放射線とは何だろう
12 安全の天秤 

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2013/6/

12 安全の天秤

 
放射線が危険だと言ってそれを避ける事が果たして安全だろうか?。
 避ける事によって、他の危険が存在しないか?

 放射線を扱っている者は常に、放射線の危険性と他の危険性を比較して、全体的に危険の少ない方を選ぶ。

一つの例を挙げよう。
福島の事故で、放射線量の高い地区の人々はお年寄りでも無理やり疎開させられた。
この時、殆どの私の仲間は、そんな事をしたらかえって命の危険性があると思った。

それは、住み慣れた場所から急作りの避難所に移動することで、生活そのものや隣人関係等、その他もろもろの変化で年寄は病気になる可能性が高い。 いや、それ以上にすでに病気の人がたくさん居て、その方達にとって避難は、「放射線の危険よりはるかに高い」、命の危険性があると思ったからだ。 放射線では今すぐの命の危険性は無いのである。

事実、2年ほど経って避難先での健康状態は決して良くなくて、亡くなった方も他の地区よりも多いそうだと医師が言っていた。 
 年寄は若い人よりも細胞分裂が少なく、放射線の影響を受けにくい。 放射線の影響は細胞分裂するときにDNAに損傷を与えることで生じる。 これは放射線以外でも良く起こっているのであるが、普通はこのDNAの損傷は自然に修復される。 しかし修復されない時にがんになると言われている。 この細胞分裂が少なければ、このような危険は少なく、すなわち、年寄は放射線に対して強い体なのだ。 それよりも生活環境の方がずっと大事だ。

2013年春ごろの話で、ある記者が避難地域に設定されている地区に行ったそうだ。 そこはまだ線量率が高い(0.2マイクロシーベルト/h)のではあるが、一時的に物を取りに行っても良い地区との事。 しかし夜になると所々の家で明りが点いている。 その家を訪ねるとパジャマ姿でお年寄りが出て来たと言う。 本人たちも避難地域なので、居ること自体は悪い事だと知っているので、今から避難先に帰宅しますと言うそうだ。 しかしパジャマで出かけるわけが無い。 こういうお年寄りが何世帯かあるそうだ。

一般人の規定では、年間 1ミリシーベルト以下にしなければならないので、そこに住むのはダメだと決められてる。0.2マイクロシーベルト/hなら年間では 1.75ミリシーベルトになる、 たしかに越している。
しかし、私はこのお年寄りたちはここに住んでいる方が正解だと思う。
この方々がここに後何年住むか解らないけれど、それでの積算線量は知れている。10年で17.5ミリシーベルト、20年で35ミリシーベルトである。 100ミリシーベルトで0.5%を思い出して欲しい。 この程度の放射線で自分たちの生活が危険になるような避難先での生活を選ぶよりも、ここに住んでいる方がよっぽど体に取って、生命にとって安全である。

なお、一般人の年間線量が1ミリシーベルトと低いのは以前にも話したが、日本人全体にとって将来を含めた危険を少しでもなくそうと言う、集団に対しての考えからである。 だから行政がそれに従って、避難勧告を出すのはやむを得ないが、遺伝的影響が無く、かつ細胞分裂も少なく、さらにこれから先の積算線量も少ない年寄りまで同じ規定になっているのがおかしい。

年齢別に許容年間線量を規定すべきであろう。 70歳なら年間100ミリシーベルト、80歳なら200ミリシーベルトなどなど。 年間1ミリシーベルトに比べてもの凄く多いかもしれないけれど、私はこれで影響が起こるとは思えない。 それよりも生活環境の変化の方が恐ろしい。

なお、言うまでも無いが若い人にとっては話が違う。 国が避難体制を取ったのは全体に見て正しいと思うが、自然放射線での被曝が年間2.4ミリシーベルトあるのに、年間1ミリシーベルトという規定は良く分からない。 車で言えば、法定速度を時速 5kmにしろと言っている程低い値だと思っている。

13 何故報道は恐ろしく書くに行く

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