ドレスデン近郊旅行記
どの辺かなーと思ったら ヨーロッパ地図
ドレスデンナロー鉄道の旅
1.はじめに
2002年7月フランクフルト経由で、ドレスデン空港に到着した.思えば1993年の鉄道模型紀行から何回もツアーに参加して、今では一人で旅ができる様になった。もっともツアーでも単独行動が多かったけれど・・・.
ドレスデンは旧東ドイツの古い町で、ザクセンの州都である。この近くに幾つかナローの蒸気機関車が走る鉄道があるという。これを見るのがメインの目的であるが、他にも幾つか行く所がある。
2.失敗
ドレスデン空港の地下からSバーンに乗る。ブラバの模型で見る最新型の電車、いや、走り出してたらジーゼルだった( Talent BR643)。私の実物の知識はこの程度である。
空港からのジーゼルとその車内
車内は入った所がだだっ広くて自転車でも置くのだろうか。そして運転席側の床は高くなっていてクロスシートが並ぶ。やがてドレスデンノイシュタット(新ドレスデン)という駅に着いた。
皆降りている。どうも様子がおかしい、と車内の電光掲示板を見るとノイシュタット行きと出ているようだ.ひょっとしたら終点?.あー動き出してしまった.えらいこっちゃ.
旅行鞄を引きずって運転手の所まで行き声をかける.まだホームの端なので止まれないかと思ったが、運転手は振り向きざま両手を挙げてオー神様と言う調子で止まらない.
ひょとしたら車庫まで付き合うのだろうか?
まあ、車庫まで行ってそこからタクシーでホテルに行けばいいかなど腹をくくった.
やがて駅の留置線に止まった.運転手が10分程したら引き返すのでノイシュタットで降りて乗り換えろと言った.
一人で車内に残る.おかげで写真が撮れた.実はDBの時刻表はインターネットで拾える.ドレスデン空港からドレスデン中央駅までは直行と乗換の2種類ある.それをプリントアウトした時に、運悪くノイシュタットでページチェンジとなり、乗換の表示を見落としたために間違ったのだった.
やがて列車は反転し、ノイシュタット駅で降りると運転手が窓から顔を出して手を振ってくれた.
手を振り返えして返事をする.乗り換えて2駅でドレスデン中央駅.古めかしい立派なコンコースを通ると、ここにもトリックスのレイアウトがあった.
「ドレスデン中央駅のコンコース」
トリックスの3線式のレイアウト。
3.プラハ
ドレスデンからチェコは近い.チェコの車輌はどんなものかという事と、ぜひともモルダウ川を見たいということで日帰りでプラハに向かう.
駅の行く先表示はPlahaではなくPragueになっている.これを知っていると問題ないのだが、知らなかったので本当にこの列車でよいのだろうかとしばらく乗るのを躊躇した。その後解ったがこういうことは国によって町の呼び方が違うので良くあるようだ。
特急で3時間、地図で見ると2時間ぐらいの距離だがエルベ川の岸辺に沿って曲がりくねっているので遅い.川岸に小さな村が現れては消える。ピクニックをする人達もいるのんびりした風景が続く。
やがて、見慣れない色の機関車がちらほらする頃、列車は車体をギシギシさせながら凄い急カーブをゆっくり曲るとプラハ中央駅に到着する。
チェコの機関車と食堂車
ここには日本人の友人がいるので、まず、ウ・フレクという黒ビールが有名なレストランに案内しろと注文をつけてある。
途中、ここがカフカがよく来た喫茶店だよと言われた。フランツ・カフカの名前はチェコに来る以上は調べておいた。ほうーここが、とチェコの暗い過去を思い浮かべたりして、ある程度知識を持っていると旅の楽しさは増す。
ウ・フレクであひるの焼き鳥と黒ビールを堪能したあとモルダウ川を渡る。カレル橋を眺めながらスメタナの曲を口ずさむ.ゆったりと短調で始まり、やがて明るく長調に移りまた短調にもどるこの曲は、この国の歴史を表しているのだろうか.地元ではブルタヴァ川と言うそうだが、やはりモルダウでなければ雰囲気が出ない.
これでプラハに来た目的は達成できたので城や市内を観光して、Praha Holesovice駅に地下鉄で向かう.この線は新しいらしく車両も新しかった.駅でフォリントをユーロに戻しホームに上がると既にベルリン行きのIC特急が止まっていた.発車したホームには友人が手を振っている姿があった.外国でこういう経験は初めてで感慨深いものであった.
4. ヴァイセリッツタール鉄道
ドレスデンからSバーンで20分ほどでフライタールハインスベルグ駅に着くと、目の前には広い軽便鉄道の操作場と共に石炭を積み込む蒸気機関車の姿が見える。ゴロゴロところがっているナローの車両は、まるでベモの世界だ(ベモはRhBだけでなく、ドイツのナローもある)。
やがて機関庫から出た機関車BR99が真っ白いブラストを吐きポイントを行ったり来たりして、出発ホームの客車に近付く。煙の臭いをさせながら。模型ばかり見て来た目には、改めて蒸気機関車の迫力を感じさせる。
「スチームを吐きならが、ナローとはいえ結構迫力がある。」
「小川に沿った森の中を進む。すぐ木が被さるので何枚も写してやっとうまくいった。デジカメでないので辛い」
小さな客車を7〜8両繋いでいるが一番後ろの客車の前のデッキに陣取る。ここからだとカーブで機関車を写すことができる。ただ小さな子供が来ると陣取りに負ける。
やがて列車は小川に沿った森の中や湖の横を走ったりしてディッポルディスワルデ駅に着く。この駅で給水をするので乗客が見に行く.
私はここで降りて出発のシーンを、わざわざこのために担いでいった望遠レンズと三脚で狙う。するとドイツ人の鉄ちゃんらしいカメラマンが2人小走りに撮影場所を探しながら結局私の横に来た。列車は汽笛と共に走り出し何枚かシャッターを切った。するとドイツ人達は急いで戻り、止めてあったBMWに飛び乗った。今の列車を追いかけるのだろう。
よっぽど乗せてくれと言いたかった、というのは次の列車まで2時間程あるのだ。でもこの間田舎のこの町でゆったりした時間を送れたのも悪くなかった。
次の列車でひと駅マーテルまで戻り湖のほとリのレストランで昼食を楽しむ。この間何とした事かフィルムを入換える時あわてて裏蓋を開けてしまい、先程の発車のシーンはパーになった.あー三脚も無駄だった。それでも雰囲気の良い田舎町の風景は助かったので良とするか。
「犬を乗せたボートがいる」
「マーテル駅」
マーテルの近くにはアーチの石橋がある。そこを走る蒸機を狙う。緑の芝生に寝転んで列車を待つ。湖では沢山のボートが水遊びをしている。
旧東ドイツと緊張して来たが、こんなにのんびりした時間を送れるとは。しかもこの田舎の電話ボックスから自宅まで、まるで国内に居るように簡単に電話できた。
5.
レスニッツグルント鉄道
先程の鉄道から、一旦ドレスデン中央駅まで引き返し別のSバーンに乗り換え約15分で、ラーデボイルオスト駅に着く.
ここにはレスニッツグルント鉄道の駅があって、ザクセン王国鉄道で使われていたような古い貨車が幾つもある.皆美しく塗られて、レタリングや紋章も綺麗である.
そこに緑に塗られた蒸気機関車があったが、これが動き出して機関庫の前で止まった.そこに黒い蒸気機関車も来て2台並んでの記念撮影にばっちりの構図にしてくれた.
「2台のSL。実はこれをじわじわ後ろに下がりながら夢中になって撮影していたら、突然体を前に押された。
するとすぐ後ろを本線の列車がすごいスピードで通り抜けた。他の見物客が体を前に押して助けてくれたのだった。危なく轢かれてしまうところだった。」
「古典貨車と客車のミキスト」
日曜日なので結構カメラを持った人もいる.すると駅員がもうすぐ発車の時間だと教えてくれた.時刻表には無いので特別列車かなと思いながら、撮影する場所を探して町はずれまで歩く.
待つ事しばし、踏切の警報がカンカン鳴り出すと車はエンジンを止めて列車を待つ。なかなか列車は来ないし遮断器も無いけれど無理な横断はしない。やがてミドリ色のマレーに牽かれた古典客車が通り過ぎた。
6.マイセン
磁器で有名なマイセンはドレスデンから30分程である。
ほとんどのSバーンは2階建てのペンデルツークで、2階席にはガラスの仕切りがあって禁煙、喫煙を分けている。下の席はだだっ広い所とクロスシートとがあるが、車体の絞りから窓側の席は足を置くところないぐらい足元が狭い。
磁器工場はマイセン駅よりちょっと先のマイセントリビシュタール駅の方が近いという。この駅は草ぼうぼうで駅舎は板で打ち付けられトイレも無い。
「マイセントリビシュタール駅」
「2階席」
「一階席 真ん中は広く向こうはクロスシート」
「マイセン 磁器製作のデモ、細工付け」
磁器工場は歩いて10分程で、入場料を払うと日本語説明用のヘッドホンを貸してくれた。土産に壁かけの皿を買ったが、びっくりするくらい高い。もっとも模型ならこれ位何とも無いのだが。
時代によってマークは少しずつ異なる。
後日、家の近所の喫茶店に娘と行った。10人程しか入れないその喫茶店はいつもカップが素晴らしい。そこで、先日マイセンに行ったのですがと話したら、そのカップはマイセンですよ、娘のカップはローゼンタールです、と。380円のコーヒーに万がつく価格のカップをごく自然に出す店はそうはあるまい。
7.ドレスデンと模型店
ドレスデンノイシュタット駅の近くに模型店があるはずなので探し回ったら駅の中にあった。裏口側なので見つけ難い。
ベモの気動車を買ったが、気に入った色は12mmであったが、欲しいのは9mmだったので気に入らない色を買ってしまった。しかしよく考えたら調整可能のはずだ。ここは英語が駄目なので苦戦している内にそんなことは頭に浮かばなかった。
私はドイツではレイアウト用品の品揃えが多いし、珍しい物があったりするので車両よりもこれらを買う.だが、ここは品ぞろいが少なかったので郊外の店に市電と市バスを乗り継いで行った.
交通システムは快適である.ドレスデンの模型店はカードが使えない.旅の身で現金が減るのは心細い.ということで欲しいものが沢山あったが、あまり買えない.
なお、ポーラのカタログにあるドレスデンの市電の車庫の実物を探したがなかった。多分工事中の中央駅の横あたりにあって、取り壊されたのであろうか。
「ノイシュタット駅、中に模型店がある」(2007年に行った時には無くなっていた)
「夕暮れのドレスデン」
ドレスデンに3泊もして古都ドレスデンを見ていない.模型店を回って安心したので、エルベ川の畔からツビンガー宮殿を散策し、ザクセンの古い都を楽しんだ.なお、市役所の地下のレストランは日本語メニューもありお勧めです.(2007年には無くなっていた)
この後、ドレスデンを後にして、ヴェルニゲローデのハルス軽便鉄道に向かったのだが、それは別の機会に。
○ ヴァイセ・リッツタール鉄道 に行く