HNモジュール規格
upload 2006/1/13
最新更新update 2017/11
HNモジュール規格
規格を示すが、HNモジュールを採用する各クラブなどがこの規定を用いるのが望ましいが、繋がる範囲で細部を変更するのは自由である。
実際の細部の作り方や作例などは別ページHNモジュール具体的な細部で説明する。
概要
HNモジュールはHOゲージ(16.5mm)の足つきのモジュールである。
一般的な全体の形を示す。
絶対条件と任意条件、自由と、規格のレベルを変えてある。
1 モジュール本体
項目 |
説明 |
---|---|
1.1 大きさ、形状、情景 自由である。 |
モジュール本体の大きさ、形状は自由であるが、規定に示す各条件に従う必要がある。 実際には持ち運び可能な大きさにしないと運転会に持ち込みにくい。 左図のように、いろいろな形状が考えられる。 繋いだときにモジュールの端同士が凸凹になるのはやむを得ない。 |
1.2 高さ (絶対条件) 床から線路上面までの高さを94cmとし、プラスマイナス10mm(計20mm)以上の高さ調節機構を付ける。 |
床から線路上面までの高さを規定するが、床に凹凸があったり、線路のゆがみなどで隣のモジュールと高さが合わない時に調整する機構が必要。 具体的な例は別のページで説明するが、 このような、調整機構が一般的である。 |
1.3 モジュールの端面 (絶対条件) モジュール端面は線路に対して、上下方向も横方向も直角とする 線路と台枠の長さを揃える。 横方向の直角 このように線路がカーブしている場合でも、端面は線路に直角にする必要がある。 |
垂直方向の直角 きっちり直角にする必要があるが、工作の精度が難しい場合、 直角で線路も台枠と同じ長さの必要がある。 長くなったり短かった時に、線路が長い目だとスペーサーを入れられるし、やすりで線路を正しい長さに削れる。 しかし短いと線路が届かないので脱線の可能性がある。 いくらか鋭角なら許せるが、鈍角の場合は線路の間が開くので絶対に困る。 |
1.4 モジュールの接続穴 (絶対条件) モジュール端板に線路上面から下に6cmに位置に8mmの穴を開ける。 接続時は6mmのボルトで接続する。 |
モジュール同士を接続するための穴である。 モジュールの下などから手を入れてこの接続ネジを締めるので、手が入るような構造にしなければならない。 築堤などを作ったときに注意。 線路中心から真下に開けることはもちろんである。 穴の大きさはネジより大きく8mmにしてあるが、9mm程度まで大きくてもかまわない。 なお、初めから接続ボルトを付けてはならない。 他のモジュールにも接続ボルトがついていたら接続できない。 |
1.5 線路は単線とする。 (絶対条件) 他人のモジュールと繋ぐ部分は単線とする。 しかし、駅など自分のモジュール内であれば(複数のモジュールが繋がっても)複線やたくさんの線路があってもかまわない。 |
本線は単線である。 モジュール同士を単線で繋ぐ。 一見複線であるが、後ろのモジュールとは単線で繋がっている。 自分のモジュールの中では自由。 ただし、複線間隔が狭くて車両が当るものは困る。十分な複線間隔を取る。 モジュールの中にナローなどがあっても、本線を邪魔しないものであればかまわない。 |
1.6 線路の種類 1.6.1線路は16.5mmの線路とし、できればカトーユニトラックを用いる。 ポイントもユニトラックが望ましい。(推奨条件) 1.6.2緩いカーブや鉄橋などでユニトラックを使えない場合でもモジュール両端の接続部分はユニトラックが望ましい。(推奨条件) 1.6.3やむを得ずユニトラックを用いられないときは83番レールが望ましいが、100番レールでもかまわない。(推奨条件) 1.6.4ユニトラックのモジュールにはユニトラックの表示する。(推奨条件) 1.6.5 線路端は少し斜めに削る(推奨条件) 1.6.6 ジョイントは半田付けしない(絶対条件) |
この項目に関しては、ユニトラックが絶対条件では無い。 これは、初期の規格が100番レールだったこともあり、かなりの数の100番レールのモジュールが現存するためである。 また、緩いカーブや鉄橋など、ユニトラックで販売されていない線路もあり100番レールの使用も認めている。 ユニトラックを勧めているのはモジュールの接続時に、線路同士の接続がやりやすいためである。 たくさんのモジュールを繋ぐ時間がずいぶん短縮されるからであり、せめて接続面だけでもユニトラックになっていれば、効率的である。 右のモジュールは100番レールの使用であるが、接続面のみユニトラックを用いている。 このような方法も可能であるので参考にしていただきたい。 ユニトラックの表示に関しては、モジュール接続時にジョイントを用意しやすくするためでありカトーの線路の包装から切り取るのが簡単である。。 線路端はメーカーでカットしたときに少し返りがある傾向がある。 そのための脱線や、線路の少しのズレによる脱線を防ぐためにほんの少しテーパーに削ると脱線しにくい。 これはモジュールの端だけでなく自分のモジュールの中でも効果がある。 ジョイントを半田付けすると、絶縁ジョイントが使えなくなったり、輸送時に線路を破損する恐れがある。 |
1.7 線路 曲線 (絶対条件) 1.7.1 最小半径は420mm以上とする。 しかし、これより大きい方が望ましいのは確かである。 1.7.2 線路にはカントを付けない。 |
モジュール運搬の便利さを考えて、最小半径は420mmとしたが、いろいろな車両が走るので、できればこれ以上にしたい。 車両側でもこの半径を通れることとしているが、実際にはいろいろな車両が来るので、より大きなカーブが望ましいとしてある。 なお、このような急カーブでは線路の平面性に気をつけないと、おのずとカントのような捻れが生じ、脱線しやすいので注意。 曲線にカントを付けたいのは人情であるが、このような小型のモジュールではカント移行部も充分取れないために、カントを付けると脱線する車両が続出する。 よって、カントは付けない。 |
1.8 線路 駅 (絶対条件) 1.8.1 すれ違いできる駅の有効長は列車長34cmのものがすれ違えるようにする。 1.8.2 終着駅の端が短い時には上図右のように張り出しを付ける (推奨条件) |
駅の複線部分で、列車長が34cm以上がすれ違えること。 これはモジュールを小型化したときの最低限の長さで、これより長いものが望ましいことは明らかである、 これが短いと、長い列車がすれ違えないだけで無く、停止位置もシビアにしなければならないので実用上不便である。 取り外しできる張り出し 列車の転落防止と、機関車の機回しなどに便利である。 |
1.9 線路の横 1.9.1 線路の横には十分な幅をもって建造物を設置すること。(絶対条件) 1.9.2 カーブではオーバーハング(外側内側共)を考えて建造物を設置すること(絶対条件) 1.9.3 モジュールの端に建築物を置かない (絶対条件) 隣にどんなモジュールが来るか分からない。 |
線路の横に設置する踏み切り標識や、線路標識、さらにプラットホームなどはかなり大きな車両が通ると思って、車両ぎりぎりに設置しない。 実感的にしようとホームを線路の近くに設置して車両が通れなければ、モジュール配置全体に関わる。 ホームと車両の間は大きく開いているべきである。 駅のホームだけで無くホームの屋根にも注意。 車両幅が大きいものは蒸気機関車のステップやシリンダーの下、また、OOゲージの車両などがある。 イギリス型にOOゲージが多いので、そのつもりで建造物などを離して設置する。(建築限界は特に指定していない) 特にカーブの鉄橋の手すりなど気をつける。 モジュールの端に関しては、自分のモジュールだけでは車両が当ることが無くても、隣のモジュールがカーブの時に、車両のオーバーハングにより、建築物に当ることがある。 特にトンネルポータルや石垣、トラスの鉄橋、プラットホームなどをモジュールの端に置かない。 置く場合は十分な幅を取り隣がカーブでも車両が当らないように考慮する。 石垣をモジュールの端で斜めにして線路から離して車両が当らないようにしてある。 |
1.10 モジュール側面、端面の色 1.10.1 モジュールの周囲を緑色に塗る。(絶対条件) 1.10.2 モジュールには名称を記入した名板を貼る (推奨条件) |
緑の色は特に限定しないが、緑に塗ることで、全体の調和が取れる。 さらに、隣のモジュール台枠の形状が大幅に変わったときにも、接続面が不自然に見えにくい。 木目などだと不自然になるため。 隣のモジュールの側面が見えているが、緑なので不自然さが少ない。 名称を表示すると他人からわかりやすい。製作年も入れておくと自分も便利である。 |
2 電気関係
項目 |
説明 |
---|---|
2.1 モジュールの配線 2.0.1 モジュールには通しの配線をして、そこから線路にフィダーを付ける (絶対条件) 2.0.2 コードの端には上から見て右側に赤の蓑虫クリップ、左側に黒の蓑虫クリップを付ける (絶対条件) モジュール同士を繋ぐとともにコントローラーに繋ぐ配線ともなる。 コードの両端でクリップの色が違うので注意。 |
通しでコードを付けるのは、ジョイントでの接触不良に対応するだけでは無く、線路による電圧降下を防ぐためである。 モジュールが多くなると線路だけでは電圧降下が考えられるので、通しの線は15芯以上の太さのコードが望ましい。 あまり細いものは効果が少ない。 従ってこのような線路を通した配線では意味が無い。やってはいけない。 線路の右が赤のコード、RightのRと覚えると覚えやすい。 モジュール製作時に裏向けにして配線するためか、左右の間違いが多い。 他のモジュールと繋ぐと必ずショートするので、絶対に間違わないこと。 |
2.2 コードの端 2.2.1 コードの端はモジュールから垂らすだけの長さが必要(絶対条件) 2.2.2 コードは左右離して垂れるようにする(推奨条件) |
モジュール同士をコードで繋ぐために蓑虫クリップを付けてある、 このコード同士が繋げる長さが必要。 このようにして、隣のモジュールと繋ぐ 同じコードの両端でのクリップの色が違うことに注意。 コードは このように2本が離れるように取り付けるのが良い。 2本束ねると、蓑虫クリップの金属同士がふれあってショートすることがある。 また、工作中も離しておくと左右を間違いにくい。 |
2.3 ポイントの配線 2.3.1 ポイントを作動させるための配線は自由。 |
ポイントの作動用の電源やスイッチなどは自分で用意する。 カトーのコントローラーとポイントを使うポイント用の電源が用意されていたりポイントスイッチが簡単に取り付けられ便利である。 しかし、動作が不安定な時もあり、コンデンサを用いた回路を作っている人もいる(後述) PICOのポイントは電圧が15Vほどないと動作が不確実である。 |
2.4 駅の配線 1番線と2番線だけがあるシンプルなケースで説明する。 2.4.1 ポイントと各番線の間にギャップを切る(絶対条件) 2.4.2 キャブ切り替えスイッチS1、S2を設ける(絶対条件) 2.4.3 両側短絡スイッチ(終着、DCC用)S3を設ける(推奨条件) 注:ポイントの配線は別個に必要。 |
駅の配線は、各番線の車両をスイッチS1とS2で両側のコントローラを任意に選び制御させるキャブコントロール方式としている。 S1とS2は、2回路3接点で、中間位置ありのスイッチを用いる。 回路は左図のようにする。 これだけで、キャブコントロールは可能であるが、この駅を終着駅として使用するときや、DCC運転で全線一つのブロックにするためにS3を設ける。 S3は2回路2接点、中間無しのスイッチを用いる。 ここではポイントの配線は示していないが、2.3.1のように好きな方法で配線する。 コントローラーの例を示す。 コントローラーの中心に上からS3、S1,S2の順で並んでいる。 ポイントのスイッチは両側にある。 この形が一番使いやすくわかりやすいので推奨する。 |
2.5 建物などの照明 2.5.1 特に規定しない。 自由である。 |
建物などの照明は自由であるので、自分で電源関係も用意する。 |
3. 車両
項目 | 説明 |
---|---|
3.1 車両全般 3.1.1 16.5mmのレールを走る1/80、1/87、1/77 などの車両 (絶対条件) 3.1.2 国籍は自由である 3.1.3 列車長 基本的には31cm以下とする。(推奨条件) 3.1.4 DC、DCCは問わない。 当然、同時には運転できないので、時間を変えてなどで運転する。 |
車両は特に厳密な規定を設けないが、小さなモジュールで走らせるので、小型車両が望ましい。 本物にとらわれず好きな車両を持参することで、珍しい車両も見ることが出来る。 列車長は基本的にモジュールの駅の規定で最低34cmの複線間隔を規定している。 したがってこれ以上の長さの車両では、駅ですれ違いが出来ない。 ケースバイケースであるが、駅の有効長い車両はダイヤ運転では使えない。 |
3..2 車輪 車輪の形状は特に定めないが脱線しないような車輪を用いる(推奨条件) |
車輪の規格は国際的に色々ある、またメーカーによっても多少の違いはあるので、ここでは規定しないが、脱線しにくい車輪が望ましい。 例えば、フランジの大きさが異常に小さいとか、バックゲージが広い(14.5mm以上)とポイントでの脱線が多い。 日光やエンドウの車輪でバックゲージが広いことがある。 |
3.3 連結器 3.3.1 連結器も国やメーカーによって異なるが、基本的にはそれぞれの正規の高さに調整しておくこと(推奨条件) 3.3.2 ケーディーでは連結解放用のレバーの高さを低くなりすぎないようにする(推奨条件) |
連結器の高さが狂っていると、走行中に連結解放しやすいので、規定の高さにしておく。 ケーディーの下のレバーが線路上面より下の高さにあると、ポイントや踏切で衝突し、トラブルとなる。 一番良いのは、レバーをなくす(切る)事であるが、最低でも線路上面から2mmほと高くしておくこと。 なお、本物の連結器ではあのようなレバーは無いので、切るのが良い。 |
3.4 連結解放器 3.4.1 モジュールに連結解放器を取り付けるのは自由 |
駅などで機関車の付け替えや、貨車の操作などに連結解放木があると便利である。 ケーディーの連結解放器を適当な位置に付けるのは自由であるが、場所によっては「思わぬところで連結解放してしまうので注意。 ヨーロッパの鍵型に関しては、手作業で連結解放できるレバーなどを作って解放するのが便利である。 |
3.5 全般的な注意 希望であるが 脱線しないこと 集電不良が無いこと |
書くまでも無いが車両のトラブルは運転の興味を半減する。 また、他の人の運転にも差し障りがあったり、ダイヤ運転では使い物にならない。 事前に整備、車輪の掃除などをしておく。 HNモジュールはモジュール同士を接続しているので、接続部での線路のねじれや、接続の仕方で脱線しやすい。 しかし、車両の整備で、例えば3点支点や大きなフランジの使用などでずいぶん脱線を押さえられる。 特に真鍮製の2軸車では、固定軸なので線路のねじれで脱線しやすい。 フカヒレイコライザーや3点支点への改造を勧める。 カトーの貨車はスプリング機構があるので脱線しにくい。 パワートラックも固定軸なので脱線しやすい。 連結したときには連結器が原因となる脱線が多いことにも注意。 |
4 運転
運転には何も規定が無いが、いくつかの方法を紹介する
項目 | 説明 |
---|---|
4.1 基本的に単線なので終着駅が両側にできる。 |
両側の駅に運転士が付き、ポイントも操作する。 電気的にはモジュール真ん中辺りにギャップを設けて、走行中に電圧を合わせて走ったまま運転区間をまたぐことになる。 |
4.2 中間駅 駅が増えると 4.2.1 運転士とポイント係を兼務する方法 |
各駅に運転士が必要であるが、中間駅一つには運転士は不要となる。 しかしポイントの操作は必要。 この場合、終着駅の運転士は運転とポイント操作の両方をしてもさほど難しくはないが、B駅のような中間駅では両側から列車が来るので、運転とポイント操作の両方はとても厳しい。 |
4.2.2 運転士とポイント係を分ける方法 |
各中間駅にポイント係を配置。 運転士は運転のみに専念できるようにすると無理が無い。 |
4.3 DCC運転 DCC運転では全線を一つのブロックにして、DCCのコントローラーで運転する。 |
2.4.3の駅の配線で述べたS3で全ブロックを一つのブロックにしてしまう。 DCCの時には、一つのブロックにしても複数台の列車を同時に任意にコントロールできるので、DCC運転はモジュールに適した運転法であり、出来るだけ行っている。 また運転しながら列車を追いかけられるので、列車を間違わないことはもちろんポイント操作も自分で出来るので、DCCの利点は大きい。 |
4.4 ダイヤ運転 実物のようにダイヤを作り時刻どうりに運転する。 ダイヤの例である |
実物のような時刻表に沿った運転砲であるが、単線なので、これをしないと駅での列車交換がうまくできない。 運転会の事前にモジュールの配置が決まった後にダイヤを作成する。 ダイヤを見ると複雑に見えるが、実際に行うとやはり複雑ではあるが、成程と思うはずである。 ダイヤ運転では参加者のほぼ全員が作業することになる、エンドレスでほったらかしで列車を動かして他の人はよそを向いているのと違って、皆が一緒に同じ仕事をする楽しさがある。 これは鉄道j模型を運転する楽しみ以上に、仲間との連携を楽しめる良い方法だと思っている。 なお、ダイヤ運転に関しては、まだまだソフト面やハード面で改良すべき点が多くあり、できるだけ気軽に行えるような方法を見つけたい。 |
4.5 貨車の操作など 途中駅や、工場などでの貨車の付け換えなど |
海外のモジュールでは良く行われているようであるが、、引き込み線で貨物を外して留置しておき、また、その貨車を連結して戻ってくるなどの、荷物を運ぶ貨車の運転である。 かなり複雑になり運転指令係や連結解放係、ポイント係が必要になるであろうが、まだトライしていない。 このためには引き込み線があるモジュールが必要である。 |
最後に
モジュール自体は自分のものであるが、接続して運転する時には、全体で一つのレイアウトになる。
情景は自由であるが、線路や電気系に関しては、全員のものとの認識が必要である。
特に線路に関しては、走行する車両をスムーズに通す役割があるので、規格に沿って、かつ規格以上に気を使って列車がスムーズに走れるように、各自が運転会に持ち込む以前に作っておくことが望まれる。
運転会では、自分の作った情景を見てもらう事はとても嬉しい。 作った苦労話などにも花が咲く。
そして、まるで撮影会のようにカメラの砲列が続いたりする。
楽しい一日を過ごせるのである。
そのためにも、モジュールの整備、車輛の整備は欠かせない。
モジュール整備の例
事前にこのように接続して脱線や、オーバーハングでの建造物への衝突が無いかなどを試すのが良いであろう。
以上