によって選んで色付けする。 コンピューターの処理が遅いと物凄く時間が掛る。

最近は速くなり自動化も進んでいると思われる。



メーカーのカタログから心臓も0.6秒ほどで撮影でき、3次元像も簡単に出来、かつ被ばくも少ないですよという説明。 実際には時間を追って撮影するのでもっと時間が掛るはず。右は冠状動脈を伸ばして表示している。


マルチスライスの列数は4列から16列、32列のように増え、最大320列もある。 
私が働いていた時にはまだ16列は無かったが、その後16列のCTで胸を撮影してもらったが、息止めは数秒でとても楽だった。



CTの撮影は初めにスカウトビューという普通のレントゲン写真に良く似た画像をテーブルを移動させながら撮影します。

そして、撮影したい範囲をこの画像を見て設定します。
これはスカウトビューに、私が肝臓の撮影のつもりで、パソコンで肝臓の上と下に線を入れたもので、こんな感じでCTスキャンしたいところを設定します。

そして、この範囲を1cm間隔で撮るとか2mm間隔で撮るとかを決めて、ボタンを押すとCT装置はこの範囲のスキャンを始めます。

ですから、以前に書いた単純撮影と違って、患者さんを上を向いて寝かすだけだし、あらかじめ一枚写真を撮るので、少し傾いたからとか歪んで撮ったとかの失敗はありません。

ところがCTでは、装置の操作が複雑です。 一台だけなら、すぐに覚えられるでしょうが、大きな病院では何台もCTがあります。 そして同じメーカーでも操作方法が違う。 自動車なら、どのメーカーでも同じで、国産車とヨーロッパ車で方向指示器とワイパーが違うぐらいですが、ハンドルやアクセルなどは同じです。

CT装置ごとに違うのは困ったことで、一人に同じ機械を毎日操作させると他の技師が覚えられない。 仕事で撮影するのだから素早く操作ができなければならないから、たまにしかその装置を触る機会が無いと、スムーズ撮影できない。 さらにMRIも覚えなければならないし、普通のレントゲンや病室撮影もできないと都合が悪い。 書くと複雑なので止めますが、まあ、勤務体制を作るのが大変。

さて、CTが進化して、高速に次々に画像が撮れるようになると、検査はすぐに終了します。 しかし、先日書いたように放射線科医は膨大な画像を見なければならない。

当然ですが、患者さんがとっくに帰った後からその人の画像を見て病気を見つけることになります。

その時に、例えば肝臓の検査だったので肝臓しか撮っていなかったのに、他の部位に病気がちらっと見えている。そこを追加して撮りたいのだが、すでに患者さんは家に帰っている。 家に電話して後日撮影するようなことも生じてしまう。

そこで、放射線技師の出番になってきたのです。 技師は検査している最中にその患者さんの画像を見ている。

だから、技師が医師のオーダーに無かった部位に病気を見つけたら、オーダーした医師か放射線科の医師にその事を言って、追加のオーダーを出してもらうようにするようになった。 技師は医師の指示が無いと撮影できないので指示をもらうと言う事です。

ということは
、放射線技師がCT画像から病気を見つけなければならない


これは教育用の画像で、正常なCT解剖を示してある。
最低これぐらいは知らなければならないし、実際にはこの程度では仕事にならない。

私なんぞ、診断は医師の仕事で、技師は技術的な仕事をするのが本職で、医師のまねごと等したくない派でしたし、医学は好きではなかったので、最低限の解剖知識しかなかった。

昔はそんなもので偽医者を作らないためにも、技師は技師の仕事という考え方であった。
しかし、今は違う、技師が医師よりも先に画像を見ているのだから、第一発見者?として患者の異常所見を見つけなければならない。

これは肝がんの例であるが、肝がんを見つけろと言う訳ではない。 これは予想している事なので、当然この部位は撮影しているが、これをさらに細かく撮るとか、これよりも上とか下の方に思いも掛けない病変らしきものがあれば、医師を連れてきて追加撮影するかどうかの指示をもらうのである。

ちなみに、この画像の黒い丸が肝がんであるが、これだけでは決定できない。 造影剤も使ったり、MRIを撮ったり核医学検査をしたりして、さらに病理検査もして決定するのである。

ということで、今では放射線技師の国家試験にこのような画像が出てこれは何かとか、診断にかかわるような問題も出る。

私ならすぐに落ちる。


CT検査室、造影剤の注入装置や心電図などもある。
シーメンスの16列装置。


この装置の中。 X線管と検出器、高電圧変圧器、冷却機、コンピュータ等ぎっちり詰まっていて、これが1秒間に2回転の速度で回る。 すごい遠心力が掛る。外見は優しいが、中は物凄い機械なのだ。

メカが好きなのでメンテナンスで開けた時に撮影。

最新型ではありません、10年ほど前の装置です。





ディジタル撮影システム

X線写真の話。 100年以上長い間フィルムが使われていた(増感紙と言う蛍光体と組み合わせて)。

しかし、
1981年、フジフィルムが世界に先駆けて、ディジタルのX線写真を発表した。 これは一般のディジカメよりもずいぶん昔の話である。  凄いぞ! フジフィルム!

これは特殊な蛍光体の板(IP)に撮影して、蛍光体中に像を記憶し、後からレーザー光の刺激で像を読み出しディジタルデータとしてコンピュータに送るという原理である。 この輝尽性蛍光体の特許で、それ以来10年間、世界中でもフジフィルムしかこの装置(FCR)は作れないので、フジの天下が続いた。

私たちも、かなり早い時点でこの装置をフジの営業所で使わせてもらい、その後導入した病院と連携で画質を研究した。  写真の好きな私にとっては、ディジタルの出現は実に面白い事であったが、まだフィルムの画質には追い付かない。その導入には使い勝手が良くなり、かつフィルムの画質を抜いてからと言う意識があり、かなり慎重だった。

そして病院建て替えの際に装置が小型化したこともありフィルムを止めて全面的にFCRにした。このための費用は、画像読み出し機1台が500万円見当で、それを10台近く、他に光ディスクやIPなどを入れると恐ろしいほどの価格になったが、将来を見据えたら当然やらなければならない事であった。

画像管理室、裏方である。 画像保管のための光ディスクやコンピュータが並ぶ。

その後コニカやコダック、アグファなどフィルムメーカーもCRを作り広く普及し始めた。 そのためにフィルムが売れなくなったので各社ディジタル化は必死だった。

ここでFCRの構造について詳しく説明すべきであろうが止めます。

FCRが開発されてから30年ほどで、他のディジタル機器が出てきて、現在ではこのタイプのディジタル機器は、ほとんど生産されていないからです。

新しいタイプのディジタル画像装置は、フラットパネルディテクター(FPD)と言って、FCRのように後から画像読み出しをするのではなく、撮影と同時に画像読み出しができリアルタイムで画像が表示されるものである。

基本的にはディジタルカメラのCCDと似たようなものであるが、大きさが桁が違う。 カメラの場合は1/2とか1インチ、最近でこそフルサイズに移行しているがそれとて36mm×24mmほどの大きさである。

一方、FPDは人体の大きさが必要なので、43cm×43cmほどありX線装置の中に据え付けられていた(過去形にしたのは最近は持ち歩ける大きさの物も出たため)。

原理図

X線を一旦、シンチレーター(NaI)で光に変え、アモルファスシリコンのセンサーで電気に変え、TFT(薄膜トランジスタ)で読みだしてコンピュータに送るX線検出器である。


FPDパネル本体。


まだ日本では薬事の許可が得られていないので、市場に無かったが、私たちは治験でフィリップスのFPD装置を日本で一番早く使えるようになった。

この使い勝手や画質の測定、すなわちMTFやウイナースペクトルの測定などであるが私の好きな分野であり、ずいぶん楽しい思いをした。






X線検査、胃などの透視検査。

透視とは、X線を出して、体の中を透視するので言わば動画です。 撮影のように一瞬しかX線を出さないのでは無くて、何分か出しっぱなしにするので、少ない量のX線で、像が見られるようにしなければなりません。

そこで、体を通ったX線が蛍光体に当たって弱い光を出します。それをイメージインテンシファイア(I.I.)と言う真空管を使って電気的に強い光に変えて、テレビカメラで写してテレビモニターに映して診断します。

I.I.は、暗い所でも物が見える暗視スコープと同じ原理ですが、体を写すのでとても大きい。


胃はレントゲンで写りません。 そこでX線を透過しにくいバリウムを飲んで写します。 バリウムの形を胃とみなすわけです。

透視して、病変を見つけてそこの写真を撮りますが、もちろん病変が無くても、一定枚数は撮ります。 


立った状態で撮影すると、バリウムが下に来て白くなってます。 上の黒い風船状の物は空気で黒くなっています。 黒い部分も胃です。 胃を膨らませるための空気を作るためにバリウムと同時に発泡剤という薬を飲みます。 

胃が空気でぱんぱんに膨れてくるので、思わずげっぷが出そうになりますが、げっぷをしないでと言われます。
結構げっぷを我慢するのがつらいです。


胃の検査で横を向いてとかうつむいてとか言うのはバリウムを胃の壁にひっつけて、 胃の襞が良く見えるようにしているのです。 潰瘍などでへっ込んだ部分があれば、バリウムが溜まって潰瘍と解ります。

基本的には医師が検査を行います。放射線技師が行っていることが結構ありますが、最終的には医師が写真を見て診断を下しています。



装置の基本図でI.I.を使っていましたが、最近は前述のフラットパネルディテクターFPDの装置が増えています。
後ろに大きな真空管が付かないので、床近くまで寝台を下げられるだけではなくて、画質的にも優れたものです。 もちろんディジタルです。


透視装置もどんどん進化していますが、検査数は激減しました。 胃がんや胃潰瘍の患者さんが減ったわけではありません。

多分、想像できると思いますが、内視鏡です。
俗に胃カメラと言われていますが、カメラではありません。 ファイバースコープと言います。

何度も検査は受けました。
検査前に喉の麻酔をするのにキシロカインでうがいをするのですが、それが結構厳しかった。

しかし、最近検査を受けるとスプレーでシュッでしまい。 ファイバースコープも細くなって、ずいぶん楽な検査になりました。 
鼻から入れる細いものもありますが、何か病変を見つけた時に対応し難い、 口から入れるものには、薬品を流す穴とかバイオプシ(組織を取ってがんかどうか調べる)もできるようになっているので、そのほうが2度手間にならないと思います。

と言っても内視鏡は素人なので検査をやってもらった患者としての意見です。 楽に検査を受けるコツは喉を通る時に意識して飲みこむ。 これですっとファイバーが入ります。嫌がるとなかなか入らない。


胃の画像が無かったので、大腸です。 病変があります。
内視鏡はレントゲンでバリウムを見ているのと違って、直接、目で胃や大腸を見ます。 しかもX線の被ばくが無い。 だから、レントゲンによる胃や大腸透視は、極端に減りました。 放射線科にとっては商売敵です。

なお、放射線科の医者は胃のバリウムの像で、胃潰瘍か胃がんかなどの診断をしています。 もちろん胃がんと断定は難しいので、胃がんの可能性あり程度の書き方でしょうが、その診断が間違っていると、医師としての信用を失う。

そこで、手術の時に立ち会ったり、病理検査の結果を調べたりして、自分の診断が正しかったかどうか確認していました。  

基本的にはCTやMRIも同じで、画像診断は画像だけで判断するので、その結果を確認して、自分の診断能力を高める勉強を常にしておかなければなりません。
放射線医は大変なのです。






X線検査、循環器すなわち血管撮影(アンギオ)です。

血管はレントゲンで写りません。 そこで造影剤というヨード系の薬を注射して撮影しますが、血液の流れは早いので連続で何枚も撮影します。

と言う事は、大出力で短時間撮影ができるX装置が必要です、早い話が高い装置です。


腹部血管です。 真ん中に大動脈が通っていて、足に向かって二又に分かれています。 両側にあるラグビーのボール状の臓器は腎臓です。

このように血管に造影剤を注入して撮影すると、たくさんの血管が一度に写って見にくい場合があるので、
目的血管の近くまでカテーテルと言うパイプを入れて、そこで造影剤を流すと見たい血管だけを写せます

カテーテルは大腿の付け根付近の血管を少し傷つけて、挿入して、X線透視下で、目的の血管に届くように放射線科医師が操作します。 難しいですが最近は技術が進んで細い血管まで入れることができるようになりました。。

一方、目的の血管を写せても周りの骨や他の臓器などが邪魔になり見にくいことがあります。
そこで、
DSAという装置が開発されました

これは、造影剤を入れる前に1枚撮影しておいて、造影剤を入れた後の画像を重ねて引き算するという方法です。

同じものが写っている所は引き算で消えて、すなわち骨や臓器などの陰影は消えて、造影剤の血管だけが写るという手法です。


左が普通に撮影した血管撮影の画像で、肝臓の血管と共に骨や肺が写っています。
右がDSA像で、骨などは消えて、血管が写っています。 

血管の色が白と黒と違うのは単に白黒反転で表示しているだけです。

この手法を使って造影剤を注入しながら連続で撮影して、血液の流れなども解るのです。

また、この方法では造影剤の量が少なくても写るので、カテーテルを使わないで肘の静脈に造影剤を注入するだけで検査が行えるケースが多く、日帰りで検査を受けられる利点もあります。


血管造影の装置です。ちょっと昔に撮ったのでI.I.を使っていますが、この後FPDに改造しました。
モニターにDSAの画像が表示されています。 他のモニターには心電図や血圧なども表示できます。 


操作室です。 カテーテルが入って撮影の直前です。
予防着を着ているのが医師で、黄色い放射線防護衣(プロテクター)を付けているのが放射線技師です。 撮影条件を設定して、造影剤の量をセットして、すぐに撮影が始まります。

ピンクのプロテクターは看護師さん、医師も予防着の下にプロテクターを付けています。 X線を出して透視している間中撮影室の中に入るのですからプロテクターは必須です。

手前に座っているのが、この患者さんの主治医。 ちゃんと検査室まで見に来ているのです。

なお、この装置にはCTも付いているのでCTアンギオが可能でCTの像も表示されています。


このように、血管撮影も進化してきましたが、CTやMRIでも血管を撮影できるようになりました。 ですからこのような大層な撮影は減ったのですが、IVRという手法が用いられるようになってきました。

多分、上の写真はIVRをしているのかもしれません。

IVRとは Interventional Radiology の略ですが、適当な日本語訳がありません。 X線透視下で血管を使って治療をする方法です

単なる検査ではなく治療です。

これには
塞栓(TAE):例えば肝がんなどで、がんの部分の手前までカテーテルを入れて、スポンジなどをそこに入れて血流を止めてしまう。 すると、がん細胞を養う血液が来ないのでがん細胞が死んでしまう。 
手術なしで、がんを治療する方法です。

血管形成術(PTA): 心臓の冠動脈など血管が狭くなったり、詰まったりした時に、先が風船のようになったカテーテルを入れて、その場所で風船を膨らませて血管を広げる。 その後カテーテル(風船)を抜いても血管は広がったままなので、治療完了。

または、ステントと言う、網状のパイプを血管に入れて狭いところを広げて留置して、血液の流れを良くする。


他にもいろいろありますが、このように撮影だけでは無くて、体を切らずに治療ができるので広く使われています。

なお、X線透視下でカテーテルの先を見ながら治療を行うので、透視時間が結構かかります。 すなわち、患者さんの被ばくがかなりの量になることもあります。

ひどい例では、X線が当たっていた部分の皮膚が赤くなる、それどころか潰瘍になる。 でも、それは火傷と同じ様に皮膚の治療をすれば治る。 普通には、皮膚もなんともない。 

それよりも癌を治すかどうかの方が大切なので、ある程度の被ばくはやむを得ません。

言えることは全国、いや全世界の病院で日常当たり前に行われていて、それにより癌になったなど聞いたこともありません。

 もちろん被ばくを出来るだけ少なくするように機器の改良や、技術の改良や、その時々で気を使ってる等当然のことです。

このような技術の進歩で、心筋梗塞の人等もあっという間に治療が出来て、命が助かるのです。 心臓を開腹手術せずに!

ステントの画像の手持ちが無いので、ステントと検索すれば嫌と言うぐらいステントを留置した画像が見られます。






核医学 

核医学とは放射性同位元素(Radio isotope)を使って行う検査で、略してRI検査と言われています。

RIは放射能を持った物質で、X線と根本的に違うのは、X線は電気を使って発生させるのに対して、RIは常に放射線を出し続けている事です。

RIから出る放射線には核種によってガンマ線、ベータ―線、アルファ―線などがありますが、主にガンマ線を利用することが多いです。

どのようにRIを利用するかと言うと、
例えば、がんに集まりやすい物質(薬品)があるとして、それを注射すれば、がんの部分に集まり、がんと診断できるはずです。

でも、それが集まったかどうかを知るのは難しいです。 

そこで
その物質にRIをひっつけて注射すれば、がんの部分に集まって放射線を出しているので、体の外から放射線検出器を用いれば、がんの部位を特定できます

ということで、出来たのがガンマカメラと言う装置です。


肝臓に集まっているRIをガンマカメラで撮影している。

本体の中には沢山の放射線検出器が入っていて、それぞれのカウントから計算して画像を作ります。

すなわちカメラと名が付くので、RIの分布の画像ができます。


ガンマカメラで撮った画像で、正面や側面などの画像を示してあります。

放射線の粒子の点々で出来たような像です。
医師はこれで診断します。 この場合は矢印の部分に肝臓の欠損があり、肝臓がんです。

RI画像は形態だけではなく、そこに集まるかどうかという機能も写している事になるので、形態だけを写すX線やCT画像とちがって、臓器の機能が正常かどうかの判断もできます。


ガンマカメラです。
患者さんはRIを腕から注射したあとこの上に寝て、約20分ほどじっとしていると撮影されます。

どんな放射性物質が使われるかは検査によって異なります。 良くある検査として、甲状腺の検査に I123 が用いられます。 福島でよく言われた I131 と似たような物で、自然に甲状腺に集まりそこで放射線を出し続けます。 それをガンマカメラで撮影します。

量は3.7Mbq( 3百70万ベクレル)程度ですが、半減期は3時間と短く、自然に体外に排出されるので被ばくは心配ありません。

骨の撮影に Tc99m(テクネシウム)が用いられます。投与量は 500Mbq( 5億ベクレル)程度です。

全身 骨シンチグラム。 
黒丸のような部分が骨への転移、黒くても正常な部分がある。 脳にも転移しています。

他にも
色々な臓器、部位に対してRI検査は行われています。 そのほとんどが、200Mbq程度、すなわち2億ベクレルほどの放射性物質を注射して行います

しかし、被ばくはごくわずかで、毎日、たくさんの患者さんがこのような検査を受けています。

一方、放射線技師は半減期が短いRIを使うので、毎朝RIを作らなければなりません。 そして、半減期が短いとはいえ、患者さんが変わるごとに、新たな2億ベクレルと接する仕事をしています。

医師はそのRIの入った注射器を持って注射します。

ですから、働いている人はX線検査とちがって、常に放射線を出し続けている物質を触るので、被ばくします。

当然被ばく量はチェックしています。 しかし、一生ここで働いていても体にどうという影響が無い程度の被ばくしかありません。  事実、定年後も元気で長生きしています。

ですから
、半減期こそ違え、100ベクレル程度で大騒ぎしている新聞等を見ると、しらけてしまいます。  ベクレルは100万単位でちょっと放射能があるなと思うのが、使っている人間の感覚です

RI検査ではガンマカメラ以外に、CTに似たスペクトや、大人気のPETなどの装置、その他いろいろあります。





PET検査

PETはがんの発見に一番効果があると言われていて
、全国のたくさんの病院や健診センターに設置されています。

PETとはPositoron emission CTの略で、陽電子放射型CTです。陽子を放出する核種を用いて撮影します。


装置の形はCTそっくりですが、中身は全然違います。


簡単な原理の説明

人体に注射した陽電子を放出する核から陽電子(e+)が放出されると、人体組織中の電子と反応して、ちょうど反対方向(180度)に2個の光子を放射し、陽電子は消滅します。

この現象を利用します。


体の周りにたくさんの放射線検出器を置きます。
人体の中のβ+と書いてあるのは陽電子の事です。
それにより、180度方向にたくさんの光子(ガンマ線)が出ています。

この光子を周りにある検出器でとらえるのですが、同時計数と言う測定法を使って、同時に検出器に入った光子だけをカウントする。
すなわち、この絵に無いが、他から来た放射線は同時に2つ到達することは、ほとんどあり得ないので、この図の赤○から出た光子だけを正確にとらえることができます。

そして、その位置も正確に決定できます。

早い話が、正確に線源と書いた位置を計測できて、後はCTと同じ様な数学的手法で、画像にする。

体に投与(注射)するのは、18F-FDGという薬品が一般的です。
この18Fが陽電子を放出する核種で、FDGはブドウ糖ですが、がん細胞はブドウ糖を他の細胞より多く取り込むので、この注射をすると、18F-FDGががん細胞に集まり、PET装置で撮影すると、がんの場所が解ります。


PET画像です。

正面



体軸方向

本当はもっとたくさん画像がありますが一部です。

この写真は私です。 何年か前に検査してもらった時の画像です。

黒くなっている所がFDGが集まっている所です。
こうやって見ると、肝臓、心臓、脳などいたるところが黒くなっていて、あちこちに癌があると思ってしまいますが、
所見を見ると

「投与後1時間後と2時間後まで撮像しました。下腹部に後期像にて集積上昇部がみられますが、腸管の走行に一致しており、腸管の蠕動によるものと考えられます。 念のため便潜血を施行されてはいかがでしょうか。

その他明らかな異常は認められません、、、、、
生理的集積としては、脳、扁桃、心臓、、、、 などが描出されています(当たり前の集積と言う説明)。、、、」

ということで、異常は無いと言う事です。
この画像から、異常を見つける放射線医の読影能力は凄いものです。

さて、投与する18Fは半減期がとても短い。 だから、製薬会社から届けてもらうまでに無くなってしまいます。

ですから、病院内で18Fを作る装置が必要です。
この装置が物凄く高価で危険な装置です。





サイクロトロン

この装置はサイクロトロン(円形加速器)と言う、どえらい装置で、PET検査室の地下に設置されています。

サイクロトロンは粒子加速器という程度であまり知らないのですが

古典的な装置の原理図です。 粒子を加速して速度が速くなるとどんどん半径が広がって渦巻き状になる。 最後にターゲットにぶち当てて、色々な反応を起こす装置です。


現物です。
数回しか見た事が無いけれど、身長ほどの高さだったと思います。


装置の外の部屋です。 放射線マークが付いているのがドアで、厚さは1mぐらいあります。 床のレールはドアのレールです。

放射線技師が、海外からの研修生、JAICAですが、ザンビア、タイ、インド、中国、などからの放射線技師に、サイクロトロンやPETの説明をしています。

サイクロトロンが稼働している時には、この部屋にも入れません。 厚い壁があっても、放射線があるからです。

サイクロトロンの部屋は稼働中は物凄い放射線の量ですが、止まった後もしばらくは、周りの物や壁が放射化して放射線が出ているので、すぐには入れません。 先ほどの装置の写真は停止後かなりたってから入って撮ったのです。 サイクロトロンの運転はメーカーの専門技術者が行っています。

ここで出来た18Fはパイプを通って上のホットラボ室に行き、そこでFDGと化合したり毒性を検査などして放射線薬品として、使えるようにします。 ここは薬剤師が仕事をしています。


18Fの半減期は110分です。2時間もたてば半分になるので、病院内で作っているのです。

こうしてできた、18F-FDGを、医師が患者に注射します。
私の場合は、172.2MBq(すなわち1億7千2百20万ベクレル)でした。 
そして1時間ほど薬が体に回るのを待ちます。体から放射線が出ているので、放射線防護した部屋です。 自分への防護ではありませんよ、周りの人への防護です。

その後PETの装置の上に寝て、放射線技師が横で体位を合わせたり装置の設定をしたりして撮影します。 制御室は隣の部屋でそちらでは被曝しませんが、患者の横では被ばくしながらの作業です。

しかし以前書いたように、毎日何人もの患者さんの横で仕事をしていても定年まで問題になるほどの被ばくはありません。

患者さんの被ばくは約20mSvと言われています。
私は3回受けたので、それだけで60mSvは被ばくしています。 医療被曝については項を改めて書きたいと思います。

さて、昨日の画像のように、あまりはっきりしない画像ができるので、医師はCTや他の検査での画像と比較して、読影します。

そこで解りやすいように、フュージョンと言われる、画像を重ねる処理を行ったりします。

PETではなくSPECTという核医学検査のカラー画像(左)と、CTで撮影した画像を重ねたものが右です。
このようにすることで、体のどの部分に病変があるのか良く解ります。

ただ、PETやSPECTなどの検査とCTの撮影装置が違うと、患者の体位が異なり正確に合成できません。

そこでPETの装置にCTを付けた複合装置が増えてきました、なんと高額な装置だろう。

あらためてPET検査について、最近はサイクロトロンが無くてもデリバリーで18F-FDGを買う事が出来るようになり、全国にたくさんPETセンターが出来ています。

そこでがんを早期に見つけようとPET検査をしてもらいたい時に幾らぐらい費用がかかるでしょうか?

実はPETを保険で行うには予想される病名が決まっています。 それなりの症状がないと保険が適用されません。 保険適用されて約3万円程度です。

単なる健診では、10万円ぐらいになりますが、多分全国にある、リゾート感覚の検診センターでは泊まりがけで他の検査も行うと、もっともっと高いと思われます。

それでも
早期にがんを発見できるということで、検診を受ける人はたくさんいます。

でも、PETで検査したから絶対に大丈夫とは言いきれません。 何でもそうですが、絶対という言葉は使えません







放射線治療

がんを治すの主に3つ方法があって、手術、薬、そして放射線治療です。
放射線に当たればがんになる?  
その放射線を使ってがんを治すのが放射線治療で、最近特に技術が上がり、頼りになる存在です

とはいえ、私はあまり詳しくないので、さらっと、

基本的にエネルギーの高い放射線を大量に照射してがん細胞を殺します。 毒を持って毒を制すでありますが、同時に正常な細胞も死んでもらっては困る。 ここで、正常な細胞よりもがん細胞の方が、放射線に少し弱いという性質があるので、このギリギリのところでがん細胞のみを殺そうという事です。

持ちいる放射線は昔はコバルトやセシウムなどの放射性同位元素を使っていましたが、今はリニアックと言う加速器で作ったX線が普通。

リニアックの原理
リニアックはリニアアクセレーターで、直線加速器と言います。

X線撮影で使うX線管では電子を加速してターゲットに当てていましたが、これも基本的には似ているのですが、電子を桁違いのエネルギーまで加速します。 何段にも加速していきます。

そして、最後にターゲットに当ててX線を発生させます。


X線のエネルギーは、撮影で使っているX線が50kエレクトロンボルト程度ですが、こちらは6Mエレクトロンボルトとすなわちメガ単位なので桁が違います。 その上、量も桁違いに多い。 だって、細胞を破壊するのですから。

装置です

治療の位置を合わせている所です。もちろん患者さんではありません、演技をしてもらっています。 こんな感じで患者さんが寝て、放射線技師が照射する位置にきっちりと合わせて、自分は部屋を出て別の部屋からX線を出します。 ものすごいエネルギーなので入り口は迷路のようになっています。


このX線を人体内の病変に向けて照射しますが、一方向からだけだと、病変よりも皮膚に近い所にたくさん線量が当たるので、色々な方向から照射します。

これは上からと下からの2門で照射したときの体内の線量の分布です。 同時に上下から照射するのではなく、今日は上、明日は下などわけて照射します。
このように、どの方向からどの範囲に照射すれば良いのかを決めるのが治療計画と言います。


患者さん一人ずつに対して、どうやって照射するのが一番良いのかの治療計画を立て、それを実践するのが放射線治療です。



 (図 診療放射線技術実践ガイドより)
これはより高度な装置です。体の周りを回転させながら、照射する部分の形状を変えながら、X線の量を変えながら、
要するに、病変にはたくさんX線を当てて、その回りや、当たったらいけない脊髄などの線量を減らしながら照射する方法です。


実際には


  (図 診療放射線技術実践ガイドより)
その患者さんのCT像上で色々な計算をして最良な治療計画を立てています。実務は放射線技師が行っています。

これは肝臓がんだと思いますが、腹部だけでなく頭部や色々な場所に合わせて患者さん一人ずつ計画を立てます。
そして、この通りに照射するように技師が毎回きっちり位置を合わせています。


ここで大事なことは
例えば計算で2グレイ(放射線の単位)を30回照射すると決めても、実際の線量が正しく出ているかどうかチェックしておかなければなりません。
だから、線量測定、機械のメンテナンスは欠かせない大事な事です。

次に、
何回(何日)にも分けて照射するので、毎回同じ体位で寝てもらう必要があるし、照射するときにも少しでもずれないように照射する必要があります。 頭などしっかりした固定具で固定します

また、ディジタル映像を使って患者さんの呼吸まで検出して、動いた分だけ照射位置も自動的に変えるロボットのような装置もあります。


というような事から、必要な部位だけに正確に照射できるようになり、周りの大事な部分への被ばくが少なくなったことで、治療効果が上がると共に副作用も無くなって、ずいぶん治療成績は良くなっています。


ここで大事なことは、
医師はどれぐらい放射線が当たれば人体にどんな影響があるのかを正確に知っているのです 放射線の影響は良く解らないなどの知識ではとてもこんな治療はできません、

もう一度言うと、
放射線が人体に与える影響ははっきり解っています。 もちろんあまりにも放射線の量が少ないと影響が出ないので、はっきり解らないだけです。 

放射線治療では物凄い量の放射線を照射するので、影響がはっきり解るのです。 そしてがん細胞は死ぬが周りの正常細胞に影響が無い程度の線量を、色々工夫しながら照射しているのです。

なお、私が、放射線治療を受けた時には、多分3方向(3門)からの照射で一回2グレイ、30日で計60グレイの線量が当たっているはずです。
ちなみに、全身に2グレイ当たればかなり致命的で、死ぬ可能性がありますが、一部にだけ照射しているので60グレイも被ばくしても生きているのです、というか、がんが治ったのです。 
とはいえ、周りの組織も焼けているので多少の副作用は残っています。

でも、放射線が当たったからがんになると言うようなことは起きていません。 物凄い線量を浴びているので、がんになる可能性はあるのでしょうが、そんなことが起きたとは聞いたことはありません。 その程度の確率です。

あなたが、もしもがんになって放射線治療を勧められたら受ける事をお勧めします。 とても良く効く治療法ですから。 もちろん勧められなかったら、適用外の部位や病気なのでしょうから、無理やり頼む事でもありません。







放射線検査でどれほど被曝するのか?

まずは、線量の単位ですが、自然放射線や原発事故など全身被曝するような場合は人体への影響も含めたシーベルト(Sv)という単位が使われますが、放射線検査などでは、当たった線量そのもの(正確には吸収線量)のグレイ(Gy)という単位を使います。

 GyとSvはある係数で変換できます。
全身に被ばくしたとすると、Gy=Svで、同じと考えて良いです。

しかし、X線検査では全身にX線を当てたりしません。 検査部位だけに絞ってX線を照射します。 ですから、当たった部位により影響が異なるので、組織加重係数と言うのがあり、
例えば
骨髄、結腸、肺、胃、乳房、 各0.12
生殖線               0.08
骨表面、脳、皮膚など    各0.01

その他いろいろあり、 合計すると全身被曝となるので1.0となるような係数です。

すなわちGyにこの係数をかけると、Svになります。

と言うことで、ある部位だけにしかX線を照射していないので、Gy で示した値よりもずっと低くなります。

例えば頭の撮影をすると、脳、皮膚、唾液腺、その他いろいろな部位にX線が当たり、唾液腺は照射したX線の数%としか当たっていないので、その%を掛ける等、
要するに、
GyからSvへの変換は複雑です

医療被曝についてはGyを使うのが普通です

ネットで、ある病院の被ばく線量がSvで書かれていました。しかし、値から、どう見てもGyのはずなので、ちゃんとした病院のデータですが、参考にはしませんでした。

代表的な被ばく線量を示しますが、病院によってかなり幅があります。これはディジカメの感度を変えて撮るのと同じで、病院によって撮影システムの感度を変えていますし、撮影機器のメーカーによっても変わって来ます。 さらに患者さんの大きさによって大きく変わりますので、いちおうの目安と思って下さい。

なお、値は私が測定したものと他病院の値を参考にしつつ、最近のディジタル機器での被ばくに近いものに修正してあります。

頭     1.4mGy
胸     0.1mGy
腹     1.2mGy (大きさによって大幅に違う)
腰     1.7mGy
腰側面  4.0mGy
膝     0.2mGy
手     0.05mGY


ここで、胸の被ばく線量はとても少なくて、膝より少ないぐらいです。 これは肺はほとんど空気なので、被ばくが少ないのです。

ですから、病気によっては胸のレントゲンを毎日撮ったりしますが、10回撮っても腹一枚より少ないので気にしなくても良いという事です。
でも、回数が多いと気にはなりますよね。

腹で人によって大幅に違うと書きましたが、太っている人は当然多い、2倍や3倍変わって来ます。 これは腰なども同じで、要はX線が透過する部分の厚さに関係しています。

なお、腰などは正面、側面、両斜位の4枚〜6枚ぐらい撮ることも多いです。 その被曝は結構あるように思えますが、他の検査と比べると、

胃の検査   100〜300mGy 

胃の検査は透視があるので、弱いX線ですが分の単位で出す(撮影は1/10秒ぐらい)上に、多い時には10枚以上撮影するので、被ばく線量は多いです。
でも、意外と患者さんは被ばくを気にしていません。胃の検査をしてもらったと言うだけで、胸の撮影の方が被ばくを気にしているようで、面白いと言ったら怒られますが、そういうことです。


被ばくが多いので有名なのがCT検査です。
これも、ピンキリで一概に言えないのですが、

CT検査    50〜300mGy ?
      
?をつけました。造影検査など時間をおいて何度も撮ったりするので、かなり幅があるのです。

とても線量が多いのですが、CTは撮影部位全体にこの線量を被ばくするのでは無くて、1cmとか数ミリとか細いビームでスキャンしているので、同じ部位を考えるとすぐに通り越しているので、一つの細胞にたくさん当たるのではないのです。

しかも、一般撮影だと上からだけですが、体の回り全体なので、被ばくの評価はとても難しいのです。

そこで、CTでは、撮影部位そのものでは無くて特に重要な臓器への被ばく線量で表したりします。

例えば頭部のCTでの目の水晶体への被ばくとか
胸部の検査で、卵巣への被ばくなどです。

そのデータは持っていませんが(探すのが手間)、上に挙げた線量よりはるかに少なくなります。


核医学検査での被ばくは

環境省のデータで Svで示したものです。
核医学検査 0.5〜15mSV
PET検査  2〜10mSV



いずれもかなり幅があります。

被ばくの影響については、ここに書いたので参考にして下さい。

一応、100mSvでがんの確率が0.5%上がると言うのが、解っています。 がんは50%の確率で起きているので、私は100mSvなら自然発生率に誤差程度増えるだけなので、影響が無いとみなしています。
放射線検査ではほとんどの場合がこれ以下です。





患者さんへの被ばくの防護について。

レントゲンを撮影する時には装置に絞りがあって、必要な範囲にしかX線が当たらないようにしています。


上を向いてポカンと口を開けているんじゃないです。 口を通して首の骨(頸椎)を写しているのです(もちろんモデルです)。

口の周りの光が当たった範囲だけにX線が当たります。 
だから、目や喉にはX線は当たりません。


写真の上と下は真っ白で、X線が当たっていないことが解ります。
中央部分に頸椎の1番と2番が写っています。 


これは失敗例です。
頸椎2番が下前歯にかかって見えません。

もう少し顎を引いて撮り直しです。 以前に書いたように、外から人体内の骨の状態を想像して撮るので、患者さんによっていろいろ変化があるので、撮り直しが結構出るのです。

入れ歯があると外してもらうのはこのためです。

ちなみに、上の写真は逆に上の前歯にかかっていて、ぎりぎり合格ののレベルです。  あと2mmほど顎を上げたら満点です。

話が変わってしまいましたが、
必要以外の場所への被ばくはほとんど無いと思って下さい



股関節撮影で生殖線への被ばくの防護。

先天的に股関節を脱臼している赤ちゃん、何故か男よりも女の赤ちゃんが多い。 撮影の時に、赤ちゃんの卵巣への被ばくを少なくするために、鉛板でX線が卵巣に当たらないようにします。 

その、赤ちゃんが成長してきて大人になっても検査を続けている患者さんも結構いるので、他の原因で股関節を撮る人も合わせて、それなりの撮影件数があります。


そのままで撮影すると卵巣にも被ばくしてしまうので、大人も卵巣への被ばくを防止するように鉛板を置いています。

男のモデルで、解りにくいのですが、このようにお腹の上に鉛板(緑の布でカバーして)を載せて写します。



鉛は体の上から見て、股関節に引っ掛からない部分に置かなければなりませんが、もちろん目で体の内部は見えないので、予測して置きます。 

もし股関節や、骨盤の傾きを見たりする重要な部分に鉛が掛ると診断が出来ないので撮り直しになるので、慎重にです。

もちろん、男も股関節の撮影があり、やはり性線防護の鉛を置きますが、男の場合はそんなに難しく無い。


ということですが、
子供を産まない年齢であればこの防護は必要ないし、むしろ鉛で見えなくなる部分がある方が診断には不利です。

こうやって、性線防護をしているのですが、もし防護をしなくて被ばくしたら奇形児が出来るのか?

絶対に奇形児はできないと言ってもよいです。 でも、念のためにやっているのです。 放射線で奇形児が出来たという報告はありません。

大昔のショウジョウバエの実験で奇形が出来たと言う一回だけの実験で信ぴょう性が低いのですが、心配する人がいるので防護しています。

ただ、
もしも妊娠していて胎児がお腹に居ると少し良くないかもしれません。 でも、この場合でも問題が起きるほどの線量では無いのですが、妊娠しているかも知れないことも含めて、念のために防護しています。

なお、妊娠が解って胎児がいるのなら、よっぽどでない限り撮影しません。 何かが起こるとは思えませんが、やはり被ばくを避けるにこした事はないからです
。 

もちろん、それ以上に股関節の状態が悪ければ、撮影します。 当然プロテクトして。


とんでもない古いスライドが出て来たので懐かしいので、お見せします。

股関節撮影で、自動露出装置を使う時の注意です。

多分、Macのハイパーカードで原画を書きました。

ブルーです。 知っていますか? ブルー反転。

ミニコピーフィルム(白黒の高コントラストフィルム)で原稿を撮影して、現像したミニコピーのフィルムをさらにブルー反転用のフィルムに紫外光で露光する。

その後、ブルーフィルムを現像するのですが、現像液がアンモニア。
臭いぞ〜 うっかり匂いを嗅いでしまったら、鼻にツーンときて、あわててその場を逃げ出す。

いや、懐かしいです。 昔はすべてこうやっていました。




胸部X線撮影

廊下での、お年をとった患者さんの話。

「胸のレントゲンを撮ってもうた時に、若い女の子には腰にエプロンを付けてくれるんけれど、私ら年寄には付けてくれへん。 ほんまに年寄には邪険な扱いや!」 「そや、そや」

腰にエプロンを付けるのは、遺伝的影響を考えてのことで、本人の被ばくのためではないのです。 今後生まれるかもしれない子供のためなのです。

だから、お年寄りにはエプロンをしていない。

でも、はたして胸の撮影で、鉛エプロンの効果があるのでしょうか?



胸の撮影です。 X線は胸の範囲にしか照射していないのですが、何となく胸よりずっと下の卵巣にもX線が当たっているように感じます。

そこで


お尻の辺りに鉛エプロンのプロテクターを置きます。
これで、安心なわけですが、、

実は、X線が当たった所から散乱X線が出ます。 このこと自体は初めの頃に説明しているので覚えているでしょうか。

この散乱線がいくらか卵巣に届くはずです。 

そしてX線管から出たX線は絞ってあるのでほとんど鉛エプロンの効果はありません、 ということで防護エプロンの必要はないほどなのです。

そして、散乱線が卵巣に届くと書きましたが、胸部の撮影自体、何度も書いたように線量がとても少ないので、散乱線も少なく、卵巣に行くまでに体に吸収されて検出不可能なほどです。


線量計です。 これは検出器の感度を測るためにカセッテの横に置いてありますが、赤い所が検出部分です。

上に書いた、胸部撮影で卵巣への線量を測る時には、人体模型、それもX線撮影用に作られたファントームと言う模型の卵巣部分に入れられる小さな線量計があるのでそれを使って実測します。

そして、ほとんど検出不能と言うほどの低い線量しかないと言う事です。

はっきり言って、妊娠可能な女性にも鉛エプロンはほとんど必要ありません。 やってもやらなくても同じだからです。 (ただ、間違ってX線の範囲を広く照射してしまった時には効果があります)

胸の撮影で卵巣に被ばくは無いと言えるほどしかないし、大量に被ばく(原爆以外ではほとんど無いような)したとしても奇形が出来た例は報告されていません。

でも、技師には鉛エプロンするように言っています。
それは、患者さんに安心してもらうためです。

その意味で、お年寄りにもエプロンをした方が良いのかもしれません。 たぶん、しています。


なお、私たちのような年寄は、少々被ばくがあっても大丈夫です。 風邪や病原菌に対する抵抗力が弱いのとは反対に、年寄は放射線に対して強いのです。 というか、放射線の影響を受けにくいのです。

その上、もし影響があるとしても数十年先だし、その頃には他の病気にかかって亡くなっているかもしれない。 ということは、放射線のリスクは他の危険因子のなかに埋もれてしまうような量だと言う事です。




おわりに

放射線検査について色々書いて来ましたが,、放射線技師は常に如何に少ない線量で、診断価値の高い検査を行う事が出来るかを研究し、実践しています。


そして、放射線の影響よりも、検査を受けることで病気が治り、QOLの高い生活を送れる事が一番大事なので、必要以上に被曝をおそれて、検査を断る等しないように心掛けて下さい。



おわり


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