放射線とは何だろう
14 原発をどうすべきか 

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2013/6/

14 原発をどうすべきか

 
原発は止めた方が良い、原発は止めよう。

私が思うのに事故が起こったから止めようと言うのではなく、使用済み核燃料の処理が難しいからです。


これは使用済みの燃料を密封して保存する容器です。この容器を100年以上も保存しなければなりません。はたして、何があっても壊れないでしょうか? 腐食しないでしょうか。そして、原発ではこの廃棄物が常に製造されているのです。

しかし、止めようと言うのは簡単ですが、原発は何のためにあるかと言うと、当然ですが発電のためです。 原発を止めれば発電できなくなる。  電気が足りなくなる。

今原発が止まっていても電気が足りているので良いでは無いかと言う意見もあるが私はそうは思わない。 節電で駅の照明やスーパーの店の中でも暗い、こんな状況が普通とは思えない。 こんな事をしていたら経済が発展せずに、世界の産業に負けて失業者が増える。
子供達に放射能の影響が無い世界を作りたいと言っても、仕事が無ければ食べて行けない。犯罪も増えるだろうし、もちろん年金なんて出るはずが無い。


ここで、福島事故前の電力の比率を見よう。




火力、水力、原子力が殆どを占め、太陽光や風力など無いに等しい。

その後の事故で原発を止めているために火力発電がフル操業です。この燃料費が全国で一日当たり100億円かかるそうです。 一日に100億円ですよ。それを外国に支払っているのです。

 それに原発を止めていても維持費が掛るのでこちらが年間1兆円だそうだ。 電気代が値上がりするのは当然です、企業努力で何とかしろと言うのは都合のよい理屈でしかありません。

ということで、電力をどうすれば良いかですが、

1)風力発電、 日本に於いてはほとんど役立ちません。風が弱ければ発電しないし、強ければ止めなければならない、周辺の雑音被害も大きいし、先日も数機折れて壊れた。 ということで、日本の風土に合わない。ほとんど環境に良いのでやっていますと言うアピールのみ。

2)太陽光発電: これも天候に左右される。夜は発電できない。メガソーラーと言っても原発に比べればほんの僅かな発電量しかない。 原発1基分の発電のために山手線の内側全体の敷地が要るとか。
そんな事をしたら、地面に届く太陽光が減り、それによる公害や地球環境への悪影響も考えられる。 また、ソーラーシステムを作るのにも公害の元があるし、廃棄も問題はある。
決して無公害の夢のシステムでは無い。

3) 地熱: あまり作れる場所も無いし、温泉地などが反対している。

その他を合わせて、このような再生可能エネルギーでは必要量の1〜2%ぐらいしか発電できない。

4)水力: 日本にはこれ以上水力発電を作る水源が無い。


このままでは火力に頼らなければならないが、その燃料の重油の産出量はすでにピークを越え、2050年頃には殆ど無くなる。

最近シェールガスが新エネルギーとして着目されているが、その採取での、公害問題が浮上し始めているし、温室ガス効果も大きくてこれも決して夢のエネルギー源では無い。


では、次世代エネルギーとしてどんなものがあるか。

・ 宇宙空間での太陽光発電:宇宙にソーラーシステムを置いて発電し、地球に電力を送る。 マイクロウエーブなど大電力を送るのであろうけれど、ちょっと的を外れたら大変な惨事になる。

・ 砂漠での太陽光電気分解、海水の淡水化 : 私にはよく分からないが砂漠で海水を電気分解して発電できるらしい。

・ 月面での核融合で発電:これも作った電気をどうやって地球に送るか?

・ マグマ熱発電: 

・ 海水温度差発電:

・ 海上風力発電  

色々書いたけれど、まだ実用にはとてもならないが、色々研究していると言う事。

ということで、原発を止めて、火力発電がフル操業しているが、その火力も数年で燃料が無くなる。 そして、水力は増やせないし、次世代発電もまだまだ役立つようなものでは無い。

結果として、当分は原発に頼らなければならないのである。というか、円グラフの火力が減ればむしろ原発を増やさなければならないのである。 
もちろん省エネで使用電力を減らそうと言っても、大きな機械を動かす工場、色々な会社などなど、簡単に減らせられるものではない。

では、原発をどうするか。
具体的には津波対策、地震対策、など施設の強化であり、これは徐々に進んでいて、女川原発、福島第二原発が津波でも事故にならなかった事を見ても、さらなる対策ができていれば事故の可能性はほとんど無に近い。。
次に、放射性廃棄物の処理である。これが難しい。基本的には地面に埋めるのであるが、反対が多くて場所すら決まらない。 結局困るのは国民であるのだけれど、、

放射性廃棄物の処理の対策として考えられているのが。
・ ロケットに乗せて宇宙に飛ばす。広い宇宙で、かつ放射線も蔓延している宇宙に捨てるのであれば問題ない。 しかし、そのロケットが宇宙に出る前に墜落したり、爆発したら空から放射性廃棄物が大量に降ってくる事になる。

・ 大陸のプレートが、動いて地球の中に向かっている部分があるが、そこに廃棄する。そうすればどんどん地球の中心に近づくので、問題なくなる。 のであるが、そんなにうまくそのプレートに乗せられるか?

・ 放射性廃棄物に中性子や陽子などを当てて核反応を起こし、他の物質に変える。


などなど、この分野でも色々な研究がなされているが、今の所これと言った方法は無く、地中に埋めるぐらいしかない。

ということで、原発は無い方が良いが、火力発電の燃料が無くなることや、火力による地球温暖化の影響は深刻さを増している。 さらに再生可能エネルギーでの発電も当分見込めないことから、原発廃止は「今でしょう」ではなくて、当面、数十年は原発を使わなければならない。


だから、安全な原発を作る費用はもちろん、技術、技術者、学者など専門家が必要である。
怖い怖いで、現実から目をつぶっては何時まで経っても「安全」は得られない。

原子炉を「停止」させているだけで安全と思っている人達は、何を考えているのだろう。 福島第一では停止していた原発も事故を起こした事は周知の事実である。
停止させているよりも運転している方が管理体制、補修体制等むしろ安全だと思う。 もちろん廃炉にしてしまえば良いのだけれど、それまでにはまだまだ多くの解決しなければならない問題がある。 そのためにも、前に進ませる人間の力が大切だ。

私は最終的には廃炉にすべきだと思うが、上記の様にまだまだ代替えのエネルギー源が無い。
しかし廃炉に向かって進ませるとすれば、放射性廃棄物の廃棄場所を作らなければならない。

その土地の人は反対するだろうが、幾ら反対されても何処かに作らなければならないのだから、住民の意向は無視して廃棄場所を確保するというつもりがなければ、絶対に廃炉に等できない。
国民はこの事を理解して、廃炉の準備をすべきだ。


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